第二回 「カフェ運営のきっかけ驚き秘話」
デザイナー 村田
■◇◇■ 第二回 「カフェ運営のきっかけ驚き秘話」 ■◇◇■
こんばんは。
先週の輝かしき第一回目はいかがだったでしょうか。
少しは私のぐーたらでのんびりな雰囲気、伝わったでしょうか。
さて、今週はそんな私がONIGIRI CAFEなんかを始めたいきさつについて
お話したいと思います。
スウェーデンに行ってまず驚いたのがカフェの数。
どこを歩いても一分も歩けばカフェにぶつかるってほど多いんです。
あっちにもこっちにも、時には隣同士に3軒なんてことも珍しくないのです。
おそらく真夏の草むらに入り込んでしまった猫が遭遇するてんとう虫の数ほど
多いんじゃないかな。
スウェーデン語でFIKA(フィーカ)とは「お茶する」という意味。
コーヒーという意味のKAFE(カフィ)を逆さ読みしたところから生まれたらしい。
そんな言葉を作っちゃうほどスウェーデン人はカフェ好きなんです。
ちょっとでも時間があると、誰からともなく「お茶しない?」の一声。
もちろん誰も反対なんてしません。
フィーカに反対なんてしようものなら、もう明日からのあなたの居場所はない
と思った方がいいですよ。
あっ、もちろんスウェーデンで言う「お茶しない?」はナンパ語ではありません。
ただ単に何の深い意味も無く、日常生活の時間の流れの中の一部、みたいな、
割と無意識に近い感じ。
スウェーデンでは、カフェについたらまずカウンターで注文。
最初に自分でカウンターに行って注文しその場でお金を払って自分の席まで
自分で持っていくのが主流。水もセルフサービス。
日本のようにしっかりオシャレな店員さんがいかにも気取ったカフェメニュー
を持ってお席へご案内、なんてことはあまりないんです。
というか、カフェの店員はどちらかというとやる気が無い。
その代わりお客も長居が主流。
私がストックホルムにいた時、好きで良く行ったカフェはアンティークの家具を
ふんだんに使ったガムラスタン(旧市街)にある「Café Edenborg」。
古本が置いてあって好きな本を勝手に読んでいい。
ソファやテーブル、フロアランプなんかもよく使い込んであり、いい感じに味が
出ている。
店内は本を読んでる人の他にも、友達と、彼氏彼女と、家族とおしゃべりをしたり、
あるいは一人でラップトップのパソコンを持ってきてインターネットをしてる人も多い。
私はスウェーデン語を学校で習っていたので課題をしたり友達とランチをしたり。
お店の人もお客様を完全に放ったらかしにしてくれるのでふかふかソファの席を
ゲットした日にはついつい家のようにのんびり寛いでしまい、うとうとzzzzなんて
ことも多々ありましたよ。
そんな感じで、スウェーデン人にも負けず劣らずカフェ好きな私は、色んなカフェに
行っては大きなサンドイッチをかぶりつき、大きなカフェオレを飲んでいた訳です。
スウェーデンのサイズは大きいんです。
みんな大きければ大きいほど良いと思っているし大きければ大きいほど嬉しくなる
国民なんです。もちろん味は大味。
日本のパティスリーのショーケースに並んでいるあの小振りで一つ一つ丁寧に
作られた美しく繊細な味の芸術なんて無いんです。
有機野菜、無添加無農薬野菜を使ったエコカフェ、ターンテーブルが店のど真ん中に
あるDJカフェ、おじいちゃんおばあちゃんしかいない大変平均年齢の高い古ーいカフェ
などなど、カフェの種類はストックホルムにはまあありましたが基本的に置いてある
ものはおおむね一緒。
コーヒー、カフェラテ、カプチーノ、エスプレッソ。スウィーツもまた然り。
どこもあまりこだわりはなくアップルパイやブラウニー、そしてカップからこぼれ
落ちそうな大きなマフィン。
結局私もその大きくて一口ではかぶりつけないサンドイッチにウキウキしながら
良く通っていました。
スウェーデンに行ってすぐのことだったので何もかもが可愛くそして新鮮だったん
ですよね。
しかし、人間、働かざるもの食うべからず、そんな事毎日はしていられない。
彼氏にある日突然喝を入れられてしまい。。。ということでまず考えたのがカフェ
でのアルバイト。
こんなに沢山あれば一つくらい私を雇ってくれるところはあるだろうと安易に思って
いたのですが、現実はそう甘くはない。
スウェーデン語のまだままならない私には難しいと、ことごとく断られたのです。
結局、友達のツテでレストランのシェフの裏方の手伝いをする事に。
そして一旦は夢のカフェバイトは崩れるのです。
しかし、半年ほどが経ちカフェの仕事なんてすっかり忘れていた頃に1本の電話が!
それは、なんと私が以前「仕事は無いか?」と訪ねたカフェのオーナーからで、
彼のカフェを手伝ってほしいという嬉しいお誘いだったのです!!
しかも、そのオーナー、ちょっと旅行に1ヶ月ほど行くからその間、カフェを好きに
やって欲しいと言うのです。
ちょっと旅行に一ヶ月って。しかもほとんど面識の無い外国人に、はい、お好きに
どうぞって。
始めははっきり言って意味が分かりませんでした。
オーナーの北部なまりのスウェーデン語もさっぱり分からないし、私がカフェを
どのくらい好きにやって良いのかも、どのくらいサポートしてくれるのかも分かり
ませんでした。
戸惑いは相当ありましたが、こんなチャンスも滅多に無い。
店にあるものは全て使って良いと言うし、メニューから何まで全て任せるって言うし。
しまいには最初の家賃はオーナーが払うって言うし。
いきなり憧れのカフェ運営。しかも頭金ゼロ。それはやるしかないでしょ。
ということで、以前から漠然ではありましたが、スウェーデンでおにぎりを流行らせ
たいと思っていた私は、こうしておにぎりカフェを開こうと決意したのです。
2004年10月、Gastrikegatan(イェストリーケ通り)にて、突然、私のおにぎりカフェ
生活の始まり始まりです。
不安、戸惑い85%、ドキドキ12%、わくわく23%、おっと全然数字あってませんが、
確かに私のテンションはいつになく高く、120%くらいあったんじゃないかしら。
右も左も分からないまま始まってしまったおにぎりカフェ、果たしてうまくいくの
でしょうか。。。
次回は、なぜスウェーデンで「おにぎり」だったのか。
その理由やメニュー作りについて書きたいと思います。どうぞお楽しみに!
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