編集スタッフ 栗村

今日は4月1日、エイプリルフール。

うそをついていい日だなんて、ちょっとワクワクします。

けれど、ついていいうそには条件があって、それは誰も困らせないこと。（どうやら正式なルールではないようですが、子供の頃にこの教えを刷り込まれていました）

そんな条件があると、突然うそをつくのが難しくなって、こんなに楽しい予感のする日をうまく使えたことがありません。

きっと今日も何か気の利いたうそを、なんて考えるんだろうなと思うんです。でももう分かります。いいうそなんか思いつかず1日が終わってしまうことに。

でもそれだとせっかくのエイプリルフールがもったいないような気がして……せめてもということで、この春に見た、うそみたいな本当の話を紹介させてください。

 

いちごを採りに行くのでお休みします

少し前、商店街を歩いていた時のこと。うどん屋の前に臨時休業を知らせる張り紙がありました。

そこにはこんな風に書かれていたんです。

「本日、イチゴを採りに行くのでお休みします」

衝撃の休業理由に、一瞬目を疑ったのですが、だんだんと幸福感が溢れてきました。

正直すぎる店主と、休みの理由がたまらなく愛おしい。

いちご狩りなら仕方ない。どうぞどうぞ行ってきてください。そんな風にやさしい気持ちが溢れた夜でした。

 

ナップサックに春を詰め込んで

これも少し前の出来事。電車に乗ろうと駅を歩いていたら、前を歩くおじさんのリュックからチューリップが3輪飛び出していました。しかも3色。

黒いナイロンのリュックから飛び出たかわいいチューリップと、おじさんのギャップがうそみたい。だけどとっても愛おしい瞬間でした。

 

まるでドラマみたいな朝に

ドラマやアニメでしかみたことのないシーンがあります。そのひとつが遅刻しそうな少年がパンをくわえながら走るやつです。

先日、はじめてそれをみました。

実際には、パンをくわえながらというより、手に持って食べながら走っていました。

すれ違った瞬間、思わず「がんばれ」って心の中で呟きました。すごく必死な感じがあったんです。

でもしばらくしてから考えると、パンは口の中の水分を取られるから相当きついんじゃないのかなとか、そもそもそんなに必死ならパンは諦めてよかったんじゃないのかなとか、ツッコミどころ満載。

でも全部含めて愛おしい、うそみたいな少年と朝でした。

 

今日はエイプリルフール。気の利いたうそが思いつかなくても、うそみたいに愛おしい瞬間がどこかに隠れているかも、なんて期待しています。

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