【星空を見上げてみれば】後編:どんなときでも背中をおしてくれるもの

ライター渡辺尚子

どんなにささやかな毎日でも、悩みはなかなかつきません。答えが出ないとき、空を見上げてみます。

この空の向こうには、大きく広がる宇宙があります。その広い宇宙の片隅で、わたしはたしかに生きているんだな…。

そんなことを思いながら、頭の上に広がる美しい星空を眺めているうちに、さっきまで抱えていた悩みごとが少しずつ軽くなって、気持ちが楽になっているのです。

星空がわたしたちに教えてくれることは、本当にたくさん。その楽しみを教えてくれたのは、プラネタリウム解説員の永田美絵さんです。

1話目では、宇宙の時間と人生の時間について教えていただきました。2回目の今日は、永田さんのピンチを支えてくれた「ミッション」について伺います。

第1話

 

大好きな仕事を見つけたきっかけ

永田美絵さんがプラネタリウム解説員になったのは、大学を卒業してすぐのことでした。

永田さん:
「高校生の頃から、土星が大好きだったんです。ちょうどボイジャー号という探査機が、木星や土星などの惑星を探査して、土星まで近づいて撮ってきた写真が、衝撃だったんですよ。

わたしが『土星に行きたい!』って言ったら、クラスの仲間たちが『じゃあわたしは建築のほうに行って応援するよ』とか、『じゃあぼくはこの研究をする』って。誰もわたしの夢を笑うことなく、応援してくれたんですね。

校長先生も、『うちに星の好きな生徒がいるので、なにか見せてあげられるものはないですか』って、プラネタリウムに連絡してくださったり。そういうこともあいまって、わたしにとって、土星はすごく大切な天体なんです」

 

「自分なんか…」と、挫けそうになったとき

永田さん:
「好きな仕事についてはいますが、『自分なんか…』と、くじけそうになったことは何度もあるんです。

わたしの夢を応援してくれた高校時代の友人のうち2人が亡くなっているんですね。そのときはひどく落ち込んで、歩みを止めそうになりました。

それから、大学を卒業してはじめて働いたプラネタリウムも、ちょうど子どもを産むときに一旦離れちゃったんです。やっと復帰したと思ったら閉館になってしまって。同じ頃、学生時代にアルバイトしていた町田のプラネタリウムも閉館に。

何かいいことだってあるはずと、必死にいいこと探しをしたけれど、ありませんでした」

永田さんが夢の仕事に向かって進んでいたとき、プラネタリウムは次々と街から姿を消していったのです。プラネタリウム解説員として働こうにも、受け入れてくれる場所がありません。

ショックを受けた永田さんを支えたのが、お客さまの声でした。

 

あきらめないで、がんばれたのは

当時働いていたプラネタリウムが閉館になると知って、たくさんの来場者が、永田さんをはじめとするスタッフに声をかけて、これまで口にしなかった星への思いを伝えてくれたといいます。

なかには、「もう死んでしまおうかという気持ちでここにきたけれど、ちょっと生きてみようかと思う」と伝えてくれた方もいらしたとか。

永田さん:
「プラネタリウムは閉館してしまうけれど、こんなにもたくさんの人が星を見て大切に思ってくれた。そのことを知ることができたんですね。あらためて、どうしてわたしが星空の仕事をしたいのか考えてみました」

 

30歳で考えた、自分のミッション

永田さん:
「わたしのミッションは、多くの人に地球の素晴らしさを伝えること。だったら、プラネタリウムの解説員じゃなくても、たとえば近所の子どもたちを集めても、サイエンスカフェを開いても、星は語れる。その答えに救われました」

自分のミッションを決めることで、永田さんは心が定まりました。携帯できるプラネタリウムを持ってあちこちにでかけたのです。

集まった人のダイレクトな反応に刺激を受け、その面白さに夢中になりました。イベントを通じて、多くの仲間もできました。

▲永田さんおすすめ星座表アプリ

永田さん:
「それからは、なにかに迷ったり、どちらの道を選ぼうか考えたりしたときに、ミッションに照らし合わせて選択できるようになりました。感情的なことをさし挟まず、『ミッションを遂行するには、こっちのほうがいいんじゃない』と決められるわけです」

 

人生で迷ったとき、必ず助けとなるもの

現在勤めている「コスモプラネタリウム渋谷」に籍をおくことになったのも、ミッションに照らし合わせてのことだったそうです。その頃、永田さんはカフェやイベントスペースで、星空のイベントを開いていました。それでも、前職の先輩から「新しくできたプラネタリウムに来ませんか」と誘われて、永田さんは挑戦してみようと思ったのでした。

永田さん:
「正直すごく迷ったんです。モバイルのプラネタリウムならどこへでも行かれるし、仲間もたくさんいるから、毎日がすごく面白くて楽しくて。でも、『自分のミッションをひとりでも多くの人に伝えることができるのはどちらだろう』と考えたんですね。月に1度のイベントで伝えていくより、プラネタリウムで毎日数十人を前に話したほうが、自分のミッションを遂行できるはず、って。

新人研修のときに、わたし、必ず言うようにしているんです。『とにかく、自分のミッションを掲げること。それがきっと、あなたの長い人生のなかで、なにかを決断したり迷ったりしたときに、絶対に助けになりますから』って」

 

どんな道にも終わりはないし、無駄もない

永田さん:
「誰しも、状況が塞ぐことってあると思うんです。けれども、自分の進む道が途絶えてしまいそうに感じたとしても、道はずっと続いていくんですね。

それこそ宇宙の摂理で、どの星にも終わりはあるけれど、そこで終わりではない。大きな星が爆発して飛び散ったかけらが、いまの地球をつくっているように、どの星も、終わりはあるけれど無駄ではなくて、次の世代のための材料になっている。

星だけではなく、私たちひとりひとりがそういう大切な存在なんです」

永田さんのお話に、生きる力が湧いてきて、からだがぽかぽかとあたたまってきました。

もしも自分のミッションを、北極星のように心に掲げていたら、迷うことがなくなるのかもしれません。道を見失いそうになったら、星を見上げるように確かめて、そちらに向かって進んでいけばいいのだから。

きっとひとりひとりに、ミッションがあるのでしょう。それは、誰かから与えられたものではなく、自分で決めて、自分の心に誓うものなのです。

わたしのミッションって、なんだろう。心のなかをのぞきこんで、見つけたい、と思いました。

 

◎おすすめ星座アプリ

「星座表」 /「星座盤」

スマホを空にかざすだけで、目の前に見えている星座について正確に教えてくれるアプリです。星空観察のお供に、ぜひと永田さん。

 

【写真】佐々木里菜
 

もくじ

 

永田美絵

「コスモプラネタリウム渋谷」チーフ解説員。NHKラジオ第一「子ども科学電話相談」では、天文・宇宙関連を担当している。「ときめく星座図鑑」(山と溪谷社)、「太陽系の不思議109」(偕成社)、「カリスマ解説員の楽しい星空入門」(筑摩書房)など、星空にまつわる多数の著書がある。


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