【スタッフコラム】「いのちの旗じるし」
編集スタッフ 寿山
先日、大好きな染色家・柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)さんの作品展を見に行きました。そこで、ある作品のタイトルにドキッとしてしまったのです。
それは「いのちの旗じるし」という題名。たぶん、自分が生きた証という意味なのでしょうか。
作品にそんなタイトルをつける心境って、どんなものだろう。わたしは自分が生きた証なんて残せるのだろうか。そんなことをぐるぐると考えながら作品展をみたあと、講演会にも参加しました。
登壇されたのは、作者である柚木沙弥郎さん。ずっとずっとお会いしたいと思っていた方です。
たかぶる気持ちを抑えつつ柚木さんの話に耳を傾けると、すべてが不思議なくらい今の自分に響く言葉ばかり。ご自身が、95年間生きてきたなかで学んだことを、下の世代に伝えたいという真摯な想いが伝わってくる内容でした。
心に響いたメッセージ
「世間に媚びすぎてはいけない」
柚木さんは、人から求められていることだけに気をとられていると、自分を無くしかねないという話をされていました。
わたしも自分は無くしたくないと思ってはいますが、ときに世間体や人目を気にしすぎていることがあるかもしれません。いつどんなときも、自分らしく。聞こえはシンプルですが、忘れずにいるって難しい。でもそう在りたいなあと思いました。
「自我を出したっていい」
なにかを作るときに、自分の色が出てしまうのは当然のことで、それは悪いことではないと思うとも話されていました。純粋な自我が出てこそ、生き生きとしたものが生まれるのではと。自分をセーブしすぎるのは良くないと。
わたしは誰に言われたわけでもなく、大人になってからは自我をあまり表に出さない方がいいと、どこかで思い込んでいた気がします。でも自我を抑えすぎても、面白いことなんて出来ないのかも……。自分の色を薄めすぎずに、どう生かすかをもっと考えていこうと思いました。
「自分がうれしくなるような、
ワクワクするものでなければ」
なにかを生み出すには、自分が嬉しくなるよりしょうがない。ワクワクしてなきゃ、おもしろいと思えるものは出てこないという話もされていました。
この言葉の意味もすごくわかるけれど、いざ仕事となると「ちゃんとやらなきゃ」という気持ちが先行して、真面目に考えすぎて、頭が固くなっているときもあるなと感じます。でも、なにかを生み出すには、ワクワクするって大事なこと。いつ何時も忘れずにいたいです。
「 “直観” を大切に」
瞬間的にものごとの本質を捉えることを「直観」といって、感じとる力はみんなが持っていると柚木さん。ただ、自分の直観に自信がなかったり、人目が気になって素直に出せなかったり。直観をもっと大切にしてほしいと言っていました。
たしかに瞬時に答えが出ることはあるけれど、そのまま表に出すって勇気がいります。パッと直観したことを、後づけするように言語化して自分を説得しないと不安もある。でも、この言語化の過程で感じたことを曲げないようにしようと思います。
▲作品集のインタビューを読みながら、家でもこくこく頷いてしまいました
1時間以上にもわたり、情熱的にユーモアを交えながらあらゆるお話をしてくださった柚木さん。もちろんご自身も悩むことやスランプに陥ること、なかなか越えられない壁に直面すること、人間にはそういうネガティブな面もあるのだけれど、楽しまなければ、つまらなくなってしまうからといいます。
間違っててもいい、騙されてもいいから、そのとき信じたことをやってみる。
チャンスがあったら、どうやったらいいかわからなくても、やってみる。
情熱が、気力があれば、熱があれば、何でもできる。やってみなけりゃわからないし、やる前に諦めてしまってはしょうがない。冷めちゃったらダメだよと。
客席にむかって繰り返し表現をかえながら、欲をもって、情熱をもって、自分らしく生きてほしいと伝えているように感じました。
わたしは人に何かを伝えるとき、押し付けがましくならないよう、相手が嫌な気持ちにならないよう、やわらかく表現してしまいがちです。でも、本当に何かを伝えたいとき、それはかえってメッセージをわかりにくくしていた場合があるのかも。時として、伝えるべきことを真正面から相手に手渡すことも必要だなあと、人生の大先輩のメッセージを受け取りながら思いました。
心に響いた言葉ばかりを書き連ねてしまったので、暑苦しい部分もあったかもしれません。
ですが、どの考えも「フィットする暮らし」に通じる要素がある気がして。もしかしたら誰かの心にも響くかもしれないと忘備録を綴ってみました。
できることなら、私も「いのちの旗じるし」を掲げられるような人生を送りたい。ささやかでも。そうイメージしながら生きていこうと思います。
▲柚木さんの愛嬌ある鳥モチーフのデザインが好きです
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