【スタッフコラム】伝えられない味

編集スタッフ 松田 編集スタッフ 松田

ブロッコリーを塩茹でするとき、いつも思うことがあります。タイマーが鳴り、鍋からざるにあげた瞬間のものが、いちばん美味しいなと。

湯気が立つ中、熱々のをひとつだけ摘んで、口をホクホクさせながら食べる、茹でたてのブロッコリー。ほのかに感じる塩っ気も、熱々だからこそ、より絶妙にきいている気がして。

「今日の茹で加減も最高だな」と自分で自分を褒めつつ、ざるの中のホクホクでふわふわの、鮮やかな緑色をしたブロッコリーの匂いを嗅ぐ瞬間が大好きなのです。

白米が炊け、その日のメインのおかずと味噌汁と共に食卓に並べる時には、冷たくなっているとまでは言いませんが、お皿にのったブロッコリーはやはりすでに冷めていて、美味しいは美味しいけれど、でもあの瞬間のブロッコリーとは別ものになっていて。

娘はブロッコリーが大好きなので、あの瞬間の味を食べさせたいなと思いつつ、そもそも子どもの口には熱すぎるから、伝えたくてもなかなか伝えられなくて、もどかしいなと思うのです。

 

でも思えば、その味は、料理をする側の特権みたいなものかもしれないと気づきました。

実家を出て一人暮らしをするようになり、そして家族ができて、毎日台所に立つようになってから、わかるようになった味。たぶん誰かに「今だよ!この瞬間が美味しいんだよ!そうでしょ!」と教えてもらっても、きっと本当の意味では理解できなかっただろう味。自分で手を動かしてやってみて、はじめて「あぁわかる……」と共感できる味。

切りたてのトマトやきゅうりのみずみずしさ、茹でたてや炒めたてのきれいで鮮やかな青菜の姿、肉がジューッと音と立てながらフライパンの上で美味しそうな色に変わっていく様子、グリルから引き出される焼き魚の香ばしい匂い。そして揚げたての熱々の春巻きを、台所に立ちながらほおばるあの瞬間。

それらの匂いを嗅ぎ、ちょこちょこ味見をしながら、冷蔵庫にしのばせていた冷えた缶ビールをプシュッと開け、ぐびっと一口飲めたなら、その日に多少うまくいかないことがあったとしても、寂しいなと思うことがあったとしても、まぁなんとかなるかと受け入れられるくらい、幸せだなぁとしみじみ思います。

 

きっと娘もいつか、自分のために、誰かのために料理をする日がくるのでしょう。台所でしか味わえない、この瞬間を、ひとり楽しむようになる日がくるかもしれません。

料理に限らず、自分でやってみたからこそ、発見したり感動したりすることはいっぱいあります。スポーツでも、勉強や仕事でも、たとえ遊びでも。

彼女に伝えられることは、できる限り伝えたい。でも、茹でたてのブロッコリーの味のように、伝えられないこともたくさんあります。

自分でやってみたからこそわかる、そんな最高の瞬間を、たくさん見つけていってほしいなと願います。

そしてわたし自身も、そんな瞬間や体験をもっともっと知りたいし、見つけていきたいなと、茹でたてのブロッコリーを食べながら思ったのでした。

 


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