【スタッフコラム】「趣味は山です」と言うようになった同僚に連れられて。
編集スタッフ 青木
時折撮影で立ちっぱなしという日もあるけれど、編集という仕事柄、ほとんどの日はデスクワーク。一日中パソコンとにらめっこな毎日だ。
座っているのに体が疲れるなんて不思議だけれど、夕方にはしっかり疲れている。目はしょぼしょぼ、首・肩・腰はガッチガチだ。
でもいつかの雨の日。いつもなら自転車ですいーっと通る道のりを仕方なく歩いてみたら、思いのほか体がスッキリしたという日があった。
疲れていると思っていたけど、歩いた方が体が軽くなって、そのおかげで気持ちに余裕ができたのだ。
頭を動かしたら体を、体を使ったら頭を、それが交互にできたら、心身によさそうだ。久々にしっかり歩きたくなった。
***
別のある日。隣り合わせで撮影していた編集チームの田中と雑談していたら、話の流れで口が勝手に「山登りにいきたいな」と言っていた。
頭の中は撮影9割、雑談1割だったので、酔っ払っていたのかしらと思うくらい記憶をなくしているのですが、たぶん「連れてって」とお願いをした気がします。
なにを隠そう、田中の趣味は登山。いつからそうなったのかはわかりませんが、休みの予定や週末のトピックスの中に、とにかく「山」という単語が出てくるのだ。
山の先生と呼べる師がいて、山の仲間がいる田中は、いつの間にか「趣味は山です」と言う女性になっていた。
大人になってから出会った新しい世界と仲良くしているその姿は、しょぼしょぼの目をした私にはまぶしい。
自分の好きなものについて喋る時、妙な照れや、ハードルを下げるための前置きを入れずに「好きです」といえるのは素敵なことだと思うのだ。まだ本人には言ってないけど。
そしてとある週末、久しぶりに山登りへ出かけました。もちろん田中のガイドで。
集まったお供は、同じ編集チームの塩川と小林、そして私の4名。
例えなくてもいいのだが、連なって歩く姿は、桃太郎・犬・猿・キジのよう。(そんなふうに思うのも山のせい)
初心者の私たちは、桃太郎田中の足取りをコピーしながら、もりもり歩きました。
ケーブルカーを見送ったり、すれ違う人と挨拶を交わしたり、他愛もない話をして笑ったり。
飛び石を超えて、滑りやすい小さな橋をいくつも渡り、歩きやすい道に出て視線をあげるとシダの葉がキラキラしてて、話し声が静かになると沢の音が聞こえてきて……と、とにかく飽きている暇がありませんでした。
慣れない山道でもなんとか歩き通せたのは、初心者でも登りやすいコースを選択したのはもちろん、楽しいと感じられる程のちょうど良い負荷があったからかもしれません。それと、一緒に登る仲間の存在。
口に出して言うと安っぽくなるけれど、本当にそうなんですから仕方なし。
しかも頂上にはお蕎麦屋さんがあるのです!
自力の下調べだけではこのルートには決して辿り着けなかったと思うので、歩き慣れた田中のガイドがあって本当に助かりました。
趣味や習い事の楽しさって、こういうところにあるのかもしれません。
・やってみたいと思う
・自分より詳しい人に聞いてみる
・実践する
・何かしらの結果が出る
それによって得られた結果には、いろんな学びが潜んでいそうだ。
そこから山道具の面白さに気がついたり、季節の植物を楽しみに繰り返し訪れたり、違うルートや他の山への興味も出て、いろんな視点から「山が趣味です」に辿りつくんだろう。
じゃあ私は? 私はどこに辿り着くの?
***
黙々と歩いていたら、ゆるいカーブのところで休憩している小さなおばあちゃんがいました。体に馴染んだピンクのフリースを着て、使い込まれたリュックと登山靴を身につけ、1人で歩いているようでした。
山のルールに習い「こんにちは」と挨拶しながら追い越してしばらく歩き、私たちが休憩していたところで、こんどはピンクのおばあちゃんが追い越していく。
追い越し、追い越され。頂上付近までそんな感じで歩いていました。
自分のペースだ。
みんな、誰と競争するわけでもなく自分のペースで歩き、早く行きたい者には「どうぞ」と道を譲り、あそこまでは頑張ろうとポイントを決めて進み、疲れたら息が整うまで休む。
山に入った私たちは、みんなで同じ山を登っていたけれど、それぞれが自分の山を登っていた。自分の足で、自分のペースで、自分の山を。
みんなのペースが尊重されているように感じられたのがとても心地よかった。
私がどこに辿り着くのかはわからないけれど、この日の山登りのように取り組むことができたら、ほとんどのことは面白いと感じるのかもしれない。
▲こちらこそありがとうございました!と伝えたくなる山頂のお蕎麦やさんの出口にて。
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