【あの人のバッグ】持ち物はその人の一部だから、自分にフィットするものを選びたい。グラフィックデザイナーのかばんの中身
リップに手帳、お財布、ポーチ。お出かけに欠かせないものとして選び集めてきた「バッグの中身」には、そこかしこにその人らしさが詰まっているように感じます。
「あの人のバッグ」は、気になるあの人のバッグやポーチの中身を見せてもらう連載シリーズ。今回ご登場いただくのは、グラフィックデザイナーの柏崎 桜さんです。
まず、もの選びの際の基準を聞いてみると、こんな答えが返ってきました。
柏崎さん:
「持ち物はその人の一部だと思うので、自分の好みや考え方にフィットしたものを丁寧に選びたいです。
無駄を削ぎ落とし洗練されたものよりも、作り手のくせや遊び心が見えるもの、個体差があったりと一つ一つが均質でないものの方が私には合っていると感じます。
使いながら風合いが変化していくものも好き。自分が入り込む余地があるものは大切にしたいと思えます」
今回はそんな柏崎さんがいつも持ち歩いている「バッグの中身」を拝見します。
ー バッグとその中身 ー
見つめて、知って、触って、選び集めた
作り手の遊び心を感じるアイテム
(左上から時計回りに)
・クリアファイル
・ペンケース / Luisa Cevese Riedizioni
・刺繍のポーチ
・石と真鍮のキーホルダー / POSTALCO
・アクリルキーホルダー / ミュージシャン東郷清丸さんのグッズ
・ハンカチ / Found MUJI
・財布 / i ro se
・文庫本
・水筒 / Fellow
・スエードの巾着 / REEL
柏崎さん:
「POSTALCOのキーホルダーは夫が記念日にプレゼントしてくれたもの。溶けかけの飴のような天然石がついていて、ずっと触っていたくなる質感です。
ピンクの水筒は、Fellowというコーヒープロダクトメーカーのもの。水筒に入れた飲み物の味が変わってしまうのが嫌、とぼやいていたらコーヒー好きの夫がすすめてくれました。内側がセラミックでコーティングされているので、味が変わらず感激しました。コロンとした形や色も可愛くて気に入っています。
文庫本には、捨てずに取っておいた包装紙や、仕事で出るヤレ紙(印刷する際の試し刷りや刷り損じの紙)で作ったブックカバーをかけて。外出先で気になった印刷物を持ち帰ったり、映画のフライヤーや美術館のチケットをしまったりするためクリアファイルも持ち歩いています」
柏崎さん:
「Luisa Cevese Riedizioni(ルイーザ チェベーゼ リエディツィオーニ)は、テキスタイルデザイナーのルイーザ・チェベーゼさんが廃棄される糸くずや端切れに着目し、それらを樹脂でコーティングして製品を仕立てているブランド。
このペンケースの材料となっているのはカセットの磁気テープです。
元のカセットテープの印象とは全く違うリズミカルで美しい模様は何度見ても飽きず、はじめは廃材を利用したプロダクトだと気づかなかったほど。素材の選択や扱い方などにセンスを感じます。
他にもドライフラワーや革など素材がさまざまな上に、個体差もあるので選ぶのが楽しくて、ピンクのビニールテープのポーチも持っています」
柏崎さん:
「スエードの巾着は、バッグの中で必要最低限のものをまとめるのに使っています。
軽やかなデザインと明るいカラーリングで、私の中の革製品のイメージが変わりました。使い続けるうちに柔らかく手に馴染む質感になってきて、ますます愛着がわいています。
アトリエにお邪魔してお話を伺ったこともあるのですが、デザイナーの方の考えや美意識が、このシンプルなデザインの中にしっかりと落とし込まれていると感じました」
柏崎さん:
「普段使いのバッグは "A4サイズが入る黒いリュック" です。代替わりさせてはいますが、10年近くこの習慣が続いています。
A4サイズのクリアファイルが入って、PCなど重いものを持ち歩く日でもなるべく身軽でいられるようにと、このサイズになりました。色はどんな服にも合わせやすい黒を選んでいます。
今はGREGORY×BEAMS BOY別注のリュックを愛用中。ロゴのカラーリングが絶妙です」
ー ポーチとその中身 ー
ポーチの中にも好きなデザインを。
必要なものをすっきりまとめて
(上から時計周りに)
・ポケットティッシュケース / REEL
・リップバーム / D.R.HARRIS
・絆創膏
・リップスティック / Mitea ORGANIC
・ハンドクリーム / MAMA BUTTER
・薬入れ(リップバームの容れ物)/ SUAVINA
・日焼け止め / KOSÉ
柏崎さん:
「お化粧はほとんどしませんが、日焼け止め、ハンドクリーム、リップクリームは必ず持ち歩きます。最近は年齢のせいか、血色の悪さが気になることが増えたので、口紅くらいはつけようかとMiteaの色付きリップも仲間入りしました。
鼻炎持ちなのでポケットティッシュも欠かせません。巾着と同じREELのケースを使いはじめて、ティッシュをお気に入りのアイテムとして持ち歩けるようになりました。薄くて軽くて、華美じゃないところがティッシュらしくて良いんです。
薬を入れているのは、SUAVINAのリップバームの容器。スペインの薬局から始まった歴史あるブランドで、このデザインも発売当初からほとんど変わっていないそう。容れ物に一目惚れして購入し、中身もきれいに使い切って今は薬やアクセサリー入れとして活用しています。サイズが小さいので、錠剤は1錠ずつに分けて」
・腕時計 / CASIO
・陶器の指輪 / Miss Bibi
・透明アクリルの指輪 / 木工作家 西本良太さんの作品
・その他 / 不明またはアンティークショップで購入
柏崎さん:
「指輪は服にあわせて複数選んでつけることが多いです。質感・色・形をあれこれ取り入れつつも、全体のバランスをとるのが楽しくて。
西本良太さんのアクリルの指輪は特にお気に入り。社会人になって間もない頃、京王閣競輪場で行われていた蚤の市で購入しました。着けているのかいないのか、ガラスなのかゴムなのか、一見すると不思議な存在感ながら、どんな時も手に馴染んでくれます。アクリルは経年変化を楽しむ素材ではないと思っていましたが、 これは時間が経つほど光沢に深みが増す気がします。
真珠のピアスは色味や質感が肌に馴染むので好きです。コーディネートの重心を上げたい時や、顔まわりを引き締めるためにワンポイント欲しい時など、バランス調整にも役立ってくれます」
***
日々グラフィックデザインの仕事に向き合われている柏崎さんだからこその、身近なデザインへの視点と、作り手への敬意。そして手で触れられる「もの」自体に対する愛着を、随所に感じたかばんの中身でした。
次回はどんなバッグが登場するでしょうか。お楽しみに。
photo:柏崎桜
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柏崎桜
グラフィックデザイナー。金沢美術工芸大学 視覚デザイン専攻を卒業後、広告制作会社勤務を経て、2019年に独立。展示やイベントの宣伝美術、パッケージ、冊子、グッズなどのデザインを手がけている。
Instagram: @sakura_kashiwazaki
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