【おしゃれな人】第3話:口紅を塗るだけで、心がシャキッとする。コスメは日常を楽しくするもの
ライター 一田憲子
おしゃれとは、どんな洋服をどう組み合わせて着る、だけではない。たたずまいや気配が美しい人が、本当のおしゃれさんなのかも……。
そんな仮説とともにウエディングドレスのブランド「ロンブル エ ラ ルミエール」を主宰し、ドレスのデザイン、制作を手がける山室瑠衣(やまむろ るい)さんにお話を伺っています。
1話ではウェディングドレスのデザイナーになるまでのお話を伺いました。2話で前回のおしゃれの話に続き、今回はメイクについて伺いました。
メイクが楽しくなったのは、1本の口紅がきっかけ
決して派手ではないけれど、きちんとメイクすることが好きという山室さん。メイクの力を知ったのは25歳のときでした。
山室さん:
「誕生日に友達がシャネルの口紅をプレゼントしてくれたんです。口紅1本だけなのに、ちゃんとラッピングしてリボンがかけられて……。それが本当にかわいくて、ブランドとしてのホスピタリティに感動しました。
そして口紅をつけてみたら……。淡いピンクベージュだったんですが、化粧品でこんなにも心躍るものなんだとびっくり。口紅を塗るだけで、心がシャキッとするものなんだ、と初めて知りました」
そこから少しずつ口紅やマニュキュアを集めるようになりました。シャネルのマニキュア555番「ブルーボーイ」というブルーグレーの色に出会ったときにも、ワクワクし、指先に美しい色がのっているだけで、1日が変わる、という体験をしたのだとか。
▲「シャネル」のマニュキュアは、ハッとする赤の他、ブルーやグレーなど微妙な色が好き。
自分に似合う「色」を見つけて、メイクがより楽しく
▲テラコッタ色のアイシャドウ。「セルヴォーク」「rms」「アディクション」など。
ずっとメイクに不勉強で、シャネルのコスメに頼っていたそうですが、ここ数年インスタグラムなどで、いろんな人が発信するメイク方法をチェックするように。その中で知ったのが「テラコッタ」という色でした。
山室さん:
「それまで赤っぽい色は、目元にのせると腫れぼったくなりそうで使えませんでした。でも、テラコッタ色だと自然な陰影が出るので、日本人でも使いやすいなと思いました。
みなさんがお勧めしていた、ナチュラル&オーガニック系の日本のブランド『セルヴォーグ」のものがすごくいいなと思って……。その次にはオレンジ系の色と出会いました。
色や質感の豊富な『アディクション』のものも好きですね。最近では「rms」のアイシャドウでちょっと光を入れて、そこにオレンジ系をプラスし、陰影を作る感じです。
▲たたずまいの美しさが大好きという「トムフォード」の口紅
そんな山室さんには、メイクに関する素敵な習慣がひとつあります。それが、旅行に行く際、空港でご主人に好きな口紅を1本買ってもらうこと。
山室さん:
「旅先では、いろんな不満も出てきがち。でもバックの中に新しい口紅が入っているのを目にするとすぐにご機嫌になれるんです(笑)」
スキンケアは肌も心も満たしてくれるものを
基礎化粧品は、1803年創業というフランスの総合美容専門店「buly」のオイルを愛用。30代後半に肌の調子が悪くなり、スキンケアを見直した結果、このオイルにたどりついたそう。今では、すっかり肌の調子は回復しましたが、もし悪くなったとしてもすぐに元に戻るようになりました。
山室さん:
「オイルが100種類ぐらいあるんです。店員さんに相談すると自分の肌に合わせて選んでくださいます。私が使っているのはカモミールなんですが、子供から男性まで使える家庭の常備オイルです。これをベースに気になるところを足していく、といった感じ。最近ホワイトリリーのオイルを使ってみたら、肌の明るさがワントーン上がりました。
いつもの肌ケアは、薔薇の蒸留水の化粧水で肌を整えてオイルでケアを。乾燥した時には専用のフェイスクリームをプラスします」
実は、当時アパレル会社に努めていたご主人と一緒にフランスに行った際、パリで「buly」のショップに立ち寄ったのを機に、ご主人はこのブランドの日本支社に転職することになったと言いますから、不思議な縁に驚きます。
香りは、見えない景色を見せてくれるもの
香りも大事なアイテムのひとつ。旅先では、キャンドルを買って、ホテルの部屋に灯します。
山室さん:
「帰国して、持ち帰ったキャンドルを自宅に灯し、香りをかぐと、楽しかった旅の時間へタイムトリップできるんです。香りを2度楽しめますね」
キャンドルの香りが、自宅に「あの時の風景」を運んできてくれる……。自由に移動ができなくなった今だからこそ、そんな記憶の中にある香りを楽しんでみたいものです。
山室さん:
「二度目にリュビネル刺繍を学びに行った時、「シャネル」のオードゥ パルファム「ガブリエル シャネル 」がで始めた頃で、多くの方がつけていたので、パリの町中がふんわりこの香りに包まれていました。学校の先生もつけていらして……。だから、私にとってパリの思い出の香りなんです。
その時には、夫も最初の数日だけ一緒にパリにいたのですが、私が日本に帰ったら、同じ香りが机の上に置いてあってびっくりしました!」
なんて素敵なエピソードなのでしょう! 山室さんは、いつも自分のまわりにシュッとひと吹きし、その下をくぐるつもりで香りを纏います。
▲香水をつけるときには、自分の目の位置より少し高いところから。香りの空気をくぐり抜けるつもりで。
今は、毎日出かける予定がなくてもベースメークをし、自分のスイッチを入れるそう。山室さんが毎日使っているオイルも、口紅も、香水も、ただメイクをする道具だけでなく、鏡の前に並べているだけで美しいものばかりでした。
山室さん:
「シャネルが好きなのは、発色がいいのはもちろんですが、やはりデザインが美しいから。この香水の瓶なんて、シンプルなんだけれど、手に馴染む丸みだったり、ラベルの大きさが秀逸でしょう?」
住む場所も、窓辺に飾るガラスの花瓶やグリーンも、壁を彩るアートも、部屋に静かに流れる音楽も、洋服も、メイクも、そしてご自身で作るウェディングドレスも。引き出しはたくさんあるけれど、それが全部1本の線でつながっている……。
美しいもの、好きなものの中に身を置き、身につけ、過ごしているうちに、自分の内側から自然に香り経つ。それが、山室さんが持つおしゃれな気配の正体のようでした。
【写真】鈴木静華
もくじ
山室瑠衣
デザイナー、ドレスメーカー。北海道帯広市生まれ。バンタンデザイン研究所ファッション学部で、パターンを学ぶ。2006年、秋田県にウエディングドレスと服飾資材を販売するアトリエ兼店舗「トワル rui」をオープン。2008年より、オーダーメイド専用アトリエ「アトリエトワル rui」とし、予約制のサロンに変更。2011年東京に移転。2014年からプレタポルテライン「ロンブル エ ラ ルミエール」をスタート。シンプルでありながら、美しいフォルムと、他にはない繊細な刺繍をあしらったウエディングドレスは、知る人ぞ知る存在。https://www.l-lumiere.com
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