【センスのいい人】第1話:服は、たくさんなくていい。大人の普段着おしゃれ。
編集スタッフ 二本柳
センス磨きは、諦めることから?
諦める、という言葉は元々 「明らめる」 と書くのだそうです。
つまり、物事を 「明らかにする」 ということが 「諦める」 の本来の意味だとか。
今までネガティブなイメージをもって使ってきた言葉でしたが、根っこをたどると意外な意味があったんですね。
特集 『センスがある人のヒミツ』 では、諦める、いえ “明らめる” ことでセンスはよくなるのではないか? ということを全3話にわたり考えていきます。
センスのいい人。
そう言われて、私が頭に浮かべるのは 「自分に似合う」 を知っている人でした。
その人が1番すてきに見えるオシャレを知っていて、その人が1番輝ける暮らし方を知っている。
一見とても簡単なことのようなのに、それがなかなか出来ないんです。
なぜ出来ないのかというと、 「自分に似合う」 の原点は、本当の自分を 「明らか」 にすることにあるから。本当の自分なんて、そう喜んで向き合いたいものでもありません。
だから “センスのいい人” は、もしかすると “諦め上手さん” とも言い換えることができるのではないか……?
そんな仮説をもとに、とある大人の女性に会いに行きました。
気になる女性、渡辺靖子さんに会いに行きました。
今回、私が訪ねたのは東京・神宮前でイギリス風の家庭料理を出すカフェ 「SW11 kitchen」 店主の渡辺靖子さん。
渡辺さんと待ち合わせをしていた代々木公園に向かうと、約束よりかなり早い時間に愛犬のきときとちゃんと散歩をする姿を発見しました。
どうやら、毎朝、こうして自宅から約30分かけて職場まで歩くのが日課なのだそうです。
出がけに夫婦で喧嘩をしてしまうとムカムカしながら家を出るけれど、この公園にきて犬のお尻を見ながら歩いているうちに 「ま、いいか」 と、どうでもよくなってしまうとか。
私が渡辺さんに初めてお会いしたのは、取材に伺うよりもっと前のこと。お店にランチを食べに行ったときでした。
週末なので予約をしようと電話をすると 「予約なんていらないですよ〜。混んでませんから大丈夫」 と気さくな返事。
その気取らない印象は人柄にもそのまま表れていて、一見するとエレガントで格好いい大人の女性だけれど、話し始めるとものすごくチャーミングな方でした。
シンプルながらスタイルのある服装や、率直なしゃべり方。
初対面の、しかも20以上も歳の差がある私さえ不思議と惹き付けられるようなセンスが、渡辺さんにはあるような気がしました。
連載1話目は、そんな渡辺さんのファッションからお届けします。
見せてください!
大人の普段着コーディネート
ワイドパンツに合わせたのは
あえての 「丈長」 トップス
丈長と合わせてバランスをとりました。
最初に見せていただいたのは、15年以上やすませながら愛用し続けているボトムスにネイビーのトップスを合わせたリラックススタイル。
渡辺さん:
「ワイドパンツって、トップスを小さくしてバランスを取るというのがセオリーだと思っていたんです。でも 『こういう丈の長いものと合わせてみてもいいんじゃない?』 と試してみたら案外よかった。
私は背が低いから、ワイドパンツは難しくて。 『太く、背が低く』 見えちゃうかなって思っていたけれど、上物を長くすることでスタイルがよく見えたような……。
年齢やその時の気分によって、自分の目も体型も変わるじゃないですか?だからファッションはセオリーとかルールにこだわらなくても、できることってあるんじゃないかと思うんです」
トップスを白にしたら「やりすぎ」かなって。
渡辺さん:
「今日のコーディネートは、上物を白にするかどうかで迷ったんです。
でも、この色のパンツには白の靴を合わせたらきれいだろうな〜と漠然と思っていて、だから上まで白にしちゃうと靴と色合わせしているみたいで 『やりすぎだな』 って。
常に 『ちょっと抜きたい』 という気持ちがあるから、程よく引き算するのが永遠のテーマなんです。永遠、は言い過ぎかしら?」
<BRAND DATA>
・ボトムス … メゾン・マルタン・マルジェラ
・トップス … R
・シューズ … R
「柄 × 柄」も、色を合わせれば
大人のカジュアルに
ボーダーとギンガムチェックの重ね着で、遊び心を。
次は、エプロン好きな渡辺さんのお仕事スタイル。
家にはたくさんあるけれど、結局いつも使うエプロンはお気に入りのマーガレット・ハウエルとCONRAN SHOPのオリジナルアイテムだとか。
この日はボーダーのトップスに、ギンガムチェックのエプロンを身につけて登場してくれました。
渡辺さん:
「ふだんは無地の服ばっかりなんですよ。でも時にはこうして 『柄 × 柄』 を遊ぶのもたのしい! 色を統一すればそこまでハードルも高くないですしね」
靴は色で選びます。
ふと足元に目をやると、履いていたのは男前なデザインのスニーカー。
蛍光イエローのラインがさりげなくアクセントになっています。
渡辺さん:
「スニーカーは色で選んでいますね。
これは、靴底の部分にちょっとビビッドな色が入っていて。今日みたいに黒とかネイビーの単色を着ることが多いので、こういう色がひとつ加わるのもいいかなって思ってます」
<BRAND DATA>
・トップス … Amor Kids
・エプロン … CONRAN SHOP
・半ズボン … n100
・スニーカー … NIKE
寝かせていたデニムは
旬なデザインのコートに合わせて
毎シーズン買い足すのは、ちょこっとだけ。
最後は外を歩くときのコートスタイルです。
ネイビーのコートは今年買ったばかりの新品ですが、合わせたデニムは15年以上も前から愛用しているという年代物。
渡辺さん:
「ぜんぶを新品にしなくてもいいと思うんです。
とはいえ全部を古い服にするのも違うなと。毎シーズンちょこっとだけ買い足して、長年愛用している服と組み合わせています。
たとえば若い頃に気に入っていた服も、それだけ着ていたら古っぽいかもしれない。でも 『時代性』 を取り入れたアイテムと組み合わせたら…… 全くちがう着こなしになるんです。
今日履いたデニムは、しばらく寝かせていたものでした。でも今の服なら、この太めなシルエットが合いそうだなと思って再び出してきました」
<BRAND DATA>
・トップス … Vivienne Westwood
・デニム … carhartt uk
・コート … R
渡辺さんのファッションは自然体で、とてもシンプルな服ばかり。
そのはずなのに、その佇まいは待ち合わせをしていた公園でもすぐに見つけることができたほど際立っていました。
最先端の服をたくさん持っている、というのとは違う。「自分に似合う」 を知っている格好よさが、渡辺さんのおしゃれなのだと思います。
でも 「自分に似合う」 ってむずかしい……。どうしたらスマートにおしゃれを楽しめるようになるのでしょう?
次回の第2話では、渡辺さんに 「自分に似合う」 の見つけ方をお聞きしました。
(つづく)
【写真】木村文平
もくじ
渡辺靖子
東京・神宮前のイギリス家庭料理風のお店 「SW11 kitchen」 店主。2016年6月からは大人の服を取り扱うブランド 「R」 のコーナーもでき、食事をしながら買い物もたのしめる空間に。木金土日の12:00~18:00の営業(日曜のみ17:00まで)。少しだけ分かりにくい場所だが、一度行くと何度も通いたくなる居心地のよさがある。http://sw11.biz/access/
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