成長はなぜ起きるのか

クラシコム代表 青木 クラシコム代表 青木

来月には6歳になる息子が、突然数日前から僕らとは別の部屋で寝ると言いはじめ、僕の書斎兼納戸のように使っていた部屋で寝始めた。

今日で3日連続だ。

前々から、

「いつから1人で寝るの?」

「えー小学生になってからかな」

「ちなみにパパは3歳からだけどね」

「ふーん。でもオレ小学校からでいいや」

「ま、いいんじゃない。もし1人であっちの部屋で寝るようになったら、おまえの部屋にしていいよ。ベットと机買ってあげるからさ」

「うん。わかった。でも小学校に入ってから考えるわ」

という感じで、話題には出ていた。

ただ本人的には全くその気はない様子で、正直このままいくと小学校低学年の間は個室で寝るなんて出来そうにないんじゃないか、なんて思ってたし、こっちもなんか寂しいから、それを若干歓迎してるところもあった。

それが突然、数日前に、何の前触れもなく1人であっちに寝ると言いはじめたのだ。

こっちは最近そんなことを話題にもしていないし、とくにそういう方向に促した訳でもない。

で、実際その日から1人で別の部屋で寝はじめた。

他人からみれば何ということがない、一コマだと思うのだが、親としては驚きだ。

そこに成長の連続性、予感のようなものはほとんど感じられなかった。まさにある日突然、息子が別の次元に(まったくささやかなレベルでだけれど)行ってしまったと感じたのだ。

で一晩別の部屋で寝た後に息子に

「なんで1人の部屋で寝ようと思たの?おまえ小学校までパパたちと寝たいって言ってたじゃん。」

と聞いてみた。

「だいぶ前にさ、何日か1人で寝れるところを見せたら、あっちの部屋をオレの部屋にしてもいいってパパ言ってたでしょ。」

「ああ、言ったね。」

「机とかベットとか買ってくれて、あっちの部屋をオレの好きにしていいんでしょ」

「うん、いいよ。」

「オレ自分の部屋が欲しいんだ。自分の世界を作りたいんだー」

「世界?」

「ほら今オレ工作で虫とか鳥とか作ってるじゃん」

「ああ、あの本から切り取って組み立てるやつ?」

「そうそう」

「確かに一日中やってるね。何個くらい作ったの?」

「30個くらい」

「すげーな」

「で、もっともっとたくさん作って、部屋中に虫の世界を作りたいんだ。草とか丸太ん棒とかも持ってきてさ。」

「部屋に草とか丸太ん棒とかを持ち込むのはあんまりうれしくないなぁ。紙で作るとかにしてほしいんだけれど。。」

「だからオレの部屋が欲しいの。そして作ったものでオレの世界を作りたいんだよ」

「壮大だな」

「あっちの部屋約束通りオレにくれるよね。オレの好きにしていいよね」

「まあいいよ」

「じゃあ明日ベット買ってきて」

「いやベットなんてお菓子買うみたいには買えないから、ちょっと良さそうなのを探そう。」

「ちぇー」

長々再現してきたが、つまりは息子が急に1人で寝たくなったからそうするようになった訳ではなく、自分の工作で部屋をいっぱいに飾り付けて、寝る時も片付けなくてよい、自分だけの世界が作りたくて、それを実現する手段として、あるいは交渉の材料として別の部屋で寝てみせてた訳だ。

「ひとりで寝て怖くないの?」

「うーん、ちょっとこわいかな」

「がまんしてるの?」

「やっぱオレ自分の世界が作りたいからさぁ」

親からみれば、1人で別の部屋で寝ようと思いそれを実行したことは大きな進歩だし、成長だ。

だけど息子は親と一緒に寝たくなくなった訳でもなく、1人で寝るのが怖くなくなった訳でもない。

そういう意味では何か成長したり、克服できたりしてる訳ではない。

ただ、そういう犠牲を払っても手に入れたい「欲求」が生まれたということなのだった。

僕は息子のこの一連の動きや言動を見聞きして「ああ、成長するって言うのはこういうことなのかな」と思った。

つまり

それまで無かった力(この話の場合自立心や勇気的なもの)が身に付いたので、自然と行動が変わっていく訳ではなく、新たな、そしてより高次の「欲求」が生まれ、優先順位が変わり、より「幼い」欲求や「原始的」な欲求の追求を断念して、今欲しいものを追求しようと背伸びすること、そしてその背伸びが習慣化して断腸の思いで手放したはずの相対的に幼く原始的な欲求にもはや魅力を感じなくなるまでの過程が「成長」なんだとと。

だから子供を含めた他者の成長を促したいなら、先に「習慣」や「行動」を変えようとするよりも、より高次の欲求が生まれるように促す方が良いし、そもそも人が何かを熱烈に欲するように促すなんてことは不可能に近い気がするのでよく見ていて何かを強く欲している様子があれば、そちらに突き進めるように地ならしをしてあげることくらいしか出来ないのかもしれない。

そうやってより高く、広いレイヤーの欲求を、ごく自然に見つけていって、それをかなえるためにまっすぐに手を伸ばして、それでも足りなければ今持ってるものを手放して、成長してくんだろう。

寂しいけれど、僕ら両親の優先順位はこれからどんどん下がっていくだろうな。僕もそうだったし当然だ。

そして成長はきっと今回みたいに非連続的に起こるんだろう。

「遂げる」のではなく「起こる」と表現した方が実態に合ってる気がする。

「起こる」ことはなかなか「予測」できない。

できるのは「準備」と「覚悟」だけだ。

だから今の息子は明日には、あるいは今晩には別の息子に生まれ変わってしまうかもしれないと覚悟しなきゃ行けないなと思った。

そしてその覚悟をすると、もう少しだけでも今の息子と向き合うことに自分を割かなければ、地味に後悔するのかもしれないなとも。

いずれにしても息子の小さな変化を見ることは、人としていろんなことに気づかせてもらえる。


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