【アンバランスな部屋】インテリアの軸は自分の「好き」だけ。雑多な雰囲気から生まれるハーモニーを面白がって

編集スタッフ 岡本

インテリアを整えたい。切実なこの願望を叶える道のりはなかなかに遠く、つい後回しにしては頭の片隅にずっと居座り続けています。

ある週末、いざ手を動かしてみようとするものの、現状からどう変えたいんだろう、居心地がいいってどういうことだっけ?とこんがらがって、結局何もできずに1日が終わる、なんてこともしばしば。

「インテリアを考える」と聞くと前向きな悩みな気がするけれど、こうしたい!という方向性がハッキリしていないから、考えていてもモヤモヤしてしまうのです。

フラワーデザイナーである市村美佳子(いちむらみかこ)さんのインテリアの軸は、とってもシンプル。それは「自分にとっての好き」を集めること。

この言葉とともにパッと目に飛び込んできた山吹色の壁紙を見たとき、曖昧な理想が膨らんでいた心の風向きが変わる気がしました。

いくつもの雑貨が並んでいながら整然としたスッキリさもある、自由な雰囲気が漂う市村さんのご自宅インテリアについて伺います。

 

「気持ちよく暮らしたい」ただそれだけ

築50年以上のヴィンテージマンションに暮らす市村さん。ダイニングに広がる大きな窓からはたっぷり陽が入り、室内を明るく照らします。

市村さん:
「インテリアのテイストを揃えようと思ったことは一度もなくて、ただ自分の好きなものを集めただけなんです。

だからこの部屋にあるものは、国も年代もばらばら」

市村さん:
「素敵かどうかよりも、どんなときも気持ちよく暮らしたいと思っています。

風がよく通って、お日様が昇るのが見えて、そんな部屋がいい。

ぼーっと過ごしたり一生懸命働いたり、どんな過ごし方をしても受け止めてくれる部屋は心地がいいなと思います」

部屋のあちこちにのびのびと生けてある花やグリーンを見て、風も光も巡りのいい部屋であることが伝わってきました。また賃貸物件でありながらリフォーム可能というユニークな部屋の特徴を活かし、山吹色に塗り替えた壁も市村さん宅の大きなポイントになっています。

市村さん:
「黄色は魔法の色なんですよ。お花がよく映えるし、いろんな色が集まっても背景が黄色だといい具合にまとまるの。

雑貨も家具もテイストはばらばらだけれど、自分の好きなものだったら合うだろうし、この黄色の壁が受け止めてくれるから大丈夫と思っています」

たとえ置いたときの雰囲気がちょっとイメージと違っても、少しの違和感は面白くて好きだと話す姿に市村さんのインテリアに対する大らかさが表れているようでした。

 

使っていて「楽しい」キッチン道具たち

揚げ物が好きでよく天ぷらを作るという市村さんのキッチンは、収納スペースが限られたコンパクトな造り。入る分しか持たない、というマイルールのもと適度な余白を残して食器が納められていました。

市村さん:
「食器やキッチンアイテムも家具と同じように古道具屋で買うことが多いですね。

あちこちに置いてあるカゴとビンは蚤の市で見つけました。カゴはクロスを入れて棚にしまえば引き出しみたいに使えるし、大きめのビンは米びつの代わりになるし、便利だから見つけるとつい買っちゃうんです」

市村さん:
「このル・クルーゼの赤い鍋もユーズド品で見つけました。ちょうど揚げ物がしやすい深い鍋を探していたときに友人におすすめされて。

赤色のキッチン道具って普段選ばないから初めはどうかなと思ったんだけれど、使ってみたら楽しい。このオリーブのまな板もね、使い心地もデザインも好きで、使っていて楽しいと思えるもののひとつです。

ただ食材を切るだけの時間も、自分の好きなものを選ぶと楽しい時間に変わりますね」

 

アンバランスでも大丈夫。自分の “好き” を優先して

フラワーデザイナーとして花教室やイベントの装飾などを手掛ける市村さんが花との暮らしを始めたのは幼少期から。母が毎朝花を生ける姿が原風景となっているのだそう。

市村さん:
「私にとって『花が気持ちよさそうにしている』というのが一番大切。

花を生けるとき、つい完成を目指したくなるけれど、生けている時間そのものが好きなんです。一度この花瓶に生けたけどやっぱりこっちの方がいいかなと生け直したり、色々試してるうちに新しい組み合わせを見つけたりしている時間が楽しいですね」

市村さん:
「何に生けるかがとても大事。力がある花瓶に技は必要ないんです、ただ生けるだけでその花の良さを引き出してくれますから。

この紫陽花とオレンジの花瓶も、普通だったら花瓶が大きすぎてアンバランスだと思われるかもしれないけれど、お家で楽しむのであればこれくらい自由でいいじゃない」

誰かが見たらアンバランスだと評されるかもしれない。でも私はこれが楽しくて好きだと、感じたらそのまま飾ればいい。自分の感覚を丸ごと認めていいのだと思えたら、お花ともインテリアとももっと軽やかに付き合える気がしてきました。

 

落ち着く理由は、リラックスしたモノ同士のハーモニー

市村さん:
「部屋づくりと言っても、テーマやテイストを意識したことがなくて。ただひとつある基準が『自分が好きかどうか』だけでした。

異なる色や形、テクスチャーが並ぶからこそ、合わさったときのハーモニーや違和感が全体で見たときに面白いなって。

私の好きなものたちがほどよく混ざり合っている空間は、とっても居心地がいいですね」

テイストを定めなくてもいい、アンバランスさを楽しむ、たまたま出合えた色を取り入れてみる。

そんな市村さんのインテリアや花に対する思いに触れて、「好き」が集まる力の強さを感じました。

誰かに見せるものじゃない、自分にとっての心地よいインテリアを見つけるために、自分の「好き」をもっと気軽に信じてみたい。今度の週末は、小さくても何か行動できそうな気がしています。

市村さんのインタビューは動画でも見ることができます。ぜひこちらもご覧ください。

※こちらの動画は取材時2023年の内容となり、現在の暮らしとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

 

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市村美佳子

フラワーデザイナー。(株)緑の居場所 代表取締役。株式会社ロイヤルコペンハーゲン、フラワーアレンジメント教室の講師を経て、あんりゆき氏のイギリス暮らしと花に憧れて渡英、現地でフラワーアレンジメントを学ぶ。帰国後、あんりゆき氏に師事し、1994年独立。
東京・南青山のアトリエで花教室を主宰するほか、ファッション&ライフスタイルブランドのイベント花装飾を手がける。

https://www.midorinoibasho.jp/

 


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