【スタッフコラム】ラジオの向こう側に。
編集スタッフ 津田
仕事や家事をしているときに、ラジオを流しておくのが最近好きです。
友人宅のこじんまりとした台所に、小さなラジオを見つけたのがきっかけでした。
ノイズ混じりのざらついた音。食器棚の上に無造作に置かれた小さな白いラジオ。かすれたSONYのロゴ。電波を受信するためのアンテナ。ビートルズの音楽……。
なんだかタイムスリップしたような光景に、一瞬ドキッとしました。
レコードや海外文学が好きな彼女らしいBGMだなあと思い、聞けば、「家にいるときはラジオをONにしてる。でも好きな音楽が流れてる局に合わせて、そのまま流しっぱなしにしているだけ。ぜんぜん意識したことなかった〜」とのこと。
肩のチカラの抜けた感じが、なんとも魅力的に思えたその日。私たちの会話も時折ラジオにつられて「この曲いいね〜」「あの人のライブに行きたい」などと脱線しがちで、それがまた楽しくて。
ラジオの音がある生活っていいかもと、すっかり影響を受けて帰ってきました。
私もさっそくスマホのラジオアプリを使って、朝はまずNHKのFMではじめて、仕事が始まる9時には音量を下げ、昼にTBSラジオに変えて夕方まで流しっぱなしに。
あくまで仕事用のBGMなので、聞く、のではなく、流している、という感覚におさまる範囲に。
でも時々「家のなかでどうしても捨てられないものってありますか。メールやFAXを募集しています」など話が、耳に入ってくることがあります。
これはコーヒーブレイクのサイン、ということにして、お茶を淹れながら「うーん、私の場合は何だろう〜?」と考えたり、読み上げられる他のリスナーさんたちのエピソードを聞いたりするのも楽しいものです。
そういうときに、ふと感じることがあります。ラジオと私は1対1の関係なのだけれど、ラジオの向こう側には私と同じようなリスナーがきっとどこかに存在しているんだなあって。不思議だけどロマンがありますよね。
受験生だった頃、勉強中にラジオを流してて、同じく受験生からのハガキが読まれると、私も頑張ろうと奮起していたのを思い出しました。久しぶりだけど懐かしくて、大切に残しておきたい感覚です。
そんなふうに考えたら、近頃は「ラジオを聞いている人」を見つけるとうれしくなってしまうのです。
喫茶店や飲み屋でもラジオが流れていると耳がダンボに。何の番組だろう、誰が話しているのかな、ひょっとしてお店の人がラジオをお好きなのかも、と想像が膨らみます。
自分がいつも聞いている番組が流れたときは勝手に親近感を抱いて嬉しくなったり。心のなかで、また来ます、と念じながら、お会計をすることも。
ラジオの向こう側にやっぱり人がいた。それはまるで「夢だけど、夢じゃなかった!」という感覚。なんだか頼もしい気持ちになり、大げさかもしれないですが一人じゃないなって思えるのです。
さて今日は金曜日。週末まであとちょっとですね。私は今日もラジオを流しながら、もうひと踏ん張り頑張りたいと思います!
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