【スタッフコラム】「明日の自分」を気楽にさせたい。一人暮らしの自炊事情。
編集スタッフ 津田
今日は、何を食べたいだろうか。
自分ひとりのことなのに時々、答えが見つからない。だって前日からの作り置きがあるとして、今日もそれを食べたいとは限らないし、帰り道で急に外食したくなる日もあるのだから。
そんな時に「あれを食べなくちゃ……!」と思うと、まるで宿題を終えずに遊んでいた時のような、何とも言えない気まずさを覚える。
けれど、気分が変わるのは自然なこと。だから暮らしに無理がないように、最近はこんなふうに自炊のスタイルを決めてみた。
(その1)平日は献立をシンプルに
まず献立の型を「ごはん、味噌汁(できれば具だくさん)、あと何か1品」と決めた。
時間も食材もやりくりが大変な平日は、副菜は作らなくてよい。ビタミンやミネラルは味噌汁の野菜or海藻でとる、と割り切った。もし前日までの残りのおかずがあれば、それが自動的に副菜になる。
「あと何か1品」は、肉や魚を焼くか蒸すかすればいいし、出来合いの惣菜を買ってきてもいい。食卓が茶色くても、インスタ映えしなくても、自分のための平日の晩御飯くらいいいのだ。冬の間は鍋にしてしまえば、味噌汁も兼ねられる。
(その2)海藻類を活用する
これまで使い方がよくわからず、敬遠しがちだった海藻類。今はお出汁用に昆布・煮干しを常備している。
味噌汁1杯は、煮干し3匹。湯豆腐や鍋は、水1000ccに昆布2枚と決めたことで心が軽くなった。計量のためにキッチンスケールを出したり仕舞ったりが面倒だったが、料理書を参考に我が家用の目分量を決めたのがよかった。
あと、とろろ昆布と乾燥わかめ等も常備。味噌汁用の野菜を包丁で切るのすら面倒に思える日は、これらが頼りになる。冷凍しておいた小口切りのネギと一緒にお椀に入れればOKで手軽だ。いずれも保存食材で賞味期限が長く、焦らずに使えるのもよい。
(その3)空いた時間に料理しておく
大根、さつまいも、キャベツなど、旬の野菜は安くて美味しい。丸ごと買いたいけれど、一人暮らしだと食べ切れないのが悩みの種である。
最近は、これらを煮物もしくは塩漬けにする方法を覚えた。
煮物は、昆布を水で戻し、砂糖・醤油・酒・みりんで味付けして、ひと煮立ちさせたら、大きめに切った野菜を入れてごく弱火で1〜2時間ほど蓋をしておくだけ。塩漬けは、野菜を切って、目分量でぱらりと塩を振りかけて揉み込むだけ。好みでレモンや酢を足してもよい。
週末の空いている時間や、元気がある日の夕飯後に仕込んで、あとはNetflixを見てのんびりくつろいで過ごせば、その間に勝手にじっくり美味しくなる。
適当な作り方なのに「まずくて食べられなくて悲しい」となったことがないし、その日に食べなくても大丈夫という点も、気に入っている。
煮物は、鍋のままキッチンに置いておけば、食べ忘れてしまうこともない。すこーし表面にお酢をかけておくと、さらに日持ちすると聞いて、こちらも実践している。案外味に影響はない。
自炊で「明日の自分」をラクにしたい
先日取材でお会いした料理家さんが「炊事の“肝”は自分に合う時間軸をどうやって組み立てるか」だとおっしゃっていた。
私は一人暮らしなので、毎日一からすべて作るのは面倒だし、たくさん作ると食べ続けなければならず心の負担が大きい。
だからこそ、食材をどう加工すれば、どのくらい日持ちするのかを知っておく。自分の食べる量と、食材を買う量とを見極める。
「今日食べ切らなくても大丈夫」。平日にこの心地よい状態をキープし、休日に料理する楽しみをとっておく。
暮らしとは、きっと自分の事情と世の中との折り合いをつけていくこと。炊事一つとっても、料理本や誰かの暮らしにヒントはあっても、それが正解とは限らない。
答えがないから、やっぱり暮らしも自炊も大変だ。
けれど今夜も、我が家の小さな台所に立ってみようか。どうすれば「明日の自分」が気持ちよく暮らせるのかを考えながら。
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