【たゆたうふたり】前編:頑張り過ぎて全部うまくいかなくなったから…「2つの我慢」をやめました(石井 × 原田)

ライター 長谷川賢人

ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は......実はそれほど多くありません。

でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。

今回は、カスタマーリレーショングループ(お客様係)で物流業務も担当している石井と、経営企画グループで法務などを担当する原田が登場。

クラシコムの縁の下を支えるふたりには、学生時代に「似た者同士」だったという意外な共通点がありました。今は、どんな思いで働いているのでしょうか。

前編は主に原田が聞き役となって、石井に色々と質問してみました。


運動部も、新聞部も、生徒会も、全部やりました

原田:
石井さんとは実は「飲み友達」だから、こんなふうに向き合うのって……

石井:
新鮮ですよね。いつもは、ずっと取り留めのない話をしているし(笑)。

原田:
改まって聞いたことなかったですけど、石井さんは学生時代、どんな感じだったんですか?

石井:
「超」がつくほどの優等生タイプですね。先生に「学級委員やらない?」って勧められるような。中学生から始めたのはバドミントン。運動部に入りたくて、でも先輩が少なくて、のびのびやれそうだったから。高校に上がってもバドミントンは続けましたね。新聞部を掛け持ちして、生徒会長もやってました。

原田:
アクティブですね。

石井:
ちゃんと勉強もしつつ。東京出身だけど、実家を出たくて大学は京都へ。入学してすぐ、とても感じが良くて、気前も良い先輩たちに誘われて応援団に入りました。4年間、いろんなスポーツの応援に行き、飲み会ではしばしば飲み過ぎながら(笑)、でも楽しい日々を過ごしていました。

原田:
僕も学生時代は飲み会が多かったし、先輩からごちそうになることもあったので、気持ちはわかります(笑)。応援団はどんなところが楽しかった?

石井
何かを頑張っている人が好きだし、そういう人たちの近くにいるのも好きなんです。真面目な人と一緒にいるほうが落ち着くというか。そのおかげで、応援団の活動では苦手だと感じる人に会うことも少なく、あまり深く悩まずに、楽しくやれてましたね。


産育休のたびに部署が変わっていき...

原田:
就職はどうされたんですか。

石井:
出版社に入りました。メディア系の仕事がしたくて、就職「超」氷河期でたくさん受けましたが、やっと内定が出た一社だったんです。

編集者として働いた時期もあったんですが、いろんな部署にいました。宣伝担当や営業部門にも。というのも、産育休を5回取っていて、戻るたびに部署が変わったんですね。最後の1年は営業支援で、ずっとExcelや数字とにらめっこしていました。

原田:
そこからクラシコムに転職しようと思ったのは、どんなきっかけが?

石井:
子どもたちも育ってきて、「家族のあり方」について不確定な要素が減ってきたのが大きかったですね。

そこから「よし、もっと自分のためにも仕事を頑張っていこう」と自分主体で考えられるようになりました。そのタイミングで「残業ゼロ」や「女性比率の高さ」といった働き方でクラシコムが注目されていて、青木さん(※代表青木)のインタビューを読んだんです。

それをきっかけに「北欧、暮らしの道具店」でお買い物したり、読みものに触れるようになったりしていきました。自分もここで働いてみたい!と魅力を感じるようになって。


クラシコムの「カラッとした」居心地の良さ

:

原田:
とはいえ、お客様係の仕事の経験があったわけじゃないですよね。仕事を覚えるのは大変だったのでは?

石井:
それが、あまり困ったようなことはなかったんですよね。今日のために、入社した当時の日記を読み返してみたんですけど、「私がぽろっと言ったことにもめっちゃ笑ってくれて優しい」と、教育担当の渡邉さんに癒やされていたようです(笑)。

人間関係はとにかくすごく楽でした。しゃべりやすいというか……「自分」を出しやすい。入ったばかりの私にも「どう思う?」と問われることがよくあったんですが、本当に思ったまま言っても「なるほどね」と受け止めてくれるのがありがたくて。

あとは時短勤務でスタートしましたが、すんなりと帰れる。「仕事関係はドライ」というと冷たく聞こえるかもしれないけれど、「カラッとしているな」と言うほうがイメージにあっているかな。私にとっては居心地が良かったです。気持ちの開放感があるなぁって。

原田:
クラシコムに入ってから、考え方の変化を感じることもありましたか。

石井:
みんなの意見が結構直球でバスンッ!と来るけれど、それにイライラしたり、傷ついたりはしないんです。「なぜだろう?」と思ったら、私がちゃんと受け止められるように投げてくれるから。私自身もその言い方を知らず知らずのうちに学んで、また別のスタッフとのやりとりで実践している。私に限らず、そういう良い循環が会社全体にある気がします。

原田:
確かに僕も、言い方は変わってきたところはありますね。「どうすれば本当に伝わるのか」みたいに考えるようになりました。

石井:
最近は物流業務のほうにも関わって、社外の方との仕事も増えてきたので、さらに「この言い方は相手にとってどうか」「そもそも言うべきか」みたいに考えることが増えました。逆に言えば、そういうコミュニケーションの悩みを入社から7年間ほぼ忘れていたのが、今になって「これって難しいことだったよなぁ……」と記憶が戻ってきた感じです(笑)。

原田:
でもそこって、お客様係の仕事で磨かれたことでもありますよね、きっと。

石井:
言われてみれば確かに。「どう伝わるか」を日々考えてお客様とコミュニケーションをしていますからね。たとえば、お客様のご希望に添えないこともあるのですが、それを「どう伝えるか」でお客様の気持ちも変わると思うんです。そういうことを、ずっと心掛けている仕事ですね。


肩の力を抜くために、2つの「やめること」を決めました

原田:
僕から見た石井さんって、色々とアクティブなのに、リラックスした雰囲気が崩れなくてすごいなって思うんです。仕事も、家庭のことも、僕たちとの飲み会も(笑)、全部頑張っていると思うのに。そのエネルギーは、どこから湧いているんですか?

石井:
ちょっと意識しているとしたら、良い意味で「ヘラヘラしていること」かな(笑)。あんまり深刻にならないようにしているんです。

私、むかしにメンタルが深く落ち込んだ時期があって。子どもの体調不良もあって産育休から半年で復帰するはずが、1年半に伸びたんです。その後で、すごく気合いを入れて復帰したんですけど、今度は頑張り過ぎて全部がうまくいかない。家にパソコンを持ち帰って夜遅くまで仕事をしたり……。

この頃は、自分で自分のことが、あまり好きではなかったですね。いつもイライラしていましたし。それが嫌で「このままではだめだ、ちょっと肩の力を抜こう」って思ったんです。それで三人目を産んだ後に、2つのことを決めました。

やりたいことは我慢しないこと。「子どもがいるから」で思考停止しないこと。

その2つを意識していたら、だんだんと気が楽になっていって。今は、楽しくないことを理由に、楽しいことを諦めるのはできるだけやめようと思っています。やりたいことは、とりあえずやってみる。あるいは、やれる方法を考える。

子どもが高校生になって手が離れてきたら、さらに勢いがついてきました。「もう海外旅行だって我慢しないぞ!」みたいに(笑)。

原田:
たしか、去年は台湾に行ってましたよね。

石井:
そうそう! まぁ、お金はなくなるけれど(笑)。あまり深刻に考えすぎないように。それが「今、やりたいこと」だから、できるようにやりくりしています。

言い方を変えると、自分の気持ちが向いたことにはまっすぐ取り組むって言うのかな。家事はがんばり過ぎず、夫や子どもも含めてみんなで片付けるもの。勉強も教えられるけれどイライラしてしまうくらいなら塾で見てもらう。「私が頑張る」以外の手段で解決できそうなことは、そうやって解決しているんです。

原田:
なるほどなぁ。僕が見ている石井さんのエネルギーあふれる感じって、たぶん、エネルギーを使いたいところだけに使えているからなんでしょうね。

石井:
そうかもしれない! 湧いて出てくるというより、エネルギーを望まないことで削られていない、というか。それこそ昔から、嫌なことはとにかく回避して生きてきたと思います(笑)。嫌なことはね、いろんな人に頼ったり、サービスを利用したりすれば、ちゃんと減らせるんですよ。

原田:
別の方法で解決できるわけですよね。

石井:
あと、私って昔から、でっかく目標を持つタイプなんです。「いつか、何かで、世界で3本の指に入る」と本気で思っていて。何でもいいんですよ。「米粒に小さい字を100文字書ける」とか、最後は「長寿で世界一」とかね(笑)。高校生くらいから、それはずっと言い続けています。ずっと次の何かを探しているから、ある意味、できなかったと落ち込むこともないんですよ。

原田:
良い考え方だなぁ。そう思うだけでも、生きる力が変わりそうです。

(つづく)


【写真】川村恵理

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