【おしゃれの話】前編:30代、仕事を辞めてパリへ。着る人を虜にする服ができるまで(saqui デザイナー・岸山沙代子さん)

編集スタッフ 奥村

『saqui(サキ)』というブランドをご存知でしょうか?

シンプルなデザインの中に、質感やディテールなど、他にはない個性がきらりと光るファッションブランドです。

わたし奥村が初めて見た『saqui』の服は、ヘリンボーンのコート。見たことのないようなうっとりするテキスタイルで、思わず手を伸ばしてみたくなる。そんな不思議な引力がありました。

憧れのまま、実際に袖を通したことはなく、それでも毎シーズン、小さなワクワクを胸に『saqui』の服を眺めていたわたし。

この服はどんな方が作っているんだろう。今回は作り手の岸山沙代子(きしやま さよこ)さんに会いに行きました。

 

始まりは、仕事を辞め30代で渡ったパリ

元々は編集者だった岸山さん。服飾の勉強をしていた学生時代の経験を活かし、卒業後はソーイング本の出版社へ入社。

さまざまな書籍を手掛け、キャリアを着々と積んできました。

岸山さん:
「出版社にいた頃は、仕事をしながら、週末には立体裁断の学校にも通っていました。

仕事のためというよりは、単純に好きだったから。服作りにはずっと興味があったんだと思います」

その後、縁のあった女性誌の編集部へ転職し、暮らし周りの編集に携わるように。

ところが、順風満帆に見えるそのタイミングで。編集の仕事をはじめて10年が経つ頃、ぽんっと仕事をやめて、単身でパリに渡ったといいます。

岸山さん:
「ずっと、いつかパリに留学してみたいと思っていたんです。10年この仕事を続けてきて、今がその時かもしれないって。

当時独身でしたし、両親もまだ元気。貯金も少しあったので、思い切って行ってみようと」

決めたら行動も早い岸山さん。仕事を辞めて単身、パリへ移住することに。当時33歳の終わりでした。

 

「そうそう、私が好きなものはこれだったんだ!」

学生時代に訪れ、一目惚れしたパリ。実際の暮らしでは、見るもの全てが刺激的だったといいます。

最初は語学の勉強以外、特に目的がなかったという岸山さん。けれど次第に語学だけでは物足りないと感じるように。

転機になったのは、渡仏してから1年経ち、パタンナーをする知人の家に遊びに行った時のこと。部屋におじゃますると、机の上にはたくさんのデザイン画や、服の型紙がありました。

岸山さん:
「それを見た時、そうそう、これだった!と思いました。私はこれをやらなきゃって。

編集者時代の後半は、仕事が楽しくて、服作りが好きだという気持ちも忘れてしまっていたので、久しぶりの出合いでしたね」

早速パターンの学校へ通い始め、同時にインターンを通じて服作りの世界に身をおきながら、あっという間に過ぎ去った2年半。

大変なことも沢山あったけれど、毎日が刺激的で、夢のような時間だったといいます。

 

「1枚のワンピース」が、ブランド誕生のきっかけに

その後帰国して数年間、服の書籍を手掛けたり、取材に出たりと、編集者兼パタンナーとして活動すること数年。それでも、当時はまだ自身のブランドを立ち上げるなんて、予想もしていなかったといいます。

きっかけは、友人の依頼でワンピースを作ったこと。

それが友人や編集者の目に止まり、「もっと作ったらいいのに」と勧められるままに、はじめての受注展示会をすることに。それが『saqui』のスタートでした。

岸山さん:
「展示会に向けて、がむしゃらにたくさんの服を作ったんです。それが本当に楽しくて。こんな服が作りたいとデザインを描き、型紙を引き、サンプルを縫うこと。これまでの経験がすべて活かされて、私は服を作るのが好きなんだと改めて思いました」

編集者という作り手をサポートする仕事から、自らが想像し、作る仕事へ。その転換は一見大きなことのように感じますが、岸山さんにとっては、ごく自然な結果、だったのかもしれません。

 

『saqui』として作る初めての服。選んだ布は、シンプルな黒

初めての展示会準備のため、服に使う布を選びに行ったとき、数ある中から岸山さんが手にしたのは、シンプルな黒の布。岸山さんには「これがいい」という直感があったといいます。

岸山さん:
「一見とてもシンプルですが、ひと目見て生地を触って『仕立て映えする布だ』と感じたんです。この布で作りたい服のイメージが浮かびました。

パリでインターンをしていた頃、たくさんの素敵な布を見て、触ってきたからこそ、自信をもって決断できたのだと思います」

そうして作られたのが、「テーパードリボンパンツ」と「プルオーバー」。

すとんと落ちたシルエットと、光沢とハリのある素材感。きちんと感と抜け感のバランスが絶妙な、この生地だからこそ生まれた一着でした。

岸山さん:
「トップスもボトムスも、単体ならスニーカーなどカジュアルなアイテムにも合いますし、セットで着るとアンサンブルになり、フォーマルな装いにも使えます。シワもつきにくくて、実はこれ、自宅で洗濯もできる素材なんです」

この服が、のちに「一度着たら手放せない」とシーズンごとに複数買いするお客さまもいるほどの大ヒットに。長く愛される、『saqui』の看板アイテムとなりました。

▲岸山さんが履いているものも「テーパードリボンパンツ」。薄手の夏用の生地で仕立てたもの

 

作りたいのは「着る人の顔が見える服」

「ある日、友人に作ってあげたワンピースからスタートしたsaqui。

幸せなことに、私の回りには自分を持った素敵な女性がたくさんいて、頭の中はいつもそんな彼女たちに似合う服をイメージしながら作っています。

着る人の顔が見えること。それがsaquiの服作りの理想です。」

ブランドサイトの冒頭には、岸山さんのこんな想いが綴られています。

 

パリでの思いがけない出合いから、ブランドの立ち上げに至るまで。『saqui』ができるまでの経緯は、時にドラマティックで、ふとしたきっかけで起きた偶然のような出来事に思えました。

けれどお話を聞きながら感じたのは、岸山さんは、服作りと、おしゃれに対する哲学を、きっとずっと前から持っていたのだということ。『saqui』の立ち上げは偶然ではなく、必然のことだったのかもしれません。

後編では、そんな岸山さんの服作りの芯にある思いと、おしゃれに対する考え方を伺っていきます。

 

【写真】鍵岡龍門

 


もくじ

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岸山 沙代子

大学卒業後、手芸や服飾系の出版社に勤務。その後、雑誌「LEE」のエディターとして多くの料理家やスタイリストとの仕事に携わる。34歳から約4年をパリで過ごし、帰国後、ファッションブランド『saqui』(サキ)を立ち上げ、瞬く間に人気ブランドに。現在は年に2回、東京と神戸で受注会を開催している。『saqui』のオンラインショップはこちらから。Instagram:@saqui_official

 


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