【スタッフコラム】冷蔵庫に眠る、母の味。
お客様係 望月
私の母は日頃からよく保存食を作り、ビンに詰めていました。
お手製の塩麹や醤油麹、味噌。ジャム、梅酒、酢漬けなどなど。
冷蔵庫の中身の大半はビンが占めているのでは?と思う時期もあったほど。
母が他界し居なくなってから、実家の冷蔵庫には残されたビン詰めがちらほら。
ジャムは見て分かるけれど、「これ何が漬けてあるの?」というものも。
一緒に居る間に、もっとちゃんと聞いておけばよかったなぁと後悔していました。
母の親友と、ビンの中身。
先日、母の親友に会う機会がありました。
みっちゃんという愛称の女性は、母の高校時代の同級生で40年来の親友。母から話をよく聞いていたけれど、私が会ったことがあるのは小学生の時。
長い長い近況報告から始まり、母が作っていたビン詰めの話へ。
「醤油の中にこんな感じのものが漬かっていて……」と話すと、みっちゃんは「それはね……」と、中身を教えてくれたのです。さらに「こうやって食べると美味しいのよ」と使い方のレシピまで一緒に。
私たち家族よりも母と長い年月を共にしたみっちゃんは、母のことをとても良く知っていました。
まだ私が生まれる前、みっちゃんが母の家に遊びにいくたび、母に振る舞ってもらったという、手料理の話。
乾物を買いに、一緒にアメ横まで行った話。どんなオシャレな場所に出かけても、つい野菜を見つけると買ってしまう話。
ビン詰めから話題は広がり、最終的には子育てや仕事の話にまで至り、気づいたらあっという間に、4時間近くが経過していました。
母から直接聞くことができなかった沢山の話を、こんな形で知ることができるとは。ちょっと意外だったけれど、なんだか嬉しくて。
母ともっと話をすればよかった。そうどこかで後悔していた気持ちが、少しだけ救われたような気がしました。
娘を心配し、見るにみかねた母が、みっちゃんを通じて空から教えてくれたのかもしれません。
* * *
冷蔵庫に眠るビン詰めは、私にとって最後の母の味。
保存がきくものを作っておいてくれたから、大切に大切に味わっていこうと思います。
母の味付け、こんな感じだったかなぁと思いながら料理をすることが、最近の私の楽しみであり、私なりの親孝行です。
▲福島のいかにんじん。この時期になるとよく作ってくれていた母の味です。
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