【スタッフコラム】好きなことって、なくてはダメ?
編集スタッフ 齋藤
つづく暑さに体も気持ちもとけそうになりながら、必要最低限のエネルギーで生きようと心掛けていた今年の夏。
「なんにもしたくないなぁ」という清々しいほどあっけらかんとしたやる気のなさに包まれ、家にいても外出してもぼんやりのらりくらり過ごしていました。
無理をしてもいつもの何倍も体力を使ってしまうだけなので、「まぁこんなときもあるよね〜」と、これはこれで良しとしたまま、気づけばもう夏も終わりです。
涼しくなってきて、やる気は出てきました。
暑さから解放され、ようやく「やる気」がふつふつと舞い戻ってきました。
けれど夏の間にぼけぼけになった私の頭では、今度はやる気だけが空回りし、何をしたらいいのかわからない。
すっごく元気がある、やる気もある、食欲もある、どこにだって行けそうなほど好奇心もある。
でも、ここしばらく必要最低限以上のことをしていなかったので、気力や体力が戻ってきたところで、気持ちばっかりが急いでちっとも身のある行動に結びつかず、今度は体力を持て余しすぎてやきもきしだすという悪循環に陥ったのです。
好きってなんだっけ?
ぼんやりした頭のまま、まず、リハビリを始めようと思い立ちました。
とりあえず体が慣れるまで、必要最低限のことプラス、好きなことをしよう。好きなことなら、ハードルが低いかもしれない、そう思ったのです。
でも、好きなことってなんだっけと、さらなる迷宮に入りそうな問いが、ふと頭に浮かんでしまいました。
好きなこと、ないかも……。
夏のおわり、秋から吹いてくるほのかに冷たい風が、いつもより身にしみた瞬間でした。
好きなものって、ないとダメかなぁ
好きなことってなんだっけという問い、思えば高校3年生の時も、大学4年生の時もぶつかったのでした。
どこかで聞いたことのある「好きなことを仕事に」という言葉や、「好きなものと向き合う」という決まり文句。
自分の進路を決める時、「好きなことがきっと目印になるはず!」と、どこかで思い込んでいた私は毎度「自分が好きなこと」について考えては、行き止まりになっていたのです。
けれどその後、学校や独学で、建築や美術や文学や哲学や写真などなど、好きだと思えることを一通りやってみてわかったことが、長年飽きることもなく続いていて、自分の人生に残っていることは結局、「自然としてしまうこと」だけだということでした。
「したいこと」と「好きなこと」は違う?
例えば私は去年100冊以上本を読んだのですが、「読書が好き?」と聞かれたら、正直その自覚は持っていないのです。
ただ小さい頃からの習慣で、ご飯を食べることや寝るのと同じくらいの自然な行動として、私には「読書」というものがあります。
私が思うに、好き嫌いとは何かを評価する態度。でも、評価のしようもないほど自覚なく勝手に体が動いてしまうことこそが「自分が本当にしたいこと」なのかもしれないなぁと考えるようになりました。
そういえば、母が私にご飯を作ってくれたのは、多分「子どもにご飯を作ってあげるのが好きだから」という理由があったからではなく、「ご飯を作ってあげたい」という気持ちが自然と行動に結びついていたからだと思います。そして母にその自覚があったかといえば、きっとなかったはず。(本当にお母さんってありがたい!)
ふとそんなことに気づけたら、「好きなことをしよう」って、実はとんでもないほどハードルが高いことなのでは?と思ったのです。
そしてまた、同じ壁にぶつかるところでした。(あぶないあぶない)
ということで、考えず、なりゆき任せにすることに
体力が戻ってきた今、必要最低限のことプラス「なんとなくしたいと頭に浮かんだこと」を、とりあえず行動に移していくことにしました。
「押入れを片付けたい」「夏物をクリーニングに出したい」「蒸篭を買いに行きたい」「絵を描きたい」「 映画が観たい」「回転寿司が食べたい」。
そうやってとりとめもなく「したいこと」だけしていたら、自然と体も乗ってきて、いつの間にか夏バテ前の行動力に戻ってきました。
「好きなことは何?」と誰かに聞かれたとき、答えられないと妙に自分がからっぽな人間な気がして、焦ったことが何度かあります。
でも今は思うのです。
好きなことなんて、別になくたって良いではないか、と。
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