【スタッフコラム】スイカのおばけになっていた
編集スタッフ 澁谷
「When I see the watermelon, I remember you.」
台湾に住む友人から、泣き笑いしている絵文字と共に、このメッセージがポッと送られてきました。きっと口調は「スイカを見るとあんたのことを思い出すよ。」そんな感じだと思います。
このメッセージの送り主は、数年前に台湾へひとり旅をしたときの宿泊先のホストで、自分より二回りくらい年上の女性でした。当時、計画もろくになくやってきて、おまけにカタコトの英語しか話せない私を、彼女は面白がって迎え入れてくれて、宿泊している間いろいろなところへ案内してくれました。
滞在中、彼女と朝ごはんを食べに市場へ行きました。その市場には果物が豊富にあって、日本では季節外れのスイカや梨が所狭しと並んでいました。食べ物の中で何よりもスイカが大好きな私は、少ない英語の語彙を使って、季節を超えてスイカを食べられる喜びを彼女に伝えようとしたのを覚えています。
だからでしょうか、すっかりそのイメージが残って、数年経った今、スイカを見た彼女の元へおばけのように私が現れたのです。
彼女のことを友人と呼ぶには親しすぎるかもしれないけれど、簡単には会えなくなってしまった今このメッセージが嬉しくて、図々しくもそう呼んでも良いのかもと思いました。
考えてみれば自分もそういう風にふと誰かのことを思い出して、クスッと元気付けられていることってあったなと気づきました。自分にとっては取るに足らないことが、案外誰かにとって心がゆるまる瞬間をつくるきっかけになっているのかもしれません。
1人でいる時間も増えたこの頃、日常に隠れていてふと笑わせてくれる愉快なおばけのような、そんな存在を大切にしていきたいと思います。
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