【おしゃれのスイッチ】第3話:ヘアスタイル、メイク、アクセサリー。ひとさじのおしゃれを重ねて、自分らしく
ライター 藤沢あかり
おしゃれについて考えるのは楽しいものです。
自分のためにする小さなおしゃれが、パッと気持ちを切り替え、元気づけてくれたり、思わぬ力をくれたりすることがあります。
それはまるで、おしゃれのスイッチ。
セレクトショップ&カフェ「coromo-cya-ya(コロモチャヤ)」のディレクター、そしてシャツブランド「Houttuynia corata(ホーチュニア コダータ)」のデザイナーでもある中臣美香さんが、仕事や子育てのなかで感じる、自分のためのおしゃれの話についてお聞きしています。
今回は、メイクやヘアスタイル、香りなど、ファッションにひとさじ添えるおしゃれについてをお届けします。
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くせ毛を個性にしてくれた、美容師さんとの出会い
耳が出るくらいにすっきり短くカットしたショートヘアがお似合いの中臣さん。聞けば学生時代から変わらずショート派で、「少し伸ばしたのは結婚式の時くらい」と話してくれました。
ゆるくパーマをかけているのかと思ったら、実はもともとの髪質なのだとか。
中臣さん:
「若いときは、ストレートが流行っていた時代もありましたし、当時は髪をどうしていいかわからなかったんです。でもあるとき、無理に伸ばしたり隠したりするよりも、わたしのくせを生かした方がいいと言ってくれる美容師さんに出会いました」
▲朝は、霧吹きで軽く濡らしてからホホバオイルをなじませ、最後にワックスでスタイリング。ホホバオイルは夜のドライヤー前にも。
中臣さん:
「一生懸命に手を加えて素敵に見せるより、自分のもっているものを生かしたいと思えるようになりました。いま、お願いしている方も、ご自身がくせ毛だから、わたしの髪を扱うのもお上手なんです」
耳元に、手元に。きらりと寄り添う小さなアクセサリー
そんなショートヘアの中臣さんの顔まわりに変化をつけるのは、耳元に光るアクセサリーです。
中臣さん:
「20代のときはアクセサリーをつける習慣がありませんでした。いま思うと、つけたいと思えるものに出会っていなかったのかもしれません。
たとえばイヤリングもそうです。ピアスに比べてデザインが少ないのですが、金具が目立たず、ストレスなくつけられて、デザインも美しいものがあると知り、少しずつ増えていきました」
▲イヤリングでも華奢なデザインが楽しめる『Ense(アンサ)』。締めつけ感がない付け心地も気に入り、お店でも取り扱うことにしたそう。
▲身につけているのは『semeno』。手首に当てているシルクコードのものは『Perche?(ペルケ)』
中臣さん:
「ブレスレットも、さりげないものが好きです。産後は、子どもと一緒に過ごしても気にならない、シルクコードに石がひとつだけついたものを買い足しました。どちらも華奢に見えますが丈夫なので、子どもと一緒に過ごすときも着けやすいです」
メイクの難しさはプロに頼って解決
この日、中臣さんにお会いして真っ先に感じたのが、お肌のつややかさ。明るい笑顔はもちろん、ハツラツと健やかな印象を受けたというのは、1話目でもお伝えした通りです。
中臣さん:
「そう感じていただけたのなら、うれしいです。実は、メイクの仕上げにハイライトを入れるといいと教えてもらって、ツヤを足すようになったおかげかもしれません」
中臣さん:
「少し前に、プロのメイクさんにお願いして、お店のスタッフみんなと一緒にメイクレッスンを受けました。
お店のイメージに合うような自然さがありながらも、それぞれの個性を輝かせるようなメイクって一体どんな感じだろうと興味を持ったんです。
メイクは毎日しているのに、じっくり教えてもらったことがありません。わたし自身、お店に立つ以上はお客さまにがっかりしてほしくないし、きちんとしている存在でいたい。そんな義務感が先に立ち、自分が楽しんでポジティブに向き合えていませんでした」
▲使っているハイライトは『rms beauty』のルミナイザー。
中臣さん:
「わたしは乾燥肌にずっと悩んできたので、保湿重視のベースメイクを教えてもらいました。そのなかで、乾燥が気になるならカラーメイクをしない日もハイライトだけは絶対にやったほうがいい、とアドバイスをもらったんです。これまではハイライトって、メイクに詳しい人が使うイメージでしたが、実際に取り入れてみたら自然だし、まわりからも好評です。
黒しか使ったことのないマスカラも、わたしの暖色に染めた髪に合わせて赤っぽいカラータイプを提案してもらったり、彫りの深い顔立ちのスタッフは、その良さを引き出してもらったり。
自分にあったポイントや、これだけはというメリハリを教えてもらえたことで、プロに意見をもらうって大切だと実感しました」
▲スキンケアも、コスメに詳しい人に教えてもらったもの。左から『reMio』のローズウォーター、アルガンオイル、『do organic』の化粧水、『F organics』のクリーム。
中臣さん:
「お風呂あがりはローズウォーターとオイルのスキンケアだけは必ず済ませます。子どもと一緒だと、ゆっくりケアというわけにはいきませんが、乾燥がとにかく気になるので、ここまではやると決めて。そのあと、寝かしつけてから化粧水、保湿クリームをゆっくり重ねています。
肌に合うものを教えてもらい、きちんとケアをするようになってから、乾燥の悩みが落ち着きました。そうしたら、ストレスも減ってきたんです」
おしゃれのゴールは「自分がご機嫌でいられること」
中臣さん:
「おしゃれって、着るもの、身に着けるもののことを指しますよね。でもその先にある、気に入ったものを足しながら、最後に自分を機嫌よくしていくところが出来上がりだと思っています。
自分で見つけたお気に入りを身につけると、気持ちが満たされます。そうしたら、ご機嫌でいられるし、自分らしさも維持していける。自分に向けてしていることですが、そのおかげで気持ちがやわらかくなって、相手にもやさしくなれることもあると思うんです。
そう思うとおしゃれって、自分のためであり、人のためでもあるのかもしれませんね」
▲仕事柄、香水は控えているので、代わりにほのかな香りのフローラルウォーターをシュッ。
そしてもうひとつ。
「おしゃれは目に見えるスタイリングだけでなく、その外側にある空気感や清潔感まで大切にしたい」と中臣さん。
目には見えないその空気をまとうように、出かける前には総仕上げとして、お気に入りの香りをひと吹き。このひと手間で、気持ちがオンに切り替わるのだそうです。
シャツの肌触りや帽子のシルエット、自分らしくいられるメイクやヘアスタイル。小さなお気に入りを重ねて、いまよりちょっとご機嫌に。
自分の手で、自分を整えていけるのだと思うと、おしゃれって大人になるほどにおもしろそうです。
ご機嫌に、わたしらしくいられるように。小さなおしゃれが、そっと背中を押してくれます。
パチンと入れるおしゃれのスイッチ。さあ、なにから始めてみましょうか。
【写真】鍵岡龍門
もくじ
中臣美香
1982年、長野県生まれ。吉祥寺のセレクトショップ&カフェ「coromo-cya-ya(コロモチャヤ)」ディレクター、シャツを中心としたブランド「Houttuynia corata(ホーチュニア コダータ)」デザイナー。夫と1歳の息子との3人暮らし。Instagram:@nakatomimika
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