【たゆたうふたり】後編:「自分が良ければいい」から「どうやったら伝わるだろう」へ。大人になるって、こういうことなのかな(石井 × 原田)

ライター 長谷川賢人

ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は......実はそれほど多くありません。

でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。

今回は、カスタマーリレーショングループ(お客様係)で物流業務も担当している石井と、経営企画グループで法務などを担当する原田が登場。

クラシコムの縁の下を支える二人には、学生時代に「似た者同士」だったという意外な共通点がありました。今は、どんな思いで働いているのでしょうか。

後編は主に石井が聞き役となって、原田に色々と質問してみました。

前編を読む

文化祭に熱中。そこで経験したのは大人の片鱗?

石井:
原田さんの学生時代も聞かせてください!

原田:
石井さんと似てるかもしれないんですけど、絵に描いたような「超」優等生でした。小学校や中学校ぐらいまではそう。勉強もそこそこやりつつ、バスケ部でした。

進んだ高校はとても自由な校風で、勉強だけに縛られず、部活と文化祭にのめり込んでいましたね。文化祭は1年に1回ある最高のお楽しみイベント。他校から女子もたくさん来ますからね(笑)。

石井:
それは張り切ってしまうのも無理はない(笑)。

原田:
みんな自分たちが目立とうと頑張るから、いろんなプロジェクトやチームが立ち上がって、その面白さを競い合うようで。楽しい経験でしたね。

それで、その楽しみに熱中するがあまり、僕も高校3年生のとき、文化祭の実行委員に入ってみたんです。でも、想像していたのとは違っていて……。

石井:
あぁ、実行委員側となると、やらないといけないことも増えますし……。

原田:
何より実行委員は現場へ行かないんですよ! でも、そこで「大人になるって、こういうことなのかなぁ」なんて思ったり。今振り返れば、みんなが楽しんでいるのを裏側から支えていく役回りがある、という経験ができたのかもしれません。

石井:
大学ではどんな活動を?

原田:
大学はもっぱらサークルに入り浸っていました。「広告学研究会」という名前で、表向きはイベントを開催したり、雑誌を作ったりしていたんですけど、それ以外はみんなで飲み会をするばかり。石井さんと同じく、しょっちゅう飲み過ぎるような日々でした(笑)。


「あなたは何がしたいの?」と問われた瞬間。でも「やりたいこと」は見つからないまま…

石井:
原田さんが進んだ学部は、やっぱり今の仕事に繋がっていたりするんですか?

原田:
そうですね。法学部に進んで、大学院にも行きました。ただ、最初から法律に興味があったわけではなかったんですよ。やってみたら、どうも理屈っぽい学問で、それも面白くて。「散髪屋で髪を切られることは、実は傷害罪が成立する可能性がある」とか。

石井:
あー、そうですね! はさみを使うし。

原田:
お互いに同意があって、理容師という資格もあって……みたいに要素があるから罪に問われないだけなんです。そういう理屈がいっぱいあって、知的好奇心が満たされるんですけど、それを仕事にしようとは当時思っていなかったです。でも、なんだかんだ周りにも流されながら、「このまま弁護士を目指すのか?」と考えれば、それも気乗りせず。

大学院にも進んだのですが、それだって就職活動したくなかったから(笑)。一緒に朝まで飲んでいた友達が、3年生になったら急に髪を短くしてスーツを着て、「あなたは何がしたいですか」なんて問われているのを見て。でも、4年生になったら僕も問われるんですよ。「あなたは何がしたいの?」って。

原田:
結局は定まらずに、25歳になる年に卒業するのですが、やっぱり「やりたいこと」はなくて。結局は3年くらい「お家を守る人」をしながら、お金がなくなったらアルバイトに出る生活でした。そんな中で、かつての同級生たちが頑張ったり、失敗したり、家族を持ったり……みんなが「先人」になっていくのを見ていました。

そうすると僕もだんだんと、「ちゃんと働かないといけないな」と気づいて。それが前職で教育系のスタートアップ企業に入る経緯です。主に社会人がプログラミングを学ぶ、今で言うリスキリングの学校ですね。知り合いが先に働いていて、紹介されたんです。そこで、法務だけでなくコーポレート系の仕事を一通りやることになるわけですね。

そういった経歴があって、クラシコムへの転職も、最初は経理枠で採用されたんですよ。


あの1時間は、クラシコムの「美学」に触れた時だった

石井:
そうか、原田さんが加わる頃は、まだ法務職は社内にいなかったですもんね。でも、何で前職から転じようと思ったんですか?

原田:
勤め先が別会社のグループの傘下に入ることになり、その段階で僕の中では「もう一通りはやり切ったな」と思えたんです。特段に辞めたいわけではなかったし、朝とも夜とも無いハードワークもまだ続けられそうな体力がありました。

ただ、改めて「何かやりたいことあるのかな?」と思っても、相変わらず浮かんでこなかった。それで、前職の社長に相談したんです。「転職活動してみたいと思ってる」と。そうしたら社長は「一度、外を見てみたらいいんじゃないですか」みたいに話してくれて。

石井:
社長さん、良いアドバイスですね。心も広いと言うか。

原田:
それで、転職エージェントに「職種業種を問いませんから、本当に良さそうな会社を紹介してください」と無茶振りしたわけですが(笑)、そこで紹介された一社がクラシコムだったんです。だから、実は「北欧、暮らしの道具店」のことも深くは知らないまま、まずは面接に来たんです。

何を聞かれるかと思いきや、青木さん(※代表の青木)が1時間のうち50分くらい喋っていて(笑)。でも、そこで青木さんの人となりや、クラシコムの理念に触れました。それらは僕にとって新鮮で、強く興味を惹かれたんです。

石井:
私も青木さんのインタビュー記事が大きなきっかけだったし、共感しますねぇ。たぶん、入り方としては近しいケースなんだと思います。どんなところに惹かれました?

原田:
随所に青木さんなりの美学があるんですよね。たとえば、会計の貸借対照表に並々ならぬこだわりがあるのが衝撃だったり。そういうところは任せきりにする社長も多いものですが。ただ、こだわりがはっきりしているほうが、僕にとっては仕事がしやすかったです。


予定通りに終わらなくてもOK?新しい仕事の感覚に驚いて

石井:
クラシコムのメンバーって、凸凹でいうなら凸を持つ人、多いですよね?

原田:
うん、個性的な方が多いですよね(笑)。

石井:
ただ、みんなほどよい距離感で接してくれる。言い方が変かもしれないけど、押し付けがましくない個性派が多い、というか。

原田:
あぁ、だから面白いけれど、落ち着きもあるのかも。

石井:
他にも、クラシコムで働き始めてみて驚いたことや、新鮮だったことはありますか?

原田:
スケジュールを決めて取り掛かる仕事ってありますよね。残りの日程がタイトになってきて焦ったり、間に合わせようとして無理したり。でも、クラシコムだと「終わらなかったら、終わらなかったという結論でも構わない」ということも結構多くて。

決められた時間の中で、できる範囲のことを一生懸命やったのであれば、その結果は仕方がないものとまず受け止める。そういう感覚は個人的にも新しかったです。

石井:
確かにこれまで、仕事って「どうにか間に合わせるもの」と思ってきたけど、クラシコムでは違いますね。原田さんは関わる業務範囲も広くなってきていますよね。

原田:
最近だとIRの領域でも仕事の枠が広がっていて、投資家さんとの面談に参加したり、みなさんの前で説明しないといけない機会もあったり。質疑応答の時間もあって、緊張しますね。思ってもみなかったことも意外と任せてもらえて、僕としてはとても楽しくやっています。


「なるほど、君はそう思うんだね」というマインドで接しています

石井:
私、原田さんに不思議な魅力を感じていて……。

原田:
不思議ですか(笑)。

石井:
今日、聞いてみたら男子校出身で驚いたんですけど、物腰が柔らかくて、人当たりが原田さんって独特だなぁと思って。

原田:
意識はしてないですけどね。それこそ高校生や大学生の頃は今とは違ったでしょうし。もうちょっと……いろんなことにイラついてたのかな。たぶん、見栄もあったし、背伸びもしていたんだと思います。

それが、だんだんと他人の痛みを知るようになったり、「世の中的に正しいと思われているルート」から逸れていく実感を持ったりすると、「自分自身が良ければいい、目立てばいい」みたいな考えがなくなっていくというか。そうなると「あの人、なんだか今ちょっとツラそうかも?」と、わかるようになったんです。

石井:
そうなんですね。他人に配慮したり、雰囲気を受け止めたりできるようになったんだ。

原田:
何か言われたときも、「僕はそう思わないけれど、君はそう思うんだね」って考えたり、その中でも共通することを探せたり。そうすると、次第に自分の身の回りに何が起こってもビックリしなくなってきたんです。感情的に大げさに反応しなくなって、穏やかな状態になれるというか。

石井:
何でも来い、みたいな(笑)。

原田:
そうそう。何でもどうぞ、みたいな(笑)。学生時代に「大人になるって、こういうことなのかなぁ」なんて思った話をしましたが、僕にとってはクラシコムで働く中で、さらに見えてきました。そういうマインドが出来上がってきたのかもしれません。

(おわり)

【写真】川村恵理

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