【庭のある家に暮らしたい】第3話:夏の虫対策は?便利な庭しごとの相棒たち
ライター 藤沢あかり
庭で花やハーブを育てたり、休日には朝ごはんを食べたり。庭での時間を楽しんでいる山杢勇馬(やまもく・ゆうま)さん・瞳(ひとみ)さん夫妻をたずねる連載をお届けしています。
これまでのお話では、庭づくり初心者の2人が花や野菜を手探りで育てる様子や、庭で食べる休日の朝ごはんの時間をご紹介してきましたた。
最終となる第3話目は、庭仕事に欠かせない愛用品を見せていただきました。
夏の虫対策は、愛犬にやさしいもので
夏の庭と聞くと、青々とした濃い緑が思い浮かぶ反面、気になるのは悩ましい虫対策です。蚊はもちろん、野菜やハーブを育てていると虫との戦いだという人も多いのではないでしょうか。
瞳さん:
「うちは犬がいるので、アロマオイルを使った、できるだけやさしいものを選んでいます。効き目もおだやかですが、やはり安心です」
▲「シトロネラオイル」「ニームオイル」どちらも海外通販サイトのiherbで購入。
瞳さん:
「シトロネラオイルは蚊が嫌う香りだそうで、石に数滴落としてショップに置いたりしています。ニームオイルは、ちょっとネギのような不思議な香り。こちらは希釈して植物にスプレーして使います。小まめに使うと害虫予防になるんだそうです」
おなじみの蚊取り線香も大活躍しています。メッシュの焚き火台に置けば、足元の草にも燃え移りにくく、犬も安心して駆け回れます。
ポケット付きで着脱もラク、庭仕事エプロン
瞳さんが使っているエプロンは、勇馬さんが仕立てたオリジナルです。
瞳さん:
「nusumiguiのワンピースを元に、大きなポケットをリクエストしました。園芸バサミや手拭きクロスなど、庭仕事のちょっとした道具も出し入れしやすく便利です。肩ひもだと首が凝ったりずり落ちたりするのが気になるので、かぶるタイプにしてもらい、サイドに大きくスリットを入れて着脱もラクに。薄いポリエステルのロング丈なので、泥汚れや水はねも気にならず使い勝手もいい感じです」
芝刈り機は、庭の個性に合わせて小さめをチョイス
庭の芝は、種から育て、今も育成中だそうで、思い入れもひとしおです。芝の手入れには、小回りのきくミニサイズの芝生バリカンを使っています。
勇馬さん:
「ところどころ、切り株やでこぼこした部分があるので、小さいものが使いやすいです。
それにしても、芝を育てるって難しいんですね。もっと密集して生えてきてほしいですが、まだまだ。手入れの大変さを知り、外出先でびっしり生えたきれいな芝を見ると、ちょっと涙ぐみそうなほど感動します(笑)」
▲小石や雨上がりの葉っぱも履きやすいほうきは、「テラモト」のもの。
毎日の掃き掃除に不可欠のほうきは、常連のお客さまにいただいたものです。
瞳さん:
「『これを使ったら、他は使えなくなるよ』って。普通の竹ほうきと何が違うんだろう?と思いましたが、使ってみてその言葉にうなずきました。濡れた落ち葉や小石も気持ちよく履けるんです。庭づくりにはまっていると話したことを覚えてくださっていて、うれしいサプライズでした」
ちなみにこのお客さまの職業はお寺の住職さん。なるほど、落ち葉掃きの達人が選ぶほうきの使い勝手とあれば、お墨付きにも納得です。
庭仕事に興味のない夫を変えた、プレゼント
昔から植物が好きだったという瞳さんに対し、実は勇馬さんは「さほど興味がなかった」のだといいます。
瞳さん:
「庭に水やりをしようとすると、かなり長いホースが必要です。最初は何の変哲もないホースリールを使っていたんですが、あるときこれを見つけて夫の誕生日にプレゼントしたんです」
勇馬さん:
「かっこいいですよね、このホース。
昔は、庭仕事やガーデニングって、もっと年をとった人がするものだと思っていたんです。僕の父は職人で、自分でなにかを作るのが得意な人です。自然も大好きで、趣味はバードウォッチング。子どもの頃は、泥だらけで働くことも鳥の観察も、何が楽しいんだろうと不思議に思っていました。
でも、この庭で過ごしていると野鳥がやってきて、鳴き声が聞こえるのが日常なんですよね。だんだん声で「あ、ムクドリかな。こっちはアオゲラ」とわかるようになってきて、今では庭にくる鳥はだいたい鳴き声を把握しています。
あの枝にはキツツキが来るんですよ、それからあの桜の枝には、なんとフクロウが」
「気づけば自分も泥だらけになってもの作りをしているし、鳥に夢中になっている」と勇馬さんは笑います。かくしてホースリール作戦が功を奏したのか、心から楽しんでいることだけは間違いないようです。
庭が教えてくれた、待つ楽しみ、受け入れるおおらかさ
庭のある暮らしは豊かさをもたらす一方で、手入れやお世話など、作業は多岐に渡ります。落ち葉の季節には、「掃いても掃いてもキリがない」と勇馬さん。
勇馬さん:
「先日の豪雨では庭木の枝も折れましたし、植物もずいぶん倒れてしまいました。でも、折れた枝もDIYで再利用しているんです。生ゴミもコンポストで肥料にして、その土でまた野菜を作って。そんなふうに庭を中心に暮らし全体を循環させていくのが理想です。
次はサウナを作ってみたいし、ウッドデッキもそろそろ修理して新しくしたい。やりたいことは尽きません」
▲つくばいは、水草やめだかを入れて小さなビオトープに。「いつかもっと立派なビオトープを作るのが夢です」と勇馬さん。
瞳さん:
「雑草を抜いたり、咲いた後の花殻を摘んだり、庭の手入れをしていると無心になって、ものすごくリフレッシュできるんです。それに、半年、一年と経って芽がでる植物を見ていると、じっと待つこと、あせらないことも大事なんだなって。
今までは、庭というと土壌づくりや虫対策、花の知識など、とにかく難しそうだというイメージが強かったんです。でも、ルールやマニュアルは参考程度にしながら、実験気分で向き合うようにしたら、気持ちも軽くなり、楽しめるようになってきました。
だから失敗も多いですが、それも受け入れて、この土地に合うものだけが残っていけばいいなと思っています」
毎日、とにかくやることが次々とやってきて、どんどん楽しくなっていくと話す二人。「一生楽しめる趣味ができた」という言葉に、なんだかうらやましくなりました。
2人の庭から取り入れたいエッセンスは、たくさんありそうです。わが家は小さなベランダですが、この秋に撒こうとネモフィラの種を手に入れました。次の季節を待ちわびながら、庭の楽しみはもうすでに始まっています。
【写真】神ノ川智早
もくじ
山杢勇馬、山杢瞳
デザインと製作を勇馬さんが、販売や接客を瞳さんが手がけるブランド「nusumigui(ヌスミグイ)」主宰。暮らしのそばでつくることを大切にした洋服は、すべて手しごとによる一点もので、その人の暮らしや希望に合わせて仕上げる独自のスタイル。不定期オープンの自宅併設のショップ「nusumigui studio」や、ポップアップイベントを通じて販売している。HP→https://www.nusumigui.space /instagram→@nusumigui_studio
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