【ケの日のこと】ひとりでお世話するから。わが家に “うさぎのバター” がやってくるまで
「家族と一年誌『家族』」編集長 中村暁野
第26話:新しい家族
先日我が家に新しい家族が仲間入りしました。耳の垂れた毛長のうさぎで、その名も「バター」。動物を飼うことが念願だった娘の8歳の誕生日に、わたしの母がプレゼントしてくれたのです。
ことの始まりは、誕生日の1週間ほど前のある日。遊びに来ていた母と娘がなにやらコソコソ話している。「何?」と聞くと「なんでもな〜い」とごまかされます。その少し後に様子を伺う感じで娘がやってくると「誕生日にばあばがハムスターをくれるっていうんだけど、いい?」と聞かれました。その横で母があちゃー、という顔。どうやら、動物を飼うことにOKを出さないわたしを見兼ね、ママにないしょで飼っちゃおう作戦を立てたらしいのです。そしてハムスターなら娘が1人でお世話できそうだし、問題ないだろうと企んだ様子。娘は「ぜっっっっったい1人で全部お世話する」と繰り返します。さて、どうしたものか。
わたしだって動物が好きなのです。子供の時は犬とずっと暮らしていたし、いつか犬を飼いたいというのは家族全員の夢でもあります。しかし、今は2人の育児と仕事と家事で余力がない。そしてかつてわたしも世話の全てを親に丸投げしていた子供だったが故、子供の「絶対お世話する」という言葉を信じるのがいかに危険かも、わかっている。そうして、長年にわたり娘の「動物飼いたい!」は却下され続けてきました。
しかし彼女ももう8歳。たしかにハムスターならひとりで世話ができそうだし、万が一約束が破られたとしてもわたしも頑張れるかな……と懇願の眼差しに負け一旦了承した後、ふと夫のことが思い浮かびました。
夫はねずみが苦手で、動物園のふれあいコーナーのモルモットも怖いと言っていたことを思い出したのです。そこで娘に「うさぎはどうかな?」と言ってみたところ、もちろん大喜び。そして夫も大喜び。そんなわけで、我が家にうさぎのバターがやってきて約二ヶ月が経ちました。
わたしの予想を覆し、娘はせっせとお世話をしています。ご飯やブラッシングだけじゃなく、朝晩のトイレ掃除やゲージの掃除も欠かさずに。出かける時と眠る時以外は家で自由に過ごしているバターが、だら〜んと足を投げ出してリビングで寝ている姿は、まさに溶けたバターのようです。夫も帰宅するやいなや抱っこしているし、生き物に対して臆病だった下の息子も「ばたーばたー」と可愛がり、まさに家族の一員として愛されています。そしてわたしに叱られた時など、娘がバターを抱えて話しかけている姿を見たりすると、動物と寄り添う暮らしっていいものだな、と改めて思います。
さて念願のうさぎとの生活で満足したかと思いきや、生き物大好きな娘はきらりとした目でいいます。「ちゃんとお世話できるってわかったでしょ?もっと動物飼ってもいい?」と。ちなみに何が飼いたいのかと問うたところ、「犬と羊と牛」と言われて母は白目。近所には本当に羊やヤギや馬を飼っているお家もあるので笑い飛ばすには現実味がありすぎるのです……。
何はともあれ、小さな家族が増えて心なしかあったかくなった我が家の「ケの日」なのでした。
【写真】中村暁野
中村暁野(なかむら あきの)
家族と一年誌『家族』編集長。Popoyansのnon名義で音楽活動も行う。8歳の長女、1歳の長男を育てる二児の母。現在は『家族』2号を製作中。2017年3月に一家で神奈川県と山梨県の山間の町へ移住した。http://kazoku-magazine.com
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