【スタッフコラム】6歳の女の子とすごした夜。

それはまだ桜が咲く前、友人の結婚式に出席した夜のこと。日比谷を眺める、とあるホテルでの出来事です。
ひょんなことから、結婚式が開かれたホテルに居座り、久しぶりの外泊をしました。
「このホテルには、フランク・ロイド・ライトのデザインが残っているバーがあるよ」という新婦の一声で、仲間内で部屋をとることになったのです。

その夜のルームメイトは、女友達ふたりとその娘ひとり。ふたりとは学生時代からの付き合いで、6歳になる友人の娘ともずっと親しくしています。
披露宴のあとは、久しぶりに集まった学生時代の仲間たちと連れ立って、例のバーに行こうという展開に。そんな中、私は友人の娘の子守役をかって出ました。いま思うと、バーに行きたいからホテルに残ったのに、われながら本末転倒な思いつき。
でもなぜか、名匠のデザインを見るより、美味しいカクテルを飲むより、目の前の女の子と夜を過ごしたいと思ったのです。

部屋に残った私たちは、バスタブにお湯をはり、いつもより少しだけ広い湯船を楽しみました。お風呂上がりにその娘の髪を乾かしていると、「あのねえ」と彼女はおしゃべりをはじめます。
「歯ミガキはねぇ、力を入れすぎると、すごく痛いんだよ」
何の話かな?と思いつつ相槌をうつと、
「髪の毛を乾かしてもらったり、とかしてもらうのはうれしいんだ〜。でも結ぶとき、ぐいって髪を引っ張られるのはイヤ」
と続いたセリフから、その娘の体験談だということがわかりました。突然どうしたんだろう?と考えながら、続きを聞くと、
「あとね、自分が急いでるときだけ “早くしなさい” って言うのはダメだよ。自分がゆっくりしたいときは、 “早く” なんて、絶対言わないんだもん」
その後も滔々と語りかけてくる彼女の話に耳を傾けていると、すべては私に娘がいることを知る、6歳の女の子からのアドバイスだと気がつきました。
自宅で夫と留守番する娘から、テレパシーでも送られているのでは?と思うほど、思い当たる節がありすぎて。ただ笑って「わかったよ」とうなずくことしかできませんでした。

翌朝わたしは食事をすませると、すぐにチェックアウトして帰路を急ぎました。引き出物や帰り際にもらったテーブルフラワーを抱えて、「テレパシーは存在するのかもしれない」と、真剣に考えながら。
いま思い起こすと、そんな自分が可笑しく思えてきました。6歳の女の子のまっすぐな想いは、少々刺激が強かったようです。

感想を送る
本日の編集部recommends!
部屋をもっと好きに
リビングでも子どもスペースでも。板井亜沙美さんが「動かせるテレビ」を使ったら【SPONSORED】
【世界先行&送料無料】北欧食器の名作「Pomona」が当店限定で復刻!
初めて当店でお買い物をするお客様にもたくさん手に取っていただいています。早くも大きな反響嬉しいです。
ニットフェア開催中!
一緒に注文すると送料無料に◎ 毎年人気のベーシックニットから新作アイテムまで、これからの季節に大活躍のアイテムが多数揃っています♩
【動画】1時間あったら、なにをする?
布と糸、ボタンを広げて。手紙のアルバム作り(『opnner』デザイナー・Iwaya Kahoさん)



