第10回 カフェラテパパ

デザイナー 村田

■◇◇■ 第10回 「カフェラテパパ」 ■◇◇■

今週はスウェーデンだからこそこんな言葉が生まれたという「カフェラテパパ」
について、お話したいと思います。

まず、「カフェラテパパ」とは。

最近新しく誕生した言葉で、育児休暇中、ベビーカーに子供を乗せて流行りの
カフェに行き、そこでカフェラテを飲んでいる小粋でお洒落なパパ集団のこと。

グラフィックデザイン、ファッション、建築やインテリアデザイン関係の人が多い。

スウェーデンでは、ママだけでなくパパも子供ができると2人合わせて計16ヶ月間の
育児休暇を取ることができるのです!
しかもその間、お給料の80パーセントが支給されるのです。
基本的に働く意欲の低いスウェーデン人は、もちろんこの制度を多いに利用し、
ここぞとばかりに休暇を楽しむのです。

子育ての為の休みなのに海外旅行に行く人だっているのです。ユルいなぁ。

3ヶ月間、女性が育児休暇を取るだけでも肩身の狭い思いをする日本に比べると大違い。
スウェーデンは、国も社会も率先して育児を奨励しているのです。

それが功を奏したのか、現在スウェーデンではベビーブーム。
街中、天使のようにかわいいけれど、怪獣のようにギャーギャー、ビービー
泣き叫ぶベビーで溢れています。
バスの中も電車の中も子供の泣き声を聞かないことはありません。

というのも、どこへ行っても至る所にベビーカー専用の置き場があるし、
どんなに小さい階段にもベビーカーで上り下りできる専用のレールが付いていて、
小さい子供がいても歩きやすい街づくりがちゃんと出来ているのです。
公共の乗り物にあるベビーカー用のスペースにはベビーカーを繋いでおくベルトが
備え付けられており、コロコロとベビーカーが滑ったり、簡単に盗まれたりしない
ようになっているのです。

生まれて1、2ヶ月のベビーだって、ペット持参で来るような人も集まる
ホームパーティにだって、平気で連れて来ちゃいます。

日本では、「子供がいるから外出はちょっと。」
というふうになってしまいがちですが、スウェーデンでは子供が生まれたてで
あろうがギャーギャー騒ごうがお構いなし。

そんな育児休暇中のパパの間で流行っているのがこちら。

さりげなくお洒落をし、子供をベビーカーに乗せて(子供もとってもオシャレ)、
育児休暇中のパパ同士、流行りのカフェでお茶をすること。
オープンエアのカフェならなお良し。
皆こぞってカフェラテを飲むのです。
まるでそれが彼ら育児休暇中のパパのステイタスであるかのように。

生まれたばかりの子供を連れて、オープンカフェで気持ち良さそうに優雅に
お茶している姿はまるで映画のワンシーンのよう。
サマになるんです。
太陽がサンサンと降り注ぐ中、傍らには宝石のような赤ちゃんを寝かせ、
サングラスを掛けてカフェオレを啜る。

ちょっと気取った感じが、悔しいけど絵になってしまうんですよね。
くーっ、外国人ってずるい。

でもここの人たち、天気の良いぽかぽか陽気の日に限らず、まだまだ寒い日でも
子供は毛布でぐるぐる巻き。
自分もコートの上に更に毛布にくるまってミノムシのようになって、
それでも外でカフェラテを飲むのです。
上下の歯をカチカチいわせながら。
ちょっとやりすぎ。我慢しすぎ。

もし、「やせ我慢世界選手権」があったらスウェーデンは間違いなく強豪国に
なるでしょう。
それも彼らのステイタスなのかしら。

ベビーカーにもこだわりがあり、10万円以上する高級大型ベビーカーだったり、
60〜70年代ののレトロで可愛いものだったりと種類は様々ですが、
みんなそれぞれ自慢のベビーカーを誇らしげに引いて歩くのです。
子供の服装からベビーカーに至るまで全てがトータルコーディネートされているんです。
憎いですねー。

洋服屋さんのマネキンだってベビーカーを持ってポーズを取っていたりするくらい
だから、もうファッションの一部なんですね。
そういうお店はデザイナーズ物を扱うセレクトショップだったりして、ウケ狙いで、
服装や髪型は格好良いのにおなかだけポッコリ出ているビールっ腹のメタボマネキンも
飾ってあったりするのです。
なかなかスウェーデン人もお茶目でしょ。

今や「カフェラテパパ」はトレンドであり、育児休暇中のパパの堂々たる社会的地位
として成立しているのではないでしょうか。

さて、おにぎりカフェはと言いますと。

そんな流行りのカフェラテパパにミーティングポイントとして抜擢されることはなく、
終わってしまいました。(泣)
庶民の味方おにぎりも、スウェーデンの地で「カフェラテパパ」に食べられたら
キャビア入りおにぎりくらい少し気取って見えていたかもしれないな。

と、そんな感じで何となくお分かりいただけたでしょうか、「カフェラテパパ」。

同じ育児休暇中でも、ママの集まりとは何か違うんです。
庶民的香りがしないというか。生活感が無いというか。
格好良く決めすぎているからか、作られたものっぽいんですよね。
ケンタッキーのカーネルサンダースのおじさんがそこにいても、もしかしたら
気づかないんじゃないかな、と思うくらい。

日本では若い男性同士がベビーカーを引いて町を歩いている姿、あまり見ませんよね。
とてもいい光景ですよ。

いつか日本のパパも「カフェラテパパ」デビューをする日が来る事を祈って。
そして、平日の昼間に夫婦揃って公園を散歩したり、ゆっくり育児にいそしむ事が
出来るような社会に近づく事を祈って。

来週は、おにぎりカフェでの朝の食材仕入れについて、ご紹介したいと思います。

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