【ノルウェー日記】ふるまいに四苦八苦。人との距離感って、むずかしい。
ライター 桒原さやか
いつになったら、自然な振る舞いができるんだろう……。
道端で友人にばったり会ったときの、自分のふるまいに落ち込むことがあります。
「おぉー!」と、大きめのリアクションをして相手をびっくりさせてしまったり。その場をなんとか盛り上げようと、余計なことを話してしまったり。別れぎわの立ち去り方が、どうも不自然だったり。
ちょっと思い出すだけで、トホホな経験が次から次へと浮かんできます。
それにくらべて、どんな場所でも堂々としている友人を見ると、わたしもあんな風に自然に振る舞えたらいいのに……と毎回思うのです。
待っているだけじゃ、ダメなの?
先日、停留所のベンチに座って、バスを待っていたときのこと。
ふと前を見ると、乗る予定のバスがスーッと通り過ぎて行ってしまったのです。寒いなか15分ほど待っていたので、驚きとともにちょっとショックなできごとでした。
その日は家に帰ってすぐに、夫(スウェーデン人)に状況を報告。すると、こんな返事がかえってきたのです。
「日本みたいに察してくれると思って、待ってちゃいけないよ。乗りたいなら、運転手さんに手を振って、自分で意思表示しないと!」
そういえば、市役所へ手続きに行ったときも、どんどん順番を抜かされた覚えがあります。カウンターで急いでいるアピールをしないと、どんどん待ち時間が長くなっていくのです。
ノルウェーに住んでから、意思表示をしないと伝わらないことが多く、毎回ハッとさせられます。
ちいさな一歩。でもきっと、大きな一歩!
トロムソはちいさな街ということもあり、すれ違うときによくお互いに挨拶をかわします。わたしはこのコミュニケーションが好きなのですが、どうも得意じゃないのです。
「Hei!(こんにちは)」と声をかけたのに、相手が無反応でシュンとすることもしばしば。(友人曰く、わたしの声が小さいことが原因のようですが)
挨拶をしようか、それともこのまま通り過ぎちゃおうか……。
誰かとすれ違うたびに、相手の表情をうかがいつつ、ドキドキしてしまいます。
そんなことを繰り返しつつ、いろいろと自分なりにためしてみた結果、手をすこし上げながら「Hei!」と挨拶をするのが、私にはいい方法だということを発見しました。こころなしか、相手からもテンション高めの元気な返事がもどってくるような気がします。
ちいさな一歩だけれど、こういうことが大事なんだ!と痛感します。
こころにジーンと響く、やさしいコミュニケーション。
いろいろと考えて悩みがちなわたしですが、ひとつ得意なこともできました。
それは「だれかと目が合ったとき、ニコッとほほえむこと」
ノルウェーの人たちは散歩をしているときも、買い物をしているときも、カフェでコーヒーを飲んでいるときも、目が合うとニコッとほほえんでくれるのです。
言葉こそないものの、お互いが通じ合えたような、あたたかさを感じます。目と目をしっかり合わせるから、こころにジーンと響くのです。
この静かなコミュニケーションが、わたしは好きですし、居心地がいいのです。
みなさんはコミュニケーションで、何か心がけていることはありますか?ぜひコソッと、教えていただきたいです。
朝起きると外は真っ暗。日が短くなり、トロムソはだいぶ冬の景色になってきました。
ライター 桑原さやか
『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていた元スタッフ。旅が好きで、冬の旅行で訪れたノルウェーの北極圏にある町、トロムソに一目惚れ。スウェーデン人の夫と共に、2016年6月より移住をはじめている。
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