第3回 おにぎりだった、そのわけ。
デザイナー 村田
■◇◇■ 第3回 「おにぎりだった、そのわけ」 ■◇◇■
第3回目の今回は、まずなぜ私が当時そんなに注目も浴びてなかったおにぎりを
敢えてやろうと思ったのかについて書きたいと思います。
うーんと、なんだろ。あまり覚えていない、実はだからこの話題、3週間も
延ばしていたのに一向に思いつかない、本当に。
でもこれといった理由はないんですよね、きっと。すいません、期待させておいて。
ただ一つ確かな事は、しょっちゅう「あー、おにぎりが食べたいっ」って思って
いました。
スウェーデンって、ちょっと小腹がすいたときや軽いランチに食べるものがない
んですよ。
いっつもみんな、ホットドックかバナナかりんごを食べてるんです。
電車やバスの中でも、学校や仕事の合間にも、子供から大人までみーんなホット
ドックかバナナかりんご。
最近日本にも進出してきたインテリア専門店イケアの帰りは必ずホットドック。
毎日毎日この3つの繰り返しです。
まるでこの世には、小腹のすいたときはホットドックかバナナかりんごしか食べて
はいけないというルールが存在するかのように。
確かにスウェーデンは物価が高く、コンビニでサンドイッチとドリンク、または
ファストフード店でバリューセットを買うと1000円位するんです。
日本だったら牛丼3杯食べられますよ。
しかもお茶は出してくれるし、納豆トッピングしたってまだ半額以下です。
だから道端のスタンドで売られている200円弱のホットドックや、コンビニや
駅のキオスクでバラ売りされている一つ100円程度のバナナかりんごをかぶりつく
しか無いんです。
言ってみればやっぱりホットドックかバナナかりんごしかないってことです。
という背景がありまして、この3つしか知らないスウェーデン人におにぎりって
いう存在を知ってもらいたいと常日頃思っていたのです。
「かわいそうに、バナナばっかり食べて。あの手の温もりを感じるふかふかの
おにぎりの方が断然美味しいんだぞ、海苔の香ばしさもたまらないしヘルシーで
腹持ちだってすごいんだぞ」って。
そしてカフェの話があがった時、「よし、おにぎりカフェにしちゃえ!」って
思ったのです。
このように、私がおにぎりカフェを始めたきっかけはいたってシンプル。
言い替えれば、ただ自分が食べたかったんですね、単純に。
物事なんてこんなもんで良いんだな、きっと、特別に深い意味が無くても良いんだな。
さて、カフェを始めるにあたって、最初に考えなくてはならないのがメニュー。
ですが、前回も少し触れた通り、オーナーはこれから行く一ヶ月の旅行の事で
頭が一杯で、新しいメニュー作りなんて特に興味無し。
和であれば良いと言うだけで、店のコンセプトも名前も全て私にお任せ。
っということで名前は「おにぎりカフェ」、もちろんメインメニューもおにぎりに
決まり。(そのまんま 汗)
ただし「これだけは!」というオーナーの希望で今までの常連さんの為にラザニアや
パスタを追加することにしました。
(以前のカフェでとても評判がよかったらしく、ラザニア目当てにくるお客様も
いたらしいのです。)
が、私としては強引におにぎりを前面アピール!
といきたいところだったのですが、現実問題おにぎりという存在を知らない
スウェーデン人はなかなか手を出そうとしないのではという懸念があり、お寿司を追加。
お寿司といえば今ではストックホルムでの人気ランチメニューナンバ−1に輝くほど
スウェーデン人はお寿司が大好き。
そこで私はちょっとカフェっぽく、薄焼き卵で巻く私特製、ツナわさマヨとアボガドの
ふわふわオムレツ巻き寿司に決定。
それでもまだ、おにぎりと寿司だけで勝負に出るのは厳しいという事で(私ってびびり?)
麺好きのスウェーデン人にはウケるんじゃないかな思い、うどんとラーメンも追加。
一応、オーナーの意見も聞いてみたんですが、オニギーリィ、ウードン、ラアーメン
(ギとウとアにアクセントと置いて)などという聞き慣れないものばかりでよく分からず、
そして特に関心も示さず。
彼にとっては何でも良いからやってくれ、ということでメニューはすんなり決定。
以下、オープン前に決まったメニューです。
全てセットメニューでサラダとパン食べ放題。
価格は55クローネ。約900円。
なんと太っ腹!そうでもない?いやいや、物価の高いスウェーデンでは安い方なんですよ。
*ONIGIRI (3種のおにぎり、みそ汁、緑茶)
*OMLET SUSHI (オムレツ寿司、みそ汁、緑茶)
*UDON (うどん)
*RAMEN (バターコーンとわかめのラーメン)
*CURRY (ココナッツミルクのスパイシーカレー)
*VEGITARISK LAZAGNYA (豆と野菜のラザニア)
*FULLKORN PASTA (全粒粉のパスタ, トマトソース)
期待と不安とを胸に抱きつつ、さあいよいよONIGIRICAFEのオープンです!
と、こんな感じでここまではスムーズに来た訳ですが、何せ当時は何もかもが
あっという間に決まり、あっという間にオーナーはいなくなり、そしてあっと
いう間に一人になってしまったのです。
そりゃ不安はたっっっっっくさんありましたよ。
スウェーデンに行ってまだ半年程度でしたから。
何もかもが手探り状態です。
仕入れの仕方や場所も分からないし、土地勘もいまいち把握してないし。
でも不思議と戸惑いはあまりありませんでした。
っていうよりも戸惑っている暇はありませんでした。
どちらかというと開き直ってた。「もうやるしか無いっ」みたいな。
自分で言うのも何ですが、肝が据わってるんですよ、極端に楽観的というか。
「ウケなかったらどうしよう」っていうよりは「どうにかなるっしょ」みたいな。
それが、始まってみるとなかなか上手くいかないんですよおぉぉおぉ。
そう、あの「カモメ食堂」の初期の頃のように、全然客が入って来ないんです、全然。
みんな気になって店の中を覗いてはいるんですけどねー。
その後のもう一歩が踏み出せない。
この読者の中にもご覧になった方多いと思いますが、あの映画は私の「ONIGIRI CAFE」に
そっくりなんです。
ここ、強調していいますけど、私の方が先にやったんですよ!なんつって。
いやぁ、本当はこんなこと恥ずかしくって控えめにしとこと思ってたのですが、
ここ(暮らしの道具店)の店長さんに「是非読者様にはっきりさせておくべきっ」と
言われたのではっきりさせておきます。
はい、私が先です。
でも先越されました(悲)。
私もドキュメンタリーくらいとっておけば今頃売れたかもなんて。
ということで、連載第3回目にしてやっとカフェオープンの兆しが見えてきました。
引っ張りましたねー。次回はオープン当初のバッタバタな様子をお届けしたいと思います。
では、また来週!んっがっくっく。(サザエさん)
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