【いつもの服は、名脇役】第2話:普段着=自分だけの制服を作っていると解釈してみたら?
編集スタッフ 糸井
「なんだか最近、クローゼットから服をえらぶ時間がつまらない」
と思っても、何か着ないと仕事に行けないので、先週と同じコーデに、今日も今日とて袖を通す。いわば「普段着マンネリ」が続いたある日、思ったことがありました。
「でも普段着ならではの良さもあるのでは……? 」
そうして生まれた特集『いつもの服は、名脇役』。1話目に続き、スタイリストの西森さんに、普段着ならではの魅力についてお話を伺います。
普段着が固定化するのも当然だと思うんです
たとえば、私たちが日常的に着ている服を「パジャマ」「普段着」「おしゃれ着」の3つに分けてみます。パジャマは、リラックスできるかどうかが重要。おしゃれ着は、ときめきや自信をくれるものがいい。
ではその中間で、折り合いをつける「普段着」の役割は何かと考えると、「リラックスできて、かつ街に出られること」なのかもしれない。そう西森さんはいいます。
西森さん:
「家に帰ってすぐ部屋着に着替えることもあるように、極論を言えばパジャマが一番落ち着く服だと思うんです。だからといって、パジャマで仕事に行くわけには行かないですよね。
いわゆるTPOじゃないけれど、『美術館に行くから綺麗めな格好にしようかな』とか、『今日はお花見だからピンク色の服で行こう』のように、コーデ選びは、行く場所やシーンによって変えているもの。
だからシーンがその都度変わる休日だと、いつもと違ったコーデを組むチャンスがあると思うんですが、毎日同じ場所に行く職場だと、着るものも自ずと固定化してしまう。でもそれは、とても自然な服との付き合い方だと思いませんか」
普段着=私の「制服」になっていた?
西森さん:
「もしかすると、『普段着の固定化』というのは『自分だけの制服が育っている』と捉えられるのかな? これを着れば間違いないという、制服ならではの安心感が備わるまで、着続けられた服の素敵な結果というか。
『ここ最近、いつも同じ服を着ちゃってるな』と考えれば、ズボラのような響きに悲しくなりそうだけれど、『これは、私の制服です』と解釈すると、胸を張れるものがある気がする」
西森さん:
「学生の頃を思い返すと、制服があったからこそ、自由に服を選べる休日が一層楽しかった。同じように、普段着のおかげで、週末のおしゃれ着の楽しさも引き立っているとも思うんです。
だって、気合いを入れておめかしする時間は、心ときめくものではあるけれど、それを毎日しようとすると、すごく労力がいる。逆に飽きちゃうかもしれません。
何も考えずに『これを着ておけば間違いない』と思える服があれば、その分の空いたエネルギーを使って、メイクや他のことに気を回せることもある。きっと、普段着って、影に隠れて私やおしゃれ着のよさを支えてくれていたんですね」
周りのパフォーマンスを最大限に引き出す、名脇役
ふと、今日の自分の普段着がもし急になくなったら? と想像してみました。
おしゃれ着を無くした時の絶望は、容易にわかる。でも普段着がなくなった時の危機感もきっと、計り知れない気がしました。
「普段着への愛情も、消えたわけじゃなかったんだ」
当たり前のようにそばにいて、いい意味で気を使わせない「いつもの服」たちは、私たちのパフォーマンスを最大限に引き出す名脇役なのかもしれない。そんな理由をつけてあげるだけで、たとえ毎日着ていたって、代わり映えしなくなったって、「大丈夫」になれる。
西森さん:
「意外と、普段着に定着する子もなかなか出会えないですよ。たとえときめくことはなくなっても、当たり前のように安心感をくれる服を、大事にしてあげて欲しいな」
とはいえ、西森さんも少し気分を変えたいときもあるようです。そんな日は普段着をベースに工夫を加え、いつもとは違うコーデに変えて楽しんでいるといいます。
そこでつづく3話では、ボーダーカットソーとチノパンを使ったコーデを軸に、普段着に愛着を取り戻し、これからも永く付き合っていくためのコツを伺います。
(つづく)
【写真】川村恵理
西森 萌
大学卒業後、アパレルの販売員をへて、岡尾美代子氏に師事。2011年にフリーランスのスタイリストとして独立。雑誌や広告、カタログを中心に、インテリアや雑貨、ファッションなど幅広く活動中。
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