【クラシコムのしごと】「なぜ?」を徹底的に深掘って、動機をすり合わせる。メイクチームのものづくりに密着しました

編集スタッフ 吉野

当店で働くスタッフの様子をお届けしている不定期連載「クラシコムのしごと」。

今回は、当店オリジナルコスメの開発から販促までを担当するメイクチームのスタッフに密着しました。

▲左から、スタッフ竹内、石谷、吉野、木下

当店のオリジナルコスメ開発はアイカラーから始まり、現在は化粧水・美容乳液やスキンプライマーにまで幅が広がっています。

主に開発を木下と吉野、仕入れや販売企画を石谷、そしてマネージャーとして竹内が総括するメイクチーム。全員が、当店のEC企画運営(MDグループ)のメンバーでもあります。

実は、コスメが大好きだというメンバーもいる一方で、最初は少しハードルを感じていたメンバーもいたようです。チームが発足して5年が経ったタイミングで、じっくり話を聞いてみました。


日用品みたいに、決まったコスメばかり選んでいたけれど

竹内:
「私自身、元々コスメに詳しいわけでも、メイクが得意というわけでもないんです。コスメカウンターに行くのも、なんだかドキドキしてしまって勇気が出ないくらい。

だから洗剤などの日用品を選ぶときと近い感覚で、いつも同じコスメばかりを選んでいました」

竹内:
「でもずっと、これでいいのかなという気持ちもありました。私たちが大好きな雑貨や家具、器などの暮らしの道具みたいに、コスメも『これがいい』というお気に入りを見つけて選べたらなあと。

その頃、社内からも同じような声が聞こえてきていて、もしかするとお客さまにも同じように感じてくださっている方がいらっしゃるかもしれない、とオリジナルでコスメをつくることになりました。この気持ちは、アイテムの幅が広がった今でも引き継がれていっているのを感じます」


プロの知識と私たちの視点でつくるコスメ

竹内:
「化粧品は、肌に直接触れるもの。様々なリスクを考慮して、慎重に進めていきたいという思いがまずありました。なので、いつかは毎日に寄り添ってくれるようなスキンケアアイテムを……という構想はありつつ、まずはアイカラーやリップ、ネイルカラーなど、ポイントメイクを楽しめるものから始めました。

とはいえ私たちは化粧品の専門家ではないので、化粧品メーカーの技術者など、知識や経験の豊富なプロの方々に伴走してもらい開発をしています」

▲左側から、開発した順番に並べてみました

木下:
「開発したいアイテムが決まったあと、社外のプロの方々とまず行うのは、私たち視点の『なぜ?』を徹底的に深掘りする作業。

例えば乳液の開発であれば『化粧水のあとに乳液をつけるのはなぜ?』『乳液をとばしてクリームではいけないのか?』『とろみをつけるメリットとデメリットはなにか?』とか、本当に基本的なことから。ここから商品の軸が固まっていくので、納得できるまで続けます。

実は一番時間を要するプロセスで、ときに数ヶ月くらいかかることも。いまいち固まらないとなかなか先に進めないので、苦しさもあります」

▲化粧水・美容乳液開発のようす。社内外の多くのメンバーと一緒に、一歩一歩進めました

木下:
「けれどこの時間が、お客さまが商品に持つ感想や使い心地はもちろん、その商品を『当店でお届けする意味』の解像度を高くすることに繋がるのを実感していて。

どのアイテムを開発するときにも、欠かせないプロセスだなと感じています」


商品ページから感じた、コスメ開発への「本気」

吉野:
「私はもともとコスメが好きで、前職では化粧品メーカーでコスメ開発をしていました。今でも研究するような感覚で日々いろんなスキンケアアイテムを試すのが楽しくて。

お客さんとして当店を訪れていたときには、リップバームを愛用していました。商品ページから開発への『本気度』のようなものを感じて、試してみたらこれは……!と。使い心地からも、とてもこだわって作られているんだと伝わりました」

▲リップバームは、お客さまの顔に直接つけていただく初めてのアイテムに。メンバー一同どんな反応をいただけるかドキドキだったのだそう

吉野:
「そんな中でクラシコムに入社して新鮮だったのは、『動機』を深めることに時間をかけ、その動機をもとに成分や効果、テクスチャを決めていくことでした。

例えばスキンプライマーであれば、こんなプライマーが欲しい!と自分から出てきた動機を持った上で、オフィスでスタッフにベースメイクの悩みを聞いてまわりました。元々お客さんでもあるスタッフたちと一緒に、主語を『私』から『私たち』にしていくイメージでしょうか。

こうしてまず、動機をすり合わせ、より明確なものにしていきました」

吉野:
「その中で『自然で心地よい仕上がり』『でも1本でも使えるくらい程よくカバーしてくれること』が軸になりそう、と分かって。それを実現できるよう、プロの方々との打ち合わせを重ねていきました。

配合のパターンを変えたサンプルは30個ほど試作して。『軽やかに肌になじむ使用感』や、『気になる部分を覆い隠すのではなく、肌に当たる光でぼやかす効果』という特徴をもったスキンプライマーになりました。

今思えば入社前にリップバームに感じた『本気』は、こうした過程の積み重ねから来ていたのかもしれません」


「動機」に向き合うきっかけになったのは

木下:
「どんな成分をどのくらいの比率でつくるか、どんな容器のデザインにするか……選択肢がたくさんあるからこそ、私たち自身の『動機』は方向性を握るカギになるなあと感じています。

印象的だったのはハンドクリームを開発していたとき。美白成分が入ったもの、保湿効果が高いもの……などサンプルを試しつつ、方向性が定まらなくて行き詰まってしまったことがあったんです。そうしたら(店長の)佐藤さんが『自分たちの手に関するエッセイを書いてみよう』と。

当時開発に携わっていた4人でエッセイを持ち寄ったら、誰も『手をきれいにしたい』とは書いていなかった。共通していたのは、『今まで共に時間を重ねてきた、働きものの手を労われるクリームがあったら』というものでした」

木下:
「なのでテーマは『そのままの手』を労るハンドクリーム、に。そこから一気に道がひらけたように、成分や香り、容器のデザインなどいろんなことが決まっていったんです」

石谷:
「ハンドクリーム以降に開発したアイテムは、テーマがより明確になっていきましたよね。化粧水・乳液なら『ゆらいでいいと思っていたい』、スキンプライマーなら『夕方までごきげん肌』。

動機がそのまま、このアイテムといえば?というテーマに繋がっています」


自分が愛用していて感じたことも、企画に活かしてみたら

石谷:
「アイテムをどんな時期に、どんな言葉でお客さまにご紹介するか?ということも、開発と似たところがあるかもしれません。

例えばスキンケアアイテムが特に気になるタイミングは、花粉の時期、乾燥しがちな時期……などがパッと浮かびますが、それに加え、より実感のこもった企画もしていきたいなと思っているんです。

自分自身が愛用していて、こんなタイミングで手に取ったとか、どんな使い方をしたら習慣に取り入れやすかったか、という実体験から企画を考えたこともありました」

▲石谷が書いた「オイルインミスト」の愛用品コラム。一度は距離感が掴めず眠らせてしまったものの、自身に合った使い方を見つけたことで旅行へ持っていくほどのお気に入りになったのだそう

石谷:
「記事を読んでくださったお客さまから『同じ方法で使ってみました』『実際に使ってみたくなりました』とお声をいただけたのは、本当に嬉しかったです」

竹内:
「ご注文いただくことも、企画したコンテンツやアンケートに感想をいただくことも、お客さまのリアクション一つ一つがとても嬉しいですし、励みになっていますよね。

これからも自分たちの動機と紐付けながら、何よりお客さまが使ってくださる姿や気持ちを想像して、真摯に商品を作り、企画を届けていきたいです」

今回のインタビューを通して、メイクチームから感じたのは「分からない」ことを取りこぼさず伝えることと、自分たちの動機を突き詰めることから出てくる誠実さでした。

***

ちなみに……と木下が教えてくれたのが、化粧水・美容乳液の容器のこと。

「日々ゆらいでいく中で帰ってこられる場所になるように」と容器の触り心地をやさしいものにしているのだそう。

言われてみれば……!と実際に触ってみて気づきました。

私も愛用者のひとりで、マットな質感はデザイン面で気に入っていたのですが、動機が触り心地にまで通じていたなんて、と驚き。アイテムにもスキンケアの時間にも、より一層愛着が湧いたエピソードでした。


photo:加藤新作(9枚目)、北村圭介(10枚目)

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