【スタッフコラム】父の庭しごと。
お客様係 望月
▲去年はうまく咲かなかった紫陽花が今年はひっそりと咲いていました。
父が庭しごとをはじめました。
聞くところによると、毎朝7時前には起きて、1時間かけて庭の植物たちへの水遣り、室内の観葉植物のお世話を欠かさないとのこと。
「これから夏場は朝晩水遣りをしないといけないんだってさ。いや〜困っちゃうよ」
と電話口での明るい声。
父は、私が幼い頃から最近まで、仕事中心の生活でした。
土日も家にいることはほぼなくて、私の幼少期の記憶といえば、母と兄と3人で出かけたことばかり。
植物が好きで家庭的な母とはとにかく対照的に、花や暮らしのことにはほぼ関心を示さなかった父。
そんな父が庭しごと、始めてみたら。どうやら結構向いてるみたいなのです。
母から父へのバトン。
▲3月、クリスマスローズが一気に咲き始めました。
花や植物が大好きだった母が他界したのは今年の2月のこと。
母は、植物をまるで我が子のように愛でる人。
季節ごとに寄せ植えを楽しんだり、100円ショップで購入した小さな観葉植物を、私の背丈近く(155センチ)まで大きく育ててしまいます。
母がいなくなった寒い冬を越え、気づけば春に。
悲しみにくれる私たち家族を励ましてくれたのは、庭の花や植物たちでした。
母が春を楽しみに待ちながら世話していた庭の花たちは、しばらくの間誰も手入れをしていなかったのに、その気配に気づいていっせいに咲き始めたのです。
季節になったら花が咲く。
今まで当たり前だと思っていたのに、こんなにも嬉しくて涙が出てしまうなんて。
母が大切にしていた植物たちを、これからも育て続けていけたら。
祈りにも似た感情を抱いたのは、父もおんなじだったようです。
そして、暖かくなった季節。
植物のお世話は母から父へ。バトンがわたりました。
父と娘に芽吹き始めた、新たな関係。
▲庭の野草を少しだけおすそわけ。
今まで植物には関心がなかった(ように見えた)父だから、植物のお世話なんて無理だろう。
なんて思っていたのですが、母がいた頃と変わらずにすくすく&のびのびと生長している実家の植物たち。(残念ながら娘の私は「枯らし屋」なのです……。)
あまりにも羨ましくて、ちょっぴり不本意ながら、実家に帰ると「お父様、教えてください」と父にアドバイスを乞うてしまうこともあるほど。
「水しかやってないけど、どんどん咲いたり大きくなるんだよ〜。困っちゃうよ〜」
相変わらず植物には疎い父なので、自分がいったい何の花に水をやっているのかよく分かっておらず、たいてい参考にならない答えが返ってくるのですが、
「でも、ママが大事に育てた植物だからね、一生懸命やってるんだ」と。
母への深い愛と、夫婦の約束みたいなものを知った気がしました。
そういえば母が言っていたっけ。
「植物は声をかけて愛情をかけてあげるのが一番よ」
***
仕事中心で、ほとんど家にいなかった父。
それが当たり前の環境で育ったから、父と会話をすることは30数年間本当に少なくて。
父が植物のお世話が意外と上手だなんて、全然知らなかったし、知ろうともしてこなかった。
母が残してくれた植物たちは、父と娘の会話を少しずつ増やし、新しい関係を芽吹かせようとしています。
さて、夏到来も間近。
父とあれこれ言いながら、夏に向いてる植物をなにか植えてみようかしら。
▲インターネットで調べて、見よう見まねで株分けもしていました。大きく育ったら私にも分けてくれるそうです。
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