【特別企画】香菜子さんの私服でコーディネート。リネンブラウスを大人に着こなすポイントは?
編集スタッフ 小針
「5年経っても着たい服」というテーマで、モデルの香菜子さんと一緒に作った2WAYリネンブラウス。
さっとかぶれば様になるふんわりシルエットや、開き具合を調節できる胸元のボタンとリボンなど、年齢を重ねても素敵に装える工夫を散りばめ、まさにこの先もずっと着たいと思える一着が完成しました。
一緒に作ったのは、オリジナルアパレル立ち上げ当初からともに洋服作りをしてきた香菜子さん。
2児の母でありながら、モデル・イラストレーターとして活躍し、最近では「おぱんつ君®️」というキャラクターデザインも手がけられています。
今回特別に、香菜子さんが「ライトグレー」「ブラック」「イエロー」の3色を私服でコーディネート。
最近リノベーションをされたというご自宅に伺い、コーデのポイントや着こなし方のコツ、そして香菜子さんトップス第一号が生まれた5年前から今にかけての「おしゃれの変化」についてもお話をうかがいました。
どんなときでも着たいと思える、一着になりました
香菜子さん:
「今年の新作、とびきり可愛くできたんじゃないかな〜と思います! 最初にご一緒してからもう5年も経つんですよね。私もクラシコムのスタッフさんもこの5年で、身体にも気持ち的にもいろんな変化があって。
歳を重ねることで感じたお互いの変化を正直に話し合う中で、今年のブラウスはカジュアルより『大人っぽさ』を追求することに決めたんです。
たとえばこのリネンの生地。目が詰まって光沢感があり、上品に見える素材を選びました」
香菜子さん:
「それから女性らしく首が長く見えるように、あえて鎖骨が見えるデザインに。でもお尻は隠したいから、丈感は前回よりも長めにして。結果的にインでもアウトでも楽しめて、着こなしの幅が広がりました。
これなら上品な装いにもカジュアルな着こなしにも、どんな場面でも着られるなと思います」
初めて「着たい」と思える黄色に
香菜子さん:
「カラーはどれも好きな色に仕上がりましたね。一番着るのはブラックだと思うんですけど、特に今回イエローが私としては挑戦色でした。
普段黄色って着ないんですよ。似合わないと思っていて。でも歳を重ねるにつれて『何か冒険がほしいな』と思うことも増えてきて、かといって派手さがほしいわけではないから、ずっと迷子で。
その点、このイエローは差し色ほどではない絶妙な色味で、とても気に入りました。他の色にも合わせやすいし、これなら『着たい』と思えましたね」
香菜子さんのこだわりがたくさん詰まったリネントップス。私服コーディネートで、実際の着こなし方を伺っていきます。
ワントーンコーデならライトグレー
マニッシュな着こなしが気分
香菜子さん:
「昔から変わらずワントーンコーデが好きで、一年中楽しんでます。普段買い物をするときも、すでにワードローブにある服と近い色を選ぶことが多いんです。そうするとあまり考えなくてもワントーンが作りやすいので。
ライトグレーは手持ちの白とかベージュ系の服とよく馴染んで、間違いないカラーだなと思いました。
今回はブラウスと同じリネン素材のライトグレーのパンツと合わせてみました。こういうワイドめなパンツのときは裾をインして、キュッと切り替えを作ってあげるとバランスがいいですね」
香菜子さん:
「全身が自然素材(リネン)だと野暮ったく見えちゃうので、エナメルの靴と黒縁のメガネでカチッと引き締めるポイントを作りました。
ブラウス自体は女性らしいシルエットですが、こうしたメンズライクなアイテムを合わせるとマニッシュにも着こなせますよ。
あとは首元の紐も軽く一回結ぶ程度にしています。リボン結びだと可愛くなりすぎちゃうので」
▲リボンは軽く一回結ぶだけでもおしゃれ。メガネはZoffのもの。
イエローは限りなくカジュアルに
リネンだからラフなコーデも品よくきまる
香菜子さん:
「イエローにはデニムとスニーカーを合わせて、限りなくカジュアルなコーデを作ってみました。こうしてラフな方向に振り切っても、ちゃんと上品さが出るのは、さすがリネンですよね。
私の場合は、カジュアルコーデをつくるときに、あえて振り切るようにしてるんです。そこから『やりすぎたかな?』と思ったら戻す……みたいにしていくと、大人のカジュアルコーデはうまくいくような気がします。
このブラウスなら、ボタンを3つくらい開けてしまって、少し後ろに抜いて着るとカジュアル感が増すと思います」
▲バッグは『eb.a.gos(エバゴス)』。メルカリで購入したのだそう。
香菜子さん:
「それからトップスが落ち着いたくすみカラーなので、合わせるボトムスはあえて明るめのデニムに。カゴバッグや籐素材のバングルでも“抜け”をつくってカジュアルダウンさせました。
この『eb.a.gos(エバゴス)』のバッグはレザーの印象も強いから、カジュアルコーデを少しピリッとさせてくれるんですよね。
ラフに振り切りすぎたのを戻してくれる存在でもあります」
香菜子さん:
「胸元の紐は外せるようにしてあるので、よりカジュアルにしたいときは外してもいいですね。
胸元に貝ボタンのあしらいがあるから、紐がなくても十分素敵です」
▲マスク生活になり、耳元にはイヤーカフを使うことが増えたそう。こちらはなんと300円!
大人のお出かけにはブラックを
プチプラも上手に組み合わせて
香菜子さん:
「ブラックは大人のお出かけをイメージして組んでみました。黒と茶色の組み合わせが好きで、全部真っ黒で作ってから、帽子・靴・カバンと茶色を入れていく感じで作りました。
プチプラのアイテムも普段からよく着ます。実はこのスカートも『しまむら』なんです。
プチプラを着るときは、一個高いものをどこかに持ってきてコーデを引き上げるようにしています。今回でいうと靴。そしてブラウスのリネン生地も上質感をプラスしてくれますよ」
▲靴は『BLACK BY MOUSSY』
香菜子さん:
「バングルはにわとりモチーフなんです。全部黒でまとめるとお上品になりすぎるから、遊び心をいれたくなって。
同じ服でもアクセサリーを変えるだけでまた違って見えるし気分も変わりますよね。このトップスはシンプルな分、アクセサリーでも遊んでみてほしいですね」
▲内側にニワトリのモチーフがちらり。「金の卵がついてるんです〜!」と香菜子さん
バングルで個性を出すのが、最近のマイブーム
香菜子さん:
「ここ数年で、ネックレスをしなくなりました。今はもっぱらバングルに凝っています。
以前はアクセサリーは華奢なものが好きだったんですけど、最近は大ぶりなものを選ぶようになりました。
服は昔と変わらずシンプルなものが好きなんですけどね。アクセサリーは不思議と個性的なものを集めてしまうんです。
『私はこういうのが好きなんです!』って自己主張したいのかも。歳を重ねて、好きなものに素直になれるようになったんだと思います」
小さなことでいい。自分の「これ」というものを見つけてほしい
香菜子さん:
「いつもコーデを組む時は、必ず全身鏡の前に立って全体をチェックするんですよ。
家の中なら、誰が見てるわけでもないじゃない?だから、最初からバランスを取ろうとするんじゃなくて、まずは一回自分がやりたいように振り切ってみる。それから自分にツッコミを入れて微調整していくんです。
『これだと森ガールっぽいよ』とか『修道女みたいだよ』とか(笑)。そういう風に客観的に自分をみると、抜くところが見えてくるんですよね。
みなさんも鏡の前で、あれこれチャレンジしてみてほしいですね。例えば袖のたくしあげの位置はここがかわいいとか、丈何センチがよかったとか。
ちょっとでもいいから『いいな』とか『ワクワクするな』というポイントを貯めておくと、自信もつくしおしゃれがどんどん楽しくなると思います」
思い込みを捨てて「好き」を広げる
最初に香菜子さんトップスを作ってから5年。その間に生まれた香菜子さん自身の変化も、この新作ブラウスのデザインに生かされています。
香菜子さん:
「この5年で、体に無理が効かなくなったな〜とか、ネガティブな変化もありました。でも一方で、おしゃれがどんどん自由に、楽しくなっていくのを実感したんです。
そう思えるようになったのは、『思い込みで決めるのはやめよう!』って強く意識するようになったから」
香菜子さん:
「『これは似合わないはず』って、自ら切り捨ててきたものも、意識的にトライするようになりました。そうすると意外と馴染んだという経験も増えて。
ちょっぴり冒険して、練習していく。その過程も楽しめるようになりました。
最近でいうと、娘の影響でグリーンのインナーカラーに挑戦してみたんです。これがやってみたら意外とよくて。
若い子の着こなしとか、お化粧も思い込みで決めつけず、取り入れてみたら面白いかもと今は思っています」
▲娘さんの影響で、グリーンのインナーカラーに挑戦
香菜子さん:
「今回作ったリネンブラウスは、ずっと好きでいられるようなデザインと素材。
どんなおしゃれにも寄り添ってくれる一着になったので、ぜひ『思い込みを捨てて』、このブラウスと一緒に色々なおしゃれを楽しんでいただきたいです。
おばあちゃんが着ても可愛いですよね、これ」
個性的なアイテムも、若者ファッションも、プチプラも。似合わないからと思い込みで遠ざけずに、まずは興味を持って自分から近づいてみる。
そんなオープンな心持ちこそが、年齢を重ねても「おしゃれって楽しい」と思える秘訣なのかもしれない。そう思えたインタビューでした。
きっとそういった挑戦を後押ししてくれるのは、どんな装いにも寄り添ってくれる、シンプルで安心感のある定番服。
今回のリネンブラウスが「好き」の幅を広げる存在になれたら、とても嬉しいです。
【写真】芹澤信次
香菜子(かなこ)
1975年、栃木県足利市生まれ。女子美術大学工芸家陶芸専攻卒業。在学中にモデルを始め、現在2児の母。母の立場から「こんなものがほしい」をかたちにした雑貨ブランド“LOTA PRODUCT(ロタ プロダクト)”を設立する。2008年よりイラストレーターとしての活動もスタート。著書に『毎日、無理なく、機嫌よく』(すばる舎)など。
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