ライター　小野民

新生活、GW……と過ぎ、日常が戻ってくる5月。ちょっぴり憂鬱になる日があっても、家の中のほんの片隅、小さなコーナーでも自分だけの好きな場所を作れたら、ふと目をやったら嬉しくなったり、自分を励ましてくれたりしそうです。

思えば子ども時代、ハンカチ1枚を広げてままごとをしたり、段ボールを自分の机に見立ててあれこれ飾りつけたもの。

誰のためでもない、自分のためにああだこうだと手を動かすワクワクがある日常は楽しい思い出です。そんな気持ちも大人になったいま再び味わえたらと、インテリアスタイリストの岩佐知布由さんを訪ねました。

全3話で取り上げるのは、飾り棚、テーブル、本棚の3つのテーマ。どれも「自分だけ」の好きを集めたり、居場所になる可能性を秘めているかも……と考えたのです。

普段から家の中を居心地よく素敵にする工夫を発信し、DIY好きでもある岩佐さん。それぞれのテーマで、すぐにできるささやかなアイデアと、DIYのレシピを教えてくれました。

1話目でお届けする「飾るアイデア」も、すぐに試してみたいものばかり。すでに家にあるお気に入りも、視点を変えてみると新しいインテリアになりますよ。

 

撮影の日、岩佐さんの自宅を訪ねるとふわっといい香り。雑貨や花瓶が、ちゃんと設えとしてそこにあると感じます。

まずは、「お気に入りのものはあっても、ただ並べるだけになってしまう」という悩みを相談しました。

岩佐さん：
「飾りたいものが複数あったら、下に何かを置くだけで統一感が出ますよ。ナプキンやランチョンマットの場合は、大きかったらたたんで使うと印象が変わることもあって、いろいろな使い方ができます。部屋のインテリアとのバランスを考えるなら、家具の色のトーンと合わせたり、ニュートラルな色味を使うとまとまりやすいです。

落ち着いたトーンのガラスピッチャーと真鍮のオブジェは、お互いの質感を引き立てあうような組み合わせ。異素材同士は、意外と引き立て合います。

家の棚やテーブルにちょうどいい場所がなかったら、椅子やスツール、箱を使えば飾り棚になりますよ。椅子の座面が不安定な場合には、トレーなどを一枚置くと安定感が出ます」

 

愛らしいキャラクターが照明のガラスシェードをドームのように被っている遊び心のある棚の上の一角。涼しげな印象は、ガラスドームと下に敷いたマットが麦わら素材のなせる技。

同じものを飾るとしても、敷物が麦わらなのかウールなのかで印象はガラリと変わります。

岩佐さん：
「夏ならガラスやひんやりしそうな硬質なものを、冬には温かみのある素材がおすすめです。飾るもの自体もそうですが、まずは手軽に敷くものに季節感を出してみるだけでも変化を感じますよ」

これを聞いて、我が家では陶器の花瓶をガラスのものにチェンジ。透明なガラス越しに水が見えるだけで、たしかに涼しげな気持ちを運んできてくれる気がしました。

 

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まる、さんかく、しかく……
組み合わせればオブジェに

思い立ったらすぐにできる工夫のほかに、自分でつくる小さな飾り棚のアイデアも。アイテムを重ねて高さを出すだけなのに、飾るものとぐんと目が合いやすく、お気に入りが主役感を持てるのが嬉しい仕様です。

▲上段の外側はコルク、中2つは木材、下段左は人工大理石（コーリアン）、右はアルミの円柱。岩佐さんは東急ハンズで購入しました

材料は、ホームセンターなどで売っているさまざまな素材。扱っている種類や値段は店によりますが、端材を扱っているコーナーで、1つ数百円で手に入るものが多くて気軽です。

岩佐さん：
「家に積み木があれば使ってみてもいいですね。今回はケーキスタンドの形を意識して異素材をミックスして配置しました。家にあるもので、タイル、小さなお皿やコースターの組み合わせもできますね」

▲上に物を置く場合は、不安定さを感じたら接着剤でとめておけば安心です

固定していないので、すぐに配置を変えられるのも手軽で嬉しいポイント。積み木で遊んだ遠い昔のように、気分によって自由自在というおおらかさがいいなあと思いました。

岩佐さんの部屋ではこんな使い方も。アルミの円柱を足に、コースターを載せた10センチ四方の空間は、小さいクマさんのお立ち台にぴったり。目が合うとちょっと肩の力が抜けるような舞台ができあがっていました。

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次回のテーマは、ひとときの自分の時間や空間をつくるひと工夫を。家にあるものをテーブルに見立てて、さらにはDIYでできるすてきなミニテーブルのレシピをお届けします。

 

【写真】メグミ

もくじ

 

岩佐知布由

インテリアスタイリスト。インテリアデザインを学んだのち、会社員やアパレル販売等を経て、フリーのインテリアスタイリストに師事。2018年に独立し、雑誌、広告、カタログなどでインテリアや雑貨、暮らしに関わること全般のスタイリングや、ショップのディスプレイ、住宅などの空間コーディネートを行う。

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