【フィットする暮らし】浜島直子さん 第3話:仕事も、出産も、私たちらしく。そして『しろ』が生まれた。

ライター 片田理恵

_MG_9888本番(リサイズ)写真 岩田貴樹

シリーズ「フィットする暮らしのつくり方」vol.13は、はまじ」こと、モデルの浜島直子(はまじま なおこ)さんにお話を伺っています。

家事も育児も互いに協力しあいながら暮らす浜島さんとご主人のアベさん。ふたりは今年の4月に夫婦ユニット・阿部はまじ名義で絵本『しろ』を出版しました。

それぞれの感性を発揮して作りあげた物語が、自分らしく輝くいのちへの讃歌となって胸に響きます。

 


第3話:仕事も、出産も、私たちらしく。
そして『しろ』が生まれた。


 

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阿部はまじ、というのが夫婦のユニット名。公私ともに親しいというイラストレーターの平澤まりこさんが作画を手がけました。著作は『森へいく』と、近刊『しろ』の2冊。

浜島さん:
「カズちゃんは最初、カタカナとアルファベットを組み合わせたような、性別がわからないようなかっこいい名前にしようって言ってたんです。

でも私が『そんな寒いことできない!』と一喝して却下(笑)。

本名が阿部だし、私は高校生のときからずっとはまじって呼ばれているので、阿部はまじでいいじゃんって」

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中央に置かれた黒い犬の表紙が『しろ』。

「いつかふたりで絵本を作りたい」という気持ちは、結婚してから長く抱いていた夫婦共通の願いだったといいます。

アベさん:
「ストーリーや簡単な構成はもともと何本かあったんです。僕は普段映像の仕事をしているんですが、映像って触れないでしょう。だから手触りに憧れを持っていて。触って見えるものを作りたいと思ったんです」

 

直感・ひらめき型の妻と、熟成・じっくり型の夫

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ふたりの創作活動はアベさんが「0から1」にする行程の作業を行い、そこに浜島さんが肉付けしていくというスタイル。

浜島さん:
「ここ長いねとか、この部分はいらないんじゃない?とか。茶々をいれる担当(笑)」

アベさん:
「自分の内面にぐーっと入り込んでつくっていると、作品の善し悪しがわからなくなってくる。そういうときに客観的な意見をもらえると、自分自身ももう一度違う角度から見られるんですよね」

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一緒に創作活動に取り組みつつ、夫婦の感性は実は真逆の部分もあるそう。

浜島さんは「これ、いい!これでいこう!」というひらめきを大切にする直感形、アベさんは「たしかにいいけど、一晩寝かせてからもう一度見て判断しようよ」とじっくり考える熟成型。

きっとその絶妙なバランスが、チームワークのよさなんですね。

 

でもやっぱり「根っこの部分」は、似たもの同士

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と思いきや、やっぱり好きなものの根っこは似ているおふたり。

それぞれが独身の頃から持っていたという『おおきな木』*は、今も2冊とも本棚に置かれています。

浜島さん:
「ほかにも、『アンジュールーある犬の物語』『100万回生きたねこ』『やっぱりおおかみ』**とかぶって持っていた絵本は何冊かあったんです。絵本が好きだという気持ちはふたりともにあって、それが阿部はまじをつくったと思います」

アベさん:
「絵本ってページも少ないしわずかな時間で読むことができるんだけど、そこには小説や映画に匹敵するような大きな世界がひろがっている。それこそが魅力ですよね」

*『おおきな木』(シェル・シルヴァスタイン、篠崎書林、1976年)

**『アンジュールーある犬の物語』(ガブリエル バンサン、ブックローン出版、1986年)、『100万回生きたねこ』(佐野洋子、講談社、1977年)、『やっぱりおおかみ』(ささきまき、福音館書店、1977年) 

 

「自分らしく生きていけるように」と願いを込めて

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『しろ』の構想は妊娠中から考えていたものだといいます。生まれてくる子どもにも見せたいと、ふたりが選んだテーマは「色」。アベさんの頭にまず浮かんだのはラストシーンでした。

アベさん:
「具体的なストーリーはまったくわからないんですけど、場面として突然、雪景色の中に黒い犬がいるのが見えたんです。そこからどうしてそうなったのかを考えていきました」

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浜島さん:
「大人にも子どもにも読んでもらえるものにしたいという気持ちがありました。

子どもたちひとりひとりがこれから大人になっていく中で、食べたり、遊んだり、学んだり、たくさんの人生の選択をするわけじゃないですか。それを自分らしく楽しんでほしいんです」

私は何が好きなんだろう? 何が私らしいんだろう?

そう自身にもずっと問いかけてきた浜島さん。

これが好きだと発見できることはもちろん素晴らしいけれど、そこに至るまでの過程で悩んだり不安になったりすることも、またかけがえのない大事な時間

阿部はまじは『しろ』を通じて、そうエールを送っているように感じました。

 

一見悲しいことも、見方を変えたらそうじゃない

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実は夫妻は最初の妊娠で早期流産を経験しています。

大きな悲しみを経た2度目の妊娠で胎児の心音が聞こえたときは「涙がこぼれました」と浜島さん。

告げられた予定日が流産した日と同じだとわかり、ふたりは「同じ魂の子が来てくれたんだ」と感じたといいます。

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アベさんが『しろ』について語ってくださった言葉のなかに「一見悲しいことも、見方を変えればそうじゃないかもしれない」というものがありました。

人生にはときに乗り越えがたい困難がある。けれど私たちは、しっかりとそれを受け止めてまた歩んでいかなくてはなりません。

喜びや悲しみを受け止める心を、私たち自身がどう育んでいくのか。『しろ』はそれを思い起こさせてくれます。

最終回の4話目では、母となった浜島さんの毎日にクローズアップ。笑顔で子育てを楽しむために実践していることを聞きました。

(つづく)


 

もくじ

 

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モデル、タレント 浜島直子

愛称「はまじ」。北海道出身。高校在学中にスカウトされ、18歳でモデルデビュー。LEE専属モデル、NHK総合「あさイチ」、 TBS「暮らしのレシピ」、TBS「世界ふしぎ発見!」ミステリーハンターなど、幅広く活躍。近著に夫・アベカズヒロ氏との共著『しろ』(ミルブックス)がある。

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ライター 片田理恵

編集者、ライター。大学卒業後、出版社勤務と出産と移住を経てフリー。執筆媒体は「nice things」「ナチュママ」「リンネル」「はるまち」「DOTPLACE」「あてら」など。クラシコムではリトルプレス「オトナのおしゃべりノオト」も担当。

 


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