佐藤の産休を振り返って

クラシコム代表 青木 クラシコム代表 青木

サトウが7月1日より約7ヶ月の産休から復帰しました。

本人いわく、「あっというまの7ヶ月」だそうなんですが

僕としては懐妊判明からすると約14ヶ月決して「短かった」とは振り返れない、中々緊張感のある日々でした。

この機会にもしかしたら他の方にも参考になることもあるかもしれないので、ちょっと振り返って見たいと思います。

■妊娠判明以前

既に30代既婚であった妹と一緒に起業すると決めた時点で、共同創業者が産休で長期間仕事から離れるというリスク(個人的にはおめでたいことなんですが事業継続におけるという意味です)に備えなければいけないと腹を決めていました。

またまだ妊娠が判明するずっと前の創業当時、周囲から良く

「妹さんが妊娠でもしたら大変ね~」

なんて言われたりしてて、もちろん僕らを気遣って言っていただいているのはわかるんだけれど、そんな妊娠出産のような言わば人の営みとして珍しくもなんともないことが起こるだけで「大変」になるなんて絶対変だし、そんなことぐらいで「大変」になるなんて絶対プライドが許さないと反骨精神をメラメラと燃やしていました。

なので、創業当時から会社の屋台骨を支える人間が妊娠出産という節目を迎えた時に心から(若干ヒヤヒヤしつつもw)
「おめでとう」が言えるように、
そして望むなら気持ちよく復職できるように、会社を作るってことが、経営者としての僕の大きな課題の一つだったと思います。

具体的にはこの時期にそのためにやったことで主要なことは以下の3つです

【1】現地への買い付けに行かなくても商品を調達できるバイヤーネットワークを作った
現地への買い付けはなかなか楽しく、刺激的な仕事である反面、ある程度の需要にお答えできる商品の調達量を確保するためには、全て自分で買い付けてくるとなると、年に4,5回は10日以上のスケジュールで北欧に出張しなければなりません。

このやり方では、サトウが妊娠した時点で事業の継続が難しくなり、会社としても妊娠してほしくないな~などと間違った願望を抱くようになってしまうので、事業開始から約6ヶ月経過ごろから現地在住のバイヤーさんのネットワーク作りに着手しサトウが北欧に出張できる状況か否かに関わらず事業が継続できるようにしてきました。

【2】早期にスタッフを雇用しチーム作りに大きく投資してきた
サトウの長期離脱を想定すると、サトウが支えていた仕事の分野を肩代わりできるチームが必ず必要となることが自明でした。僕が肩代わりできればいいんですが、残念なことに僕にはお客様が求めておられる商品を選んだり、上手にご紹介したりという才能はほとんどないんです、、

いまだに商品の仕入れに関しては発言権がゼロに等しいという。。。

なので、創業から約1年、売上げが月に100万円そこそこだった時点で、スタッフを二人雇用して、早期にチーム作りのために投資を開始しまた。

当然ですが、普通にやれば赤字になります。

ただ、サトウの代わりに長期間会社の屋台骨を支える仕事が出来るスタッフの育成には、年単位の時間がかかりますし、そういうスタッフなしでは中期的に事業の継続が不可能なので先行投資と位置づけて積極的に投資しました。

当時は雇った二人の給料を支払うのに、サトウと僕とで自分の給料をその分減らして対処してました。今は自分個人のお金を増やすより、以後中長期にわたって自分達のライフステージとなる(もちろん収入を得るための場所でもある)会社の存続可能性を高めるために投資しようとよくサトウと二人で話し合ってました。

この考え方は未だに有効で、少し余裕が出てきたらチームの増強や、システム、設備に投資して、自分達は後回しが当分続くと思います。

【3】業務のアウトソーシング化&システムによる自動化
倉庫管理、出荷作業等等のアウトソーシング化、各種受注システム等の開発により、業務の大きな部分を社内リソースの変動に影響されずに対処できるよう、アウトソーシング化、システム開発による自動化を進めて来ました。

■妊娠判明から産休まで

妊娠したとの報告を受けた時、いろいろ準備を進めていたとはいえ、それでもやっぱりドキドキしました。めでたいな~という実の兄としての感情と同時に、僕一人でお店を支えて行けるだろうか?と不安も感じたのが率直なところです。

僕は強がりというか、人に弱みを見せるのが苦手なので、誰にあっても

「全然大丈夫です。無問題!」

と言い切っていましたが、そりゃ不安もありました。

ただ何事も事態が明らかになれば、超特急で段取りを組む兄妹なので、直後のロングミーティングで産休突入までのTODOの洗い出し、スケジューリングを終えて、7月ごろには全てのTODOに日付がついてる状態になったので、そこからは割合安心して進むことが出来ました。

このときのスケジュールで意識したのは、妊娠出産っていろいろ個人差があるので、万が一トラブルがあって早期に仕事から抜けなくてはならなくなった場合に備えて、実際の産休突入予定の2ヵ月以上前には大半のTODOがこなせていているようにしておこうというものです。

とにかく不確定なリスクは出来るだけ悲観的に評価して、「多分大丈夫」という感覚を徹底的に排除して計画を立てました。

おかげさまでサトウの妊娠出産はきわめて順調だったわけですが、本人さえかなり楽観的に捕らえている状況にたいして「何が起こるかわからない」と言い続け、危機感を維持し続けたのはやっぱり良かったと思います。

この時期の具体的準備としては以下のようなものがありました。

【1】マニュアルの徹底整備
各スタッフの仕事内容を、まったくの素人でもそれを読めば仕事ができるというレベルのマニュアルに落とし込んでもらいました。これはクラシコムの伝統にしたいことなんですが、覚えるほうより教えるほうが汗を掻くということです。
この時期に作ったマニュアルは大きな財産になりました。

【2】スタッフへの権限委譲
仕事のスケジュール組みや、仕入れや顧客対応、広告の出稿において、各スタッフに対して大きく権限委譲し、基本的に僕が一切の事前チェックをしない(事後チェックはします)でよいように権限委譲をしました。僕が日ごろ暇なのはここが大きいです。
そしてそれを可能にしているのは、スタッフの錬度と詳細な事業計画の策定とKPIの明確化です。
例えば、バイヤーであれば、月次で、在庫回転率、値入率、交差比率、欠品率というような数字で評価されています。何か間違ったことをすると、前述のいずれかの数字に事業計画に対して異常値が表れますので、その数字さえ押さえておけば日常業務の推移はそれほど見張ってなくても安心して任せることが出来ます。

【3】業務システムの洗練化
一時的にスタッフが減少してもパフォーマンスを維持するために、サトウが時間をかけて実施していた業務をこの時点でも一部システム化による自動化を進めました。この時期に開発した「発注支援システム」は大きな戦力になりました。

【4】仕事の刈り込み
効率化とシステム化だけでは吸収しきれない業務については、この時点でスタッフを増員して対処するという選択肢もかなり現実的に考慮したんですが、結局難しい時期に不安定なスタッフを抱えて望むより、錬度の高い安定したスタッフだけで対処したほうが良いだろうとの判断のもとに、吸収しきれない仕事は一部割り切って切り捨てたり、保留したりしました。こういう時期に実はあまり意味のなかった仕事が見つかったりして、生産性を高めるチャンスだったと今は思います。

■産休中

こんな感じの準備で望んだ産休でしたので、実際の産休期間中は、ほとんど混乱も負担もなく、淡々と仕事をすることが出来ました。人数が少ないので思いついているやるべきことの大半に中々手を付けられないというジレンマはありましたが、今は動かざること山の如しな時期だと割り切って、淡々粛々と仕事をしてた感じです。なので産休中についてはほとんど書くべきことがないですね。

■復職

実はこれも難しいテーマです。
職場を長期離脱するために仕事の大半をスタッフに引き継いでるわけですし、スタッフはそれ既にしっかりやりこなしているわけですから、復職したからといって元の仕事をするわけにはいかないんです。

そんなことをしたら引き継いだスタッフに失礼ですからね。

より大きなテーマ、新しいテーマを準備し、復職に備えさせるのも僕の重要な役割でした。冗談で「帰ってきたら仕事ないんだから、自分で仕事作れよ」などとよく言ってました。

実際佐藤の復職後の仕事の大半は新規事業開発が半分、既存事業のプロデューサー的な役割が半分といった感じですから、産休前とは大きく変わっているわけです。

なので産休は佐藤にとっても新しい仕事の分野を拡げるチャンスになったなと思いました。

大分長文になってしまいましたが、多分僕らと同じように妙齢の女性が経営陣の一角を立派にになっている零細事業者って少なくないと思いますので、今後の取り組みの参考になればなと思います。

また、僕らとしては今後もスタッフの大半が女性という状況が続きますので、彼女達が望むなら出産などを経験しても気持ちよく仕事をつづけて貰えるように、まだまだ工夫と努力と投資が必要だなと思っています。

なので良い事例や取り組みがあったら僕らも教えてほしいなと思います。


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