【スタッフコラム】半径50cmのたのしみ
編集スタッフ 齋藤
自分の部屋ができたのは、確か小学生のころ。はじめは2つ下の妹との2人部屋で、中学生からは1人部屋になった記憶があります。その頃からずっと「壁」を彩ることが好きでした。
勉強机に向かって座り、あたりを見回し、ちょうどいい感じの位置にお気に入りを。手を伸ばせばペンで書き込める位置には時間割を。微調整するのもすごく楽しく。(ある時期は壁に虫ピンをさしてアクセサリーを吊り下げたり。好きなガムの箱を並べたことも……)
自分の部屋の、さらに壁という限られたスペースは、平面で広いからこそ、大きなスケッチブックのように好きに彩れる場所でした。
高校生、大学生と引っ越しを重ねていくなかでも、机周りの半径50cmにある壁は大切な存在。まじまじと見られると、ちょっと恥ずかしくなるくらい、当時の興味や直球の気持ちが反映されていた空間だったかもしれません。
これを思い出したのは、数ヶ月前にしつらえた小さなデスクスペースがきっかけでした。
▲背後には子どものおもちゃ、サイドにはキャンプ道具を収納したラックが。その囲われ感もちょっぴり安心します。
最初は殺風景だったものの、毎日ここに座っているうちに、居心地をよくしたい気持ちがむくむくと。目に入るのが嬉しくなるものを貼ったり、すぐ手に取りたいものを並べたり。
▲打合せ前にさっとつけたいリップやハンドクリームは、出して並べています。
仕事以外はほとんど目につかなくて、ここに座るのも、この壁を見るのもいまのところ自分だけ。
はたらくキッチンや家族みんなが行き来するリビングダイニングとは性格が違うからこそ、何を貼るか、ここに座る自分を励ましてくれるものをどう置くか……と考えたくなっています。
▲絵本棚一段目は、仕事まわりのものを置かせてもらうことになりました。
自分の部屋ではないけれど、心持ちが似ている。だからか、十年、二十年前に部屋の壁を彩っていたころの視線をふっと思い出すことがあります。
彩ることが楽しくて夢中だったと思う一方で、そうして必死に自分の世界をつくり、守ろうとしていたのかなとも。
4月から息子は小学生。自分の部屋ができるのはまだ先の予感ですが、好きな世界をつくること、見つける背中を目にするのは、近いものなのでしょうか。眩しい気持ちで眺めつつ、応援したい気持ちでいます。
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