【クローゼットと私】バイヤー佐藤の「今日のコーデ」ができるまで

商品プランナー 斉木

わたしたちの暮らしに欠かすことのできない、「洋服」。当店のなかでもとりわけ洋服が好きなスタッフのクローゼットを中心に、その洋服愛をひもとく今回の特集「クローゼットと私」。

1人めとして登場するのは、当店のオリジナルアパレルの企画にも携わっているバイヤー佐藤。前回は佐藤の幼少期から今に至るまでの「洋服偏愛」ヒストリーをご紹介しました。

今回は、佐藤が日々のコーディネートをどのように考えているのかを、レシピのように手順を追って紹介していきたいと思います。

※登場するアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです。

 

お手本にするのは、“流行” よりも、“身近なひと” 。

みなさんは、コーディネートを考えるとき、何を参考にしていますか? 佐藤が参考にしているのは、社内のスタッフなど、身近なひと。また、Instagramで見つけた好きなお店のショップスタッフの方を参考にすることもあるそうです。

大切なのは、「身近」だと感じられること。自分が着たらどうなるかな?と置き換えて考えやすいのがポイントなのかもしれません。

佐藤が目指すのは、「見ている人のパーソナリティが伝わってくるようなスタイル」。その人を見ていて、こんな性格なのかな?と想像が膨らむのは、それだけ洋服が似合っているからではないか、と話します。流行に左右されるよりも、そんな「自分にフィットしたスタイル」を作りたいんだとか。

 

「今日のコーディネート」は、こんな感じ。

この日の佐藤は、ダッフルコートにニット、ワイドなチノパンというすっきりとしたコーディネート。

洋服を選ぶときや、買うときに気にするポイントは?と尋ねると、「サイズ感」などのバランス、と答えてくれました。自分の身体のサイズに合っているかどうかが、一番大切なポイントだといいます。

丈が長めのワンピースや、ワイドパンツをよく選ぶのも、コンプレックスだという「下半身のがっちり感」をカバーしたいから。ボリュームのあるボトムや、縦長のラインを作ってくれるワンピースは、体系をスッキリ見せてくれると話します。

それでは、この日のコーディネートがどのようにできあがったのか、順を追って見ていきましょう。

 



 

1.  天気予報を見ながらボーっとコーディネートを考える

テレビで天気予報を見ながら、その日の天気と自分のスケジュール(外出はあるか?商談はあるか?など)を思い浮かべます。

 

2.  メインの一着を決める

結局頭の中だけでは決められず、実際にクローゼットを見ながら、まずは「今日のメイン」を決めます。この日は、ワイドなシルエットが気に入っているチノパンに。

 

3.  着替えたら、姿見をチェック

一度着替えてバランスをチェック。今日は「これじゃ寒いかも……」と心配になったよう。洋服を選びなおします。

 

4.  再度着替えて、姿見をチェック

上を真っ白なニットに変えて、コーディネートは決まり。メインのチノパンが目立つよう、あえてシンプルなニットを選びました。

 

5.  バッグとコートを決める

この日のバッグは、約30年前に父が母にプレゼントしたというレザーのバッグ。佐藤が愛用する「お下がりアイテム」のひとつです。シックな印象になりすぎないよう、アウターはカジュアルなダッフルコートを合わせることにしました。

 

6.  アクセサリーを決める

アクセサリーは、どんなコーディネートにも合わせやすいターコイズのリングと、ネイビーの革ベルトの時計をチョイス。

 

7.  靴を履いたら、行ってきます!

(トップス:Permanent Age、ボトムス:JOURNAL STANDARD、コート:LONDON TRADITION、スニーカー:VANS、バッグ:COACH、時計:Cartier、リング:ノーブランド)

コーディネートに悩む時間も多く、出かけるときはいつも駆け足。スニーカーを履いたら、駅まで急ぎ足です。

バイヤー佐藤:
「コーディネートに一度悩み始めると、ベッドの上で10分くらいボーっとしてしまうこともあります。

朝の10分は貴重なのに!と思いつつも、コーディネートが気に入っているかどうかはその日のテンションを左右するので、どうしてもじっくり考えてしまうんですよね」

 

「好き」と「似合う」の間で。まだまだオシャレ勉強中!

ファッション好きの両親のもとに生まれ、幼い頃から多くの洋服と触れ合ってきた佐藤は、昨年30歳を迎え、洋服との向き合い方が変わってきたといいます。

バイヤー佐藤:
「自分の『好きなもの』と『似合うもの』が離れてきたような気がしているんです。

一生モノとか、長く愛せる定番、という言葉に憧れる気持ちはありつつも、自分にお手入れができるのかな?とか、好みもまだまだ定まっていないし……と思うと、結局何を着たらいいのかわからなくなってしまって。

30代になってからは、『自分にフィットする洋服』ってなんだろうと考えるようになりました。これからも、好きと似合うのちょうどいいバランスを見つけていきたいと思っています」

好きだからこそ、しっくりくるまでじっくりとファッションと向き合いたい。佐藤の模索は、まだまだ始まったばかりなのかもしれません。

来週からは、着用レビューに「小さいさん」としてたびたび登場する、デザイナー波々伯部(ほほかべ)のクローゼットをめぐる物語をご紹介します。楽しみにお待ちいただけたらうれしいです。

(つづく)

 

【写真】平本泰淳


もくじ

 


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