【おしゃれ上手のクローゼット】前編:おしゃれしたくなる、“気分が上がる” クローゼットとは?

ライター 嶌陽子

慌ただしい朝。服が詰まったクローゼットを開けても、着ていく服がなかなか見つからない&思いつかない……。

結局、コーディネートがうまく決まらず、その日は一日中、なんとなく浮かない気分に。そんな経験はありませんか? 私には、よくあります。

毎朝、すっきりとしたクローゼットから服を手早く選んで、満足のいくコーディネートででかけたい!

今回の特集では、そんな悩みを解決するためのクローゼット収納、そして日々のコーディネート術を探っていきます。

 

おしゃれ&収納の達人、大沢早苗さんを訪ねました。

お話を伺ったのは、スタイリストの大沢早苗(おおさわ さなえ)さん。雑誌や書籍などで活躍するほか、パーソナルコーディネーターとして、個人の洋服選びや、クローゼット収納の悩みに関するアドバイスも行なっています。

そんな大沢さんに、さっそく日頃の悩みをぶつけてみました。

「クローゼットに服はいっぱいあるはずなのに、着ていく服がなかなか決まらず……。大沢さんは、毎日どうやってコーディネートを決めているんですか?」

 

毎朝、コーディネートは「靴」から決める。

毎日の服選びについて大沢さんに尋ねると、「私は、まず靴を選んで、それに合わせて服を選ぶことが多いですね」との答えが返ってきました。

なんとなく、“靴は最後に決めるもの” と思い込んでいた私。

服はうまくコーディネートできたな、と思っても、最後の靴合わせに失敗し、そのまま1日ブルーに……という経験も少なくありません。だから、大沢さんの答えは新鮮でした。

▲靴の下に敷いた新聞紙は湿気取り。靴はかかとを前にして収納し、見落としがちな汚れや擦り減りを日々確認。

大沢さん:
「仕事柄、たくさん歩く日とそうでない日の差が激しいんです。

たくさん歩き回る日は、スニーカーやフラットシューズ。あまり歩かない日はヒール。その日の行動によって靴のタイプを選びます」

次に決めるのはボトムス。天気とその日の靴に合わせて、素材や丈などを選びます。

その後、トップスを選んだら、基本のコーディネートが完成。これにアクセサリーや小物で味つけをすれば、出かける準備は万端です。

実際に、大沢さんのある日のコーディネートを2パターン見せてもらいました。

 

パターン01.
スニーカーには、とろみ素材+ワイドパンツ

▲ブラウス:H&M、リネンパンツ:NOLLEY’S、スニーカー:CONVERSE、かごバッグ:パピヨネ

大沢さん:
「スニーカーはどうしてもカジュアルになってしまうので、その他のアイテムで大人っぽさを足すようにしています。

個人的に、40代の女性にすすめたいのが、とろみ素材のトップス。さらっとしたリネンのワイドパンツを合わせれば動きやすさもこなれ感も保てます」

 

パターン02.
ヒールにはジャージ素材やデニムで引き算

▲ブルゾン:adidas、Tシャツ、バッグ:ZARA、デニムパンツ:RED CARD、靴:銀座かねまつ、

大沢さん:
「ヒールはどこかきちんとしすぎた印象になってしまうので、そういうときは服をあえてカジュアルにします。

Tシャツにジャージ、デニムという大人にはラフすぎるかな?というアイテムも、ヒールとバッグで女性らしくすれば、ちょうどいい塩梅になりますよ

 

コーディネートづくりは、クローゼットづくりから。

▲寝室とつながったウォークインクローゼットを夫と共有している。

あっという間にコーディネートを決めた大沢さん。その鍵は、やはりクローゼットの整理整頓にありました。

どのアイテムも、“自分が何を持っているかわかる” 状態なのが特徴です。

大沢さん:
「カットソーやニット類は、引き出しの手前から奥に並べるのではなく、左から右へと立てて並べています。そうすれば、引き出しを全部開けなくても、服が見渡せますよ。

ひとめで見渡せるように収納すると、コーディネートにかかる時間も短くなりますし、引き出しの奥で眠ったままの服も減るんです

 

“気分が上がる” クローゼットは、8割収納でつくる。

大沢さんは、“収納スペースが8割埋まっている状態が理想” といいます。

大沢さん:
「服が増えてきて、10割になったら見直しのタイミング。着ない服を処分して、また8割に戻す。これを繰り返すんです。

私にとって一番大切なのは、毎日お気に入りの洋服を着て “気分が上がる” こと。そのために、着ない服はいさぎよく処分して、お気に入りだけが並んでいる状態にします。

毎日同じような服でも、本人によく似合っていれば、すてきな人だなと思いますから」

 


「8割収納」に欠かせない!
大沢さん愛用の収納アイテム


100円均一の仕切りつきソフトボックス

不織布でできているこのソフトボックスは、100円ショップで買ったもの。バッグなど、細々としたものを収納し、ボックスごと箪笥の引き出しに入れています。

大沢さん:
「布製なので、仕切りが簡単に切り取れるのが便利。入れるもののサイズが大きい場合は、そのサイズに合わせて仕切りを一部切り取り、カスタマイズして使っています。

浅いタイプのものは、ソックスやタイツを入れるのにも重宝しています」

 

崩れを防ぐIKEAのソフトボックス

ニット類などを収納しているのが、IKEAの「スクッブシリーズ」。使わない時は、小さくたたんでしまえます。

大沢さん:
「引き出しの中にこうした箱を仕切りとして入れると、型崩れを防げます。固い素材のものより、ソフト素材の方がしなるので動かしやすく、出し入れしやすいと思いますよ」

 

すっきりクローゼットで、毎日のコーディネートをもっと楽しく。

▲大沢さんの愛猫ロイ君。人見知りせず、取材スタッフを歓迎してくれました。

見渡せる収納、そしてゆとりのある8割収納にして、“箪笥の肥やし” を作らないことが大切と教えてくれた大沢さん。

そうすれば、“新鮮で気分の上がる” クローゼットが続き、毎日のおしゃれがもっと楽しくなるといいます。

クローゼット収納がすっきりすれば、コーディネート決めもぐんと楽になるはず。後編では、大沢さんに日々のコーディネートや服選びに関するヒントを教えてもらいます。

(つづく)

【写真】鈴木静華


もくじ

第1話(5月28日)
おしゃれしたくなる、“気分の上がる”クローゼットとは?

第2話(5月29日)
明日から役立つ!大人の洋服の悩みをスタイリストに聞いてみました。

 

大沢 早苗(おおさわ さなえ)

広告関連のスタイリストに師事。その後、スタイリスト事務所勤務を経て独立。ライフスタイル誌、女性誌をはじめカタログ、書籍を中心に活動。パーソナルカラーアナリスト、整理収納アドバイザー2級取得。ライフスタイルマガジン「4o’s Style」(http://40s-style-magazine.com/)にて、ブログ「やっぱり、おしゃれは楽しい」を連載中。

大沢早苗さんの書籍▽


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