【ケの日のこと】夫婦ゲンカをきっかけに、思わぬひとり時間ができました。
第38話:ケンカの功名
先日、夫と喧嘩しました。双方譲らないまま事態は硬直。夫には夫の主張が、わたしにはわたしの主張があります。歩み寄れるちょうどよい部分があればいいのですが、それが見つからないことも時にあります。喧嘩の最中、わたしには気になることがありました。それは、子供達の送迎です。
娘と息子が通う小学校と保育園は、家から徒歩で1時間ほどかかる山の上にあり、いつも出勤前の夫に車で送ってもらっていました。しかし、喧嘩をきっかけにそれをお願いしていることが一気に弱みのように感じてしまったわたし。悔しいので夫に頼らず車で送って行けたらいいのですが、現在絶賛教習所通いの身です。残された選択は徒歩かバス。
2歳の息子が毎日1時間の山道を歩くのは難しく、バスに乗ることにしましたが、ここは里山です。数時間に1本しかバスは走っていないので、子供達を送り届けた後、歩いて帰るしかありません。帰りは下りだし、一人だし、だいたい45分で帰れるのですが、それだけ歩くのならば、なんとか夫と和解すればいいんじゃないかという気もします。ですが、今回は意地が勝りました。
かくして、毎日45分のハイキングは始まったのでした。
「……歩くの?大変じゃないの?」と気まずそうに尋ねる夫に「大変に決まっているじゃない」とツンツンしていたわたし。しかし、歩いてみた1日目から、予想外の心地よさを感じていたのです。
山をてくてく歩くのは育児からも家のことからも仕事のことからも一旦離れられる、一人の時間でした。おまけにどこを見ても緑は芽吹き、鳥はさえずり、なんとも贅沢な一人の時間です。そして不思議とそんな時間を経て家に戻ると、家事にも仕事にもすっと取り組めるのです。今まで作業にとりかかるまでにウダウダしてしまっていたことを思うと、よほど効率が良いのではないかしら?と思うほど。
歩くのをきっかけに身体を動かす気持ちよさを知ったわたしは、ヨガにも通いだしました。面倒くさがりでインドアだったわたしが……!と信じられない思いです。
自分の日々に心地よさを感じられると、ささくれだっていた気持ちもまるくなり、夫との気まずい時間も自然と収束したのでした。「歩くのって気持ちよいわ〜」と言えるようになり、スケジュール的に歩くのが難しい日は「車で送って」と意地をはらず頼めるように。
終わってみれば、今回の喧嘩はわたしに良いものをもたらしてくれたなあ、やっぱり喧嘩するって悪いことばかりじゃないなあ、としみじみ感じる今日この頃なのでした。
【写真】中村暁野
中村暁野(なかむら あきの)
家族と一年誌『家族』編集長。Popoyansのnon名義で音楽活動も行う。8歳の長女、2歳の長男を育てる二児の母。2017年3月に一家で神奈川県と山梨県の山間の町へ移住した。『家族』2号が1/14に刊行。現在販売中。http://kazoku-magazine.com
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