【受け継いだもの】vol.1 第1話:あの人は、どう「育てられた」の?両親から教わった大切なこと。

編集スタッフ 二本柳

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誰だって、「育てられる」経験をしてきたはず。

時々、「この人は一体どうやって育てられたんだろう?」と思うことがあります。

楽しみながら子育てをする理想のお母さんも、後輩をキビキビ指導する憧れの先輩も、誰かを育てる一方で、「育てられる」という経験を経てきました。

そして、きっと誰もが育ててくれた人から脈々と何かを受け継いで、「今」に行き着いたはず。

たとえば私の場合。人から「二本柳の発言は適当すぎる!」とツッコミをいれられるたび、「ああ、親とそっくりだなあ」と思いますし、ある料理好きなスタッフは「栄養のあるものより美味しいものを食べなさい」ということばかり言われて育ったと話していました。

正直に言えば、「育てられる」ということは時にうっとうしく感じることもあります。反抗したり離れようとしてみたり。それでもやっぱり自分のことを振り返ると、そこで得たモノの見方や価値観が、日々の選択に影響していることは疑いようがありませんでした。

だからふと、それぞれのフィールドで活躍をしている方々が、一体どんなふうに育てられたのか?そして、そこから今の自分を作るまでに、どんなことを受け継いできたのか?そんなことを尋ねてみたくなりました。

この特集では、様々な立場にある方に『受け継いだもの、こと』をテーマに話を聞いていきたいと思います。

 

Lalitpur(ラリトプール)代表の向田麻衣さんを訪ねました。

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第一弾は、株式会社Lalitpur代表の向田麻衣(むかいだ まい)さんにご登場いただきます。

私が向田さんのことを知ったのは、テレビ番組『情熱大陸』がきっかけでした。

26歳のときに立ち上げた「Coffret Project(コフレ・プロジェクト)」という活動を通じて、途上国の女性たちに「お化粧をする」という喜びを伝える密着映像でした。

それからずっと、「なんて意志の強い目をした方なのだろう……」という印象が頭に焼きついていて、向田さんが始めたネパール産オーガニックスキンケアブランド「Lalitpur(ラリトプール)」もデパートやセレクトショップで見かけるたびに気になっていたのでした。

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その後しばらくたって、たまたま本屋で向田さんのエッセイ『 “美しい瞬間” を生きる』(U25 SURVIVAL MANUAL SERIES、2014年7月発行)に出合います。

「自分にとって何が大切か、何が切実なことなのか、それは誰かと比べるものじゃない。そう思ったのなら大事にしよう。私はそうしたいと思う」(p154)

まっすぐな言葉が綴られたエッセイには、なんだかすごく「自分の進むべき道」をしっかり持っていて、そこに迷いを感じない強い女性の姿が見えました。

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私とそれほど大きく年齢が変わらない向田さん。ときどき自分の歩んで来た道を振り返っては「私、このままでいいのかな?」なんて不安を感じていた私には、そんな揺るぎない自信がどうしたら生まれるのか、とても不思議でたまりませんでした。

だからどうしても聞いてみたいと思っていたんです。

向田さんは、誰から、どんなことを受け継いできて、今の人生を作っているのですか?と。

 

どうやって育ってきて、そこから何を受け継ぎましたか?

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この質問を投げかけてみると、向田さんからは「色んな価値観を見て育った」と。そして、その中で「ひとつでも多くの “視点” を持つことの大切さを受け継ぎました」との答えが返ってきました。

自分を世界の中心に置くのではなくて、様々な人の視点を同時に持っているということ。今いる場所以外にも世界が広がっているという想像力を持つこと。

それが今の向田さんをつくる基盤にもなっているようです。

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向田さん:
「私は3歳まで仙台市に暮らしていて、その後、12歳までの9年間を同じく宮城県の森の中にあるログハウスで過ごしました。

小学校まで徒歩1時間(!)という、まさしく大自然のなかに佇む実家でしたが、そこには頻繁に海外から両親の友人たちが泊まりに来ていたんです。

両親は若い頃から旅行が大好きで、とくに母は娘である私ですら驚くくらいに、誰に対してもオープンな性格。だから人が自然と集まってきたのかもしれません。

リビングの机を大人たちが囲んでワイワイ楽しんでる様子を、子供部屋の窓から夜な夜な眺めては『大人っていいなあ〜楽しそうだな〜』なんて思ってました」

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向田さん:
「泊まりにくる人たちの出身はドイツやオーストラリアなど様々で、彼らはそれぞれに違っていて、子供ながらに本当に面白かったんですよ。

たとえば、ある国では女性でも脇の毛の処理をしなかったり、また別の国では足を金髪に染めるのがキラキラして魅力的だとされていたり。私が驚くたびに母親は『美意識の違いよ』と教えてくれました。

常にいろんな価値観に触れる幼少期があったから、私は『日本で当たり前のことが全てじゃない』ってことを小さい頃から感じていたと思います。外に行けば今の常識は全然ちがってしまうことを学んだんですね」

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そんな向田さんは、大人になった現在も、今いる場所が窮屈に感じたり、自信が持てずマイナス思考になりそうな時、『他の国だったら、どんなふうに考えるだろう?』と想像してみるようになったそう。

向田さん:
「そうするだけで気持ちがちょっぴり楽になるんです。

ネパールと日本を行き来する今の活動は、はじめてから約7年が経ちました。それでも想定外の事態はまだまだ起きるし、問題に直面することもしばしば。

ああ、もうだめだ〜となった時、おまじないみたいに『世界地図と星空』と唱えているんです。

ここで言う星空というのは、17歳で初めてネパールを訪れたときに見た星空のこと。本当に美しくて心を奪われました。

あのとき見惚れたように、私の知らない世界が、一歩外に出るとまだいくらでも広がっている。その事実を想像するだけで勇気が出ます」

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森の中のログハウスで、小さな頃から様々な文化と隣り合わせで育ってきた向田さん。

大人になった、ある日のこと、車のなかで母親からこんなことを言われたそうです。

「麻衣ちゃんが生まれたときは、私の中で、世界の中心が自分じゃなくなったときなのよ」

向田さんが受け継いだ「ひとつでも多くの視点を持つこと」の大切さは、子供が生まれたことで自分の中の視点が1つから2つになったお母さんが、まず先に実感していたことなのかもしれません。

次回の第2話では、「今」の向田さんができるまでの間の時代、10代〜20代の話をお聞きします。

(つづく)

【写真】
木村文平(2, 5〜7, 11枚目)


もくじ

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向田麻衣(むかいだ まい)

(株)Lalitpur代表。高校在学中にネパールへ訪問し、女性の識字教育を行うNGOに参加したことをきっかけに、大学卒業後もネパールを再訪。2009年に、お化粧を通じて女性の自信や尊厳を取り戻すきっかけを与える活動「Coffret Project」を立ち上げ、2013年にはネパール産オーガニックスキンケアブランドLalitpur(ラリトプール)をスタートし、現地に雇用を生む取り組みを行っている。Lalitpurの商品は、直営のオンラインショップの他、銀座三越や代官山の蔦屋書店、PASS THE BATONなど数店舗で取り扱いがある。今秋、直営店をオープン予定。渋谷区神宮前4−23−6 http://lalitpur.jp/


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