【新連載|暮らしのみずうみ – 松本便り】第1話:自分と向き合いたくてはじめた、気持ちの言語化
ライター 桒原さやか
エッセイを書かせてもらうことになった、桒原さやか(くわばらさやか)と申します。
長くお店を見ていただいている方の中には、もしかしたら、メールか電話でお話ししたことがある方もいらっしゃるかもしれません。「北欧、暮らしの道具店」ではお客さま係として6年間、お問い合わせや受注対応をしていました。お店を退職した後はノルウェーに移住し、その様子をノルウェー日記として書かせてもらっていたこともあります。
今は、長野県松本市でスウェーデン人の夫、4歳の娘、2歳の息子の4人暮らし。こちらでは、家族のこと、住まいのことなど、松本で暮らしている我が家の日常について書かせてもらうことになりました。
最近は「言語化する」というのがわたしのテーマなんです。今回は、そのことについてお話ししてみようと思います。
小さな頃から、話をするのがあまり得意な方じゃなかった覚えがあります。2つ上の姉がいるのも大きかったかもしれません。
私がもじもじしていると、おしゃべりでしっかり者の姉が、「さやかちゃんはね、〇〇が好きなんだよね?」という感じに誘導してくれるんです。わたしが「うん」と答えると、みんなが「そうなんだー」と言って、話はまた違う話題へ……。
自分が誰かの前に立ってあれこれ話すよりも、後ろに一歩引いて、様子をうかがっている方が居心地がよく感じていました。
そんな私が少しずつ変わってきたのは、スウェーデン人の夫と出会ってから。彼はなんでも知りたがる人なんです。私がムスッとしていると、どうして怒っているのか原因がわかるまであれこれ聞いてきます。
今日は何があったの?
どうして怒っているの?
何か僕にできることある?
正直、めんどくさいなぁ…… と思うこともあったのですが、あらためて言葉にしてみると、くだらないことで怒っていることがしょっちゅう。自分でも呆れることのほうが多かったかもしれません。でも、あるときは、言いたいことがうまく言葉にできなくて、喉の奥がぎゅうっと重い感覚になることもありました。
夫と出会い、北欧のことを少しずつ知っていくうちに、「自分がどうしたいのか?」ということを、家庭でも学校でも大事にしていることを知りました。
また、北欧ではふだんの生活の中でも「あなたはどう考えているの?」と、よく聞かれるんです。それは、政治や日本の話から、プライベートな話まで。意見を言わないと、何も考えてないと思われてしまったり。何かしたいことがあるときは自分から声をあげないと、興味がないと思われてしまうこともあります。
自分の考えを言葉にして、相手に伝える。
これを大事にしている北欧のひとたちは、自分の好きなこと、自分の居心地のいいこと、それとは逆に、自分に必要ないこともよく知っているように感じたのです。
それに比べて、わたしって、自分のことよくわかっていないのかも……。
そう感じるようになってから、自分の気持ちや考えにちゃんと向き合う時間が必要だなと思うようになりました。
日常の中で、気になることや違和感があったら、立ち止まって考えてみる。
ついつい、こうした方がいい…… とか、これは正しい? 正しくない?と考えてしまうけれど、そこは一旦置いておいて。
自分はどうしたいのか、自分の気持ちに耳を傾けて、解決方法を探してみるようにしています。
とはいっても、日常の中で、あれ……?と思うのは、どれも本当に些細なことばかり。
晩ごはん作るの、最近なんだか楽しくないなぁ、とか。夫との家事シェアのバランス、うまくいってないかも……とか。そんな小さなことです。
あるときは、家族のルールを作ることで解決したり、自分のなかで納得いく解釈が見つかったり、棚をDIYで作ってみることだったり。そのときどきで、解決方法もさまざま。
ひとつひとつは小さなことですが、目の前にあることに向き合って、自分で暮らしを作っているという実感は、忙しくてバタバタな毎日のお守りみたいになっています。
そんな我が家の、試行錯誤な毎日の様子を「暮らしのみずうみ -松本便り-」に綴っていきます。
毎日は小さなことの積み重ねでできているなぁと感じます。
まわりで起きていることが、波紋のように自分の中に広がっていったり、ときどきは落ち込んで小さなにごりができたり。そんなときは、じっくりと観察して、きれいな水に戻るように手を加える。そんなふうにして、毎日の生活の流れを自分で作っていけたらいいなと思っています。
これからどうぞよろしくお願いします。
桒原さやか
ライター・エッセイスト。岐阜県出身。『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていた元スタッフ。冬の旅行で訪れたノルウェーの北極圏にある町、トロムソに一目惚れし、スウェーデン人の夫と共に、2016年6月〜2017年11月まで住んでいた。現在は長野県松本市在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)「家族が笑顔になる北欧流の暮らし方」(オレンジページ)
instagram:@kuwabarasayaka
撮影:清水美由紀
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