【ケの日のこと】1年越しのやる気スイッチオン!一家総出の「ケ」の日のリフォーム
「家族と一年誌『家族』」編集長 中村暁野
第7話:ケの日のリフォーム
先週の土曜日。1ヶ月のあいだ順々に体調を崩していた家族全員がようやく回復したお休み。何しようかね?どこか行こうか?と夫に聞かれたので「じゃあ家の改装の続きで」と答えました。「……やるか」と夫もつぶやき、自宅改装の続きをすることに。
自宅改装というとなんとも大掛かりで大変そうですが、そして実際大変ではあるのですが、わが家の改装作業は思いついた日に、唐突に始まるのが常なのです。
夫の特技はDIYで、最初に住んだアパートも、つぎに住んだ小さな庭つきの一戸建ても、賃貸としては限界と思われるリフォームを自力でしてきました。朝出かけて帰って来たら備え付けの味気ないキッチンがつぎはぎの木製キッチンになっていたり、庭に娘のための小部屋ができていたり。家族の生活や子供の成長、暮らしにあわせてそのつど変えていく、それがわが家のかたちでした。
▲以前の一軒家にあった娘用の小部屋、通称・たねちゃんハウス
そんな私たちは去年の3月、山間の町の湖畔にある古くて大きな一軒家に引っ越すことになりました。きっかけは小学生になる娘の学校だったのですが、決めたのは入学の5ヶ月前。なんとか春までに家を見つけなくてはいけませんでした。物件が山ほどある都内とはちがい田舎町での家探しはなかなか大変で、ご縁に恵まれ家が最終的に決まったのは2月。別荘として使われていたその家で暮らすためには大幅なリフォームがしたい。なおかつ当時住んでいたカスタムしまくりの一軒家の現状復帰もしなくてはいけない。わたしは息子を産んで1ヶ月……。通常の引っ越し作業だけでも泣きたくなるのに、その全部を約1ヶ月半で行わなきゃいけないという現実に頭がクラクラしました。
でもここでとりあえず新居のリフォームは諦めよう……とならないのがわたしたちなのです。親族友達も巻き込んで、夫は壁をぶち抜き、壁紙を剥がし塗り替え、床を張り替え、扉を変え。わたしは生後1ヶ月の息子をなだめすかしながら、荷物を詰める。怒涛の日々の末、なんとか新居の主な生活空間であるキッチンとリビングを整え、賃貸の一軒家の現状復帰を終わらせ、一家でこの地にやってきたのでした。
▲引っ越し前のリフォーム中、壁紙を剥がし、パテ埋めをする夫
そんなふうに始まったこの家での生活は、始まる前に燃え尽きた感がありまして、長らくキッチンとリビング以外の場所には目と心を閉ざして過ごしておりました。でも、そんな日々に終わりをつげる時がきたのだと思います。玄関、洗面所、廊下、お手洗い、寝室……、見てみぬふりをしてきたスペースがこうだったらいいなあ、とかこうしたい!とか、そんなイメージがむくむくと湧いてきています。
この家で暮らしはじめてもうすぐ1年。今のわたしたちの暮らしにあわせて、日々手を加え、住まいを変えていく、そんな毎日をまた始めたいと思います。わが家にとってリフォームは、まったく「ケ」の出来事なのです。
【写真】馬場わかな(1枚目)、中村暁野(2枚目)
中村暁野(なかむら あきの)
家族と一年誌『家族』編集長。Popoyansのnon名義で音楽活動も行う。7歳の長女、0歳の長男を育てる二児の母。現在は『家族』2号の取材を進めている。2017年3月に一家で神奈川県と山梨県の山間の町へ移住した。http://kazoku-magazine.com
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