【インテリア特集】第1話:中古マンションをリノベ&DIY。石井佳苗さんの新居を訪ねました

ライター 嶌陽子

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石井佳苗さんの、新居を訪れました

本日より、インテリア連載vol.12がスタートします。

今回ご登場いただくのは、インテリアスタイリストの石井佳苗(いしい かなえ)さん

広告や雑誌などで活躍する石井さんは、これまでにも「フィットする暮らしの作り方」、「春に新調したいもの」など、当店の読み物に度々登場してくださっています。

DIYを日常的に行ないながらインテリアを楽しんでいて、そのアイデアをまとめた著書も人気です。

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昨年5月に海辺の中古マンションに引っ越した石井さん。内装をセルフリノベーションとDIYで作り上げたと聞き、ワクワクしながらお邪魔してきました。

インテリアや収納のアイデアはもちろん、将来、中古マンションをリノベーションをして住みたいと考えている人にとっても、参考になるヒントが満載。

そんな石井さんのお宅を、全4回にわたってお届けしていきます。

※登場するアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです

 


第1話
中古マンションをセルフリノベ&DIYで


_Q9A3133▲リビングの窓からは、海と山が見渡せる。

石井さんの新しい住まいは、海辺に建つ、築40年以上のヴィンテージマンション。

昨年5月に、3匹の猫たちと一緒に引っ越してきました。

1話目は、本インテリア連載のプロローグとして、リビングルームを中心に、石井さんのリノベーションのこだわりについてお話を伺います。

 

目指したのは、インテリアを配置しやすい「白い箱」

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石井さん:
「自然に恵まれた環境や、外観のレトロな雰囲気にひと目惚れして購入を決めましたが、内装が自分好みではなかったので、リノベーションしようと決めました」

とはいえ、今回のリノベーションでは、間取りはほどんど変えていません。

理由の一つは、元々ベーシックな間取りなので、大きく変えなくても暮らしやすそうだと思ったこと。

石井さん:
「もう一つは、自分の好きなインテリアを楽しむために、あえて『シンプルな箱』を作りたいと思ったからです。

あまり作り込み過ぎてしまうと、後々またインテリアを変えたいと思ったときに、自由がきかなくなりますから」

間取りをガラリと変えることは、リノベーションの醍醐味のひとつ。ですが石井さんのお宅を拝見すると、床材や壁材をはじめ、キッチンなどの設備を全面的に取り替えるだけでも、自分好みの空間を作り上げられるのだと分かります。

 

石井さん宅のリノベ、ビフォー&アフター

ishii_bookphoto_1▲リノベ前のリビング(写真:宮濱祐美子)

_Q9A3168▲リノベ後は障子だった場所に窓付きの壁を設置

ishii_bookphoto_2▲リノベ前、リビングと障子で仕切られた和室(写真:宮濱祐美子)

_Q9A3293▲リノベ後はフローリングの寝室に

こちらは石井さんのお宅のリノベ前後の写真。

見比べてみると、間取りを変えなくとも、床材や壁のつくりで、部屋の雰囲気が大きく変わっていますね。

ただし中古マンションということで、建物自体の制約もあったのだとか。

たとえば「窓が1面しかない」「マンションの規定で使える床材が限られる」「石膏ボードの壁でネジや釘が使いにくい」といった悩みを、石井さんはどう解決していったのでしょうか?

 

セルフリノベの悩み(1)
窓は1面のみ。採光はどうする?

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新しい住まいでの最大の悩み。それは、採光でした。

石井さん:
「窓は南東向きのリビングにしかなく、廊下や玄関、寝室が暗かったんです。そこで、家全体に光が入るように、色々と工夫しました」

そのひとつがこれ、玄関の廊下とLDKをつなぐドアです。

_Q9A3360▲モダンなアクセントとなっている外枠の赤色は石井さんが塗った。

葉山の古道具屋「桜花園」で、2万円ほどで購入したというドア。

ガラス窓がついたものに変えることで、リビングの窓からの光が廊下や玄関にも入るようになったのです。

玄関のドアの内側も、メタリックなシルバーに塗り替えることで、光が反射し、玄関がさらに明るくなりました。

ishii_bookphoto_3▲リノベ前の玄関(写真:宮濱祐美子)

_Q9A3359▲写真奥が塗り替えた玄関ドア。手前の緑色に塗った鉄格子は猫たちの脱走防止用内扉。

間取りを大幅に変えなくても、アイデアと工夫次第で、家全体が明るくなり、雰囲気もがらりと変わります。

リビングと元和室を仕切っていた障子の部分は壁を作り、そこに折れ戸をつけることで、 寝室に光と風が通るように。

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石井さん:
「台湾を旅行した時、立ち寄った茶藝館で折れ戸が使われているのを見ていいなと思って。ぜひ我が家にも取り入れようと思いました」

リノベーションに取りかかる前、インターネットや雑誌、旅先で立ち寄ったお店などを見ながら、理想の部屋のイメージを膨らませていったそう。

石井さん:
「インターネットの写真共有サービス “Pinterest” で検索して、好きなインテリアの写真を集めたりしましたね。リビング、キッチンという風に、部屋ごとに分類しておきました。

リノベーションを専門業者に任せる場合でも、理想の部屋の写真を設計事務所や大工さんに見せると、より自分のイメージに近い部屋になると思いますよ」

 

セルフリノベでの悩み(2)
集合住宅ならでは、床材選びのこと

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今回、石井さんがこだわったものの一つは、床と壁の素材。面積が大きい部分だけに、素材次第で部屋の雰囲気は大きく変わります。

石井さんも、たくさんのサンプルを取り寄せ、肌触りなども確かめながら妥協せずに選んだそうです。

リビングに使ったのは無垢のフローリング材(IOCの無垢オークナチュール・床暖房対応)。

リビングとつながっているダイニングとキッチンには「平田タイル」の石のタイル(Toka600)を選びました。

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木とタイルのコントラストが大人っぽい雰囲気です。

ここで、石井さんから重要なアドバイスが。

石井さん:
「マンションでは階下への防音対策ができているかどうかが、改装許可を得るのに必要な条件になります。

私の選んだ床材は防音に対応していなかったので、『遮音材』というものを手配し、床材の下に敷くことで、マンションからも許可を得ることができました。

多くのマンションでは遮音性能の数値が決められていて、それをクリアする床材を使わなければならないので、床材を選ぶ時は、確認してくださいね」

 

セルフリノベでの悩み(3)
釘やネジもOKの「自由な壁」がほしい

_Q9A3193▲壁にかかった飾り棚は、石井さんがベニヤ板にアイアンペイントを塗って作った。

石井さんのお宅で印象的なのが、壁のディスプレイ。

リビングルームの壁にも、シックな飾り棚や、フレームだけの棚、ポスターなどがバランスよく付けられていました。

_Q9A3201▲フレームだけの棚に板を渡して植木鉢を飾ると、存在感がぐんと増す

木、アイアン、ゴールドといった色のトーンが揃っているため、うるさく感じられません。白い壁を彩る様々なディスプレイが、部屋の雰囲気作りに大きな役割を果たしています。

これを可能にしているのが、石井さんが「とても便利!」と提案している「自由な壁」。

石井さん:
「壁材としてよく使われている石膏ボードは、とても柔らかい素材なので、ネジや釘が効きにくいんです。だから、石膏ボードをはがし、全面にベニヤ材を入れました。

ラーチ合板に、シナベニヤを重ねた壁を、ほとんどの部屋に取り付け、ペイントで仕上げたんです」

_Q9A2952▲壁に飾ったオブジェは陶芸家、笹本雅行さんの作品

これなら、好きな場所に棚や照明をつけたり、絵やオブジェを気軽に飾ったりすることができます。

だから、石井さんいわく「自由な壁」なのです。

2枚の板を重ねた合計の厚さが13mmなので、かなり重いものでもネジが耐えられるそうです。

_Q9A3185▲飾り棚も照明も、壁にビスで直接留められる。

石井さん:
「シナベニヤを使ったのは、表面がなめらかなので、ペンキで塗る際にきれいに仕上がるから。ただし高価なので、安価なラーチ合板と組み合わせました。

ペイントで仕上げると、気分に合わせて塗り替えられる楽しみもあるし、ネジで空いてしまった穴を埋めたりするメンテナンスもしやすいですよ」

_Q9A3207▲飾り棚に並んだオブジェ。色のトーンが揃っているせいか、まとまって見える。

部屋の雰囲気を大きく左右した壁と床。

石井さん:
「前の家と比べて、かなり大人っぽく、シックな雰囲気になりました。

『箱』が変わると、家具や飾っているものなど、インテリアの見え方まで変わってくるのが、新鮮で面白いですね」

_Q9A2973▲藤製の椅子は葉山の「桜花園」で購入。

壁や床の素材を自分で選ぶだけでも、セルフリノベーションの第一歩だと話す石井さん。

「セルフリノベーションなんて無理」と思っている人でも、これなら実現しやすく、家への愛着も増しそうです。

次回は、石井さんがとりわけこだわって作ったというキッチンをご紹介します。

どうぞお楽しみに!

(つづく)

【写真】木村文平

※石井さんの新居作りのプロセスや、この連載で紹介するDIYアイテムの作り方は、近著『Love Customizer No.2 DIY×セルフリノベーションでつくる家』(エクスナレッジ)で詳しく紹介されています。

 


もくじ

 

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石井 佳苗

インテリアや暮らしまわりのスタイリスト。ウィンドウディスプレイやプロモーション、商品開発、講師などにも、活躍の場を広げている。近著『Love Customizer No.2 DIY×セルフリノベーションでつくる家』(エクスナレッジ)はじめ、インテリアやDIYにまつわる著書多数。https://www.instagram.com/kanaeishii_lc/

▽石井佳苗さんの著書の一部

 

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ライター 嶌陽子(しま ようこ)

編集者、ライター。大学卒業後、フリーランスでの映像翻訳や国際NGO職員を経た後、2007年から出版社での編集業務に携わる。2013年からフリーランスで活動を始め、現在は暮らしまわりの記事や人物インタビューなどを手がける。執筆媒体は『クロワッサン』(マガジンハウス)、『天然生活』(地球丸)など。プライベートでは1児の母として奮闘中。

 


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