【スタッフコラム】目くばせのチカラ。
編集スタッフ 岡本
目は口ほどに物を言う
横断歩道の向こうとこっち、カフェで向かいの席に座った人。
そんな通りすがりの人と予期せぬタイミングで目が合うと、なんだか気まずく感じてしまうことってありませんか。
でも、お互いの意識が通じて目が合ったときは、ときに言葉より意味深く感じることがあります。たとえ、相手が知らない人だとしても。
会社からの帰り道、電車内でだんだん具合が悪くなってしまったある日。徐々に混雑し、つり革を握る手にも汗が滲んできたところで、すこし離れた席からこちらの様子を伺うサラリーマンの方の視線を感じました。
その目は明らかに「大丈夫ですか?」と問いかけています。その目に「少々しんどい状況です……」と応えてみる私。(もちろん心で)
するとスッと立って、どうぞという目線と仕草を残し、立ち去って行きました。
たった数秒だったけれど、「目で会話してたなあ、今」と、ずきずきする頭を抱えつつ、印象深い出来事として残っているのでした。
他にも、大勢の前で話す、月1回のミーティング。目の端に映った同じチームのスタッフが、優しい眼差しで見守ってくれていたときは、「ど」がつくほど緊張していた気持ちが和らいだのを覚えています。
引っ込み思案だった子ども時代。新しく通い始めた習い事で仲良くなった子は、初めて会った日から目が合うとニコッと笑いかけてくれる子でした。
「目くばせ」というとなんだか大げさな感じがするし、「アイコンタクト」というとかっこつけている気がする。けれど、送る人から受け取る人へ思いがこもった目線には、人の心を柔らかくする力がきっとある、そんなふうに思っています。
昨年末に引越しをして新しい街に住み始めたことで、その力を改めて感じた出来事がありました。
おじさんのおかげ
新居から最寄り駅まで歩いて15分。その道中に小学校があるのですが、毎朝近くの横断歩道や門の前におじさんたちが立っているんです。人も車も往来が激しい道を地域の人が安全に通れるように見守っています。
そしてそのおじさんたちはみな、交通整理だけでなく、通り過ぎる人たちひとりひとりに声をかけてくれるんです。
「行ってらっしゃい」
「気をつけて」
「今日もご苦労さま」
元気に挨拶を返す低学年の子から、恥ずかしそうに会釈する高学年の子、さらには足早にかけていく大人にも、できるかぎり全員に。
引越し当初の私は、新しい住まいに馴染めていない不安や前に住んでいた街への懐かしさから、若干のさみしさを感じていました。
体質的に朝に強く、1日のなかで一番元気なのも朝。そんな自分を知っているだけに、寂しい気持ちに引っ張られているなんてもったいないと思っていたんです。そんな状況を打破してくれたのが、おじさんの存在でした。
晴れの日も雪の日も、毎朝同じ場所に立ち、地域の人を見守り、声をかけるおじさんたち。
ある朝初めて私を見かけたとき、昨日まではいなかったこの街の新しい住人だと気付いていたと思います。けれどそんな寂しげな顔の私にも、昔から住む人たちにするのと同じように、穏やかな視線と挨拶を投げかけてくれました。
当たり前のことかもしれないけれど、いつもの顔とか、新参者だとか関係なく、「ふつうに、さりげなく」目を合わせておはようと言ってくれたことがすごく嬉しかったんです。
まだ家にはダンボールが積み重なっているし、買い足さなきゃいけない家具だって整理できていないけれど、「きっとこの街でやっていける」と感じたのを覚えています。
引っ越して3ヶ月経った今では、おじさんの顔を見ると、ホッとするほどに。
撮影や取材など、同じことの繰り返しではない仕事と向き合っているからこそ、朝のおなじみの光景に「今日もいつも通りで大丈夫」と、力みすぎずにいられるのかもしれません。
▲寒いのが苦手で本当に春が待ち遠しいです。桜が舞うとそれだけで幸せな気持ちになりますよね。
もうすぐやってくる春は、出会いと別れの季節。
期待以上に不安を抱えて歩く姿を見つけたときは、そっとエールを送る気持ちで見守ってみたいと思います。
きっといつか、だれかが私にそうしてくれたように。
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