【スタッフコラム】教科書の中でいちばん好きだった話。

お客様係 市原

国語の教科書で出会い、今でも印象に残っている作品があります。

それは中島敦著の『山月記』。

主人公の李徴(りちょう)という優秀な男が、詩人への道を進むも上手く行かず、ついには虎になってしまうお話です。

隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。

—『李陵・山月記』(新潮社)p.8

わたしは高校時代、現代文の授業でこの冒頭部分を読んでノックアウト。

その美しく、滑らかで、スマートな文章に、なんでこんな文章が書けるんだろうと尊敬の念を抱き、授業中に静かに高揚したことを今も憶えています。

近代文学に対して、現代文学とは異なるちょっと難解な文体に苦手意識を持っていた当時。いくつかの作品にトライしつつも、自分の読解力が追いつかず、いつもなかなか読み進められずにいました。

そんな中で出会ったこの作品だけは読んだ瞬間に、難しい単語が連なっているのに、するすると声に出して読める!と、自分の感覚がくつがえされ、いたく感動したのです。

あらすじより何より、とにかく文章のリズムが好きでした。

 

あれから数十年。

▲訪れたのは東京・駒場東大前駅にある、日本近代文学館。

8月も終わりのある日。『山月記』を中心に中島敦をとりあげた展示のチラシを目にし、「これは!」と行ってきました。

訪れたその日は、夏の暑い暑い日でした。

半ば意識が朦朧とするような気温の中で到着し、止まらない汗。そして、久しぶりに触れる作品の懐かしさからくる静かな興奮。

館内で一人、汗と興奮を抑えつつ、教科書で読んでいた時には知らなかった、著者の人生や作品の背景の世界にのめり込んで、じっくり見て回りました。

そして、いちばん好きだった『山月記』の冒頭の部分は、今読んでもやっぱり同じように感動し、文学心をくすぐられました。

(そして、あれ?こんなに難しかった?と自分の読解力の衰えを感じるとともに……)

 

教科書の中での出会いは、ちょっと特別?

思い返すと『スイミー』、『赤い実 はじけた』、『やまなし』など教科書の中で出会った作品には、小学生時代まで遡っても、そうそうこんなのあった!と思い出されるものがいくつもあります。それは、文章の一節や挿絵のことまで。

きっと一つの作品に授業の中でじっくりと向き合うから、ひとつひとつが思い出となり、記憶に残っているのだと思います。

つくづく学生時代の思い出って無敵だなと思います。

学生時代の教科書は、もうみんな処分してしまって、タイトルも思い出せない、うろおぼえの作品もちらほら。

皆一度は通った、教科書の中の作品たち。だからこそこの話題、懐かしいタイトルをあげながら、小一時間は盛り上がれそう。

もうじき予定している旅行で同級生の友人たちに会ったら話題にしてみようかな、なんて思っています。

皆さんは、心に残っている作品ありますか?

 


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