【開発秘話】「hopeと名付けた、ジレにもなるワンピース / with foufou」が本日発売。店長佐藤とコウサカさんがものづくりの裏側を振り返ります
編集スタッフ 津田
ERIKO YAMAGUCHIとのコラボレーションをきっかけに、店長佐藤が出会って、ささやかに希望を感じたブランドやデザイナーとのものづくりを、「hope」と名付けて、これからもお届けしていくことになりました。
第二弾はアパレルブランド『foufou(フーフー)』の代表兼デザイナーのマール・コウサカさんと、「ジレにもなるワンピース」を作りました。開店記念日の特別企画として、本日9月18日から発売です!
こちらの記事では、foufouってどんなブランド?、何のきっかけでご一緒することに?、出来上がった服のこだわりは?など、佐藤とコウサカさんとともに、約10ヶ月に及ぶものづくりの裏側をご紹介します。
*商品写真の色は、商品ページをご覧ください。天候、お使いのモニター設定、お部屋の照明等により、実際の商品と色味が異なる場合がございます。
北欧、暮らしの道具店 × foufou
foufou 代表兼デザイナー
マール・コウサカさん
1990年生まれ。東京都出身。大学卒業後、文化服装学院のⅡ部服飾科(夜間)に入学。2016年、在学中にファッションブランド「foufou」を立ち上げる。ブランドコンセプトは、「健康的な消費のために」。細部までこだわった美しい服はもちろん、SNSやコンテンツを用いたユニークなマーケティング手法にも注目が集まる。2023年6月よりクラシコムの子会社。
48歳と34歳。ちがうけど、似ている二人。
北欧、暮らしの道具店の店長である佐藤と、foufouの代表兼デザイナーであるコウサカさん。
最初の出会いを聞くと、「もうはっきりと思い出せないんですが……」と佐藤。
気づけば、佐藤の実の兄である代表青木をはじめ、周りにfoufouを好きな人たちがいて、自然とSNSをフォローして、コウサカさんの著書を読んだり、取材をさせてもらったり。そして昨年、foufouが、クラシコムのグループ会社に加わりました。
佐藤:
「北欧、暮らしの道具店とfoufouって、クリエイティブや服のデザインは全然ちがうけれど、互いに共感できることがあったりしますよね。
ちがう世界にいるように見えても、何かのきっかけがあれば、お互いの “好き” が越境する、みたいなことが起きるかもしれない。そういう景色を見てみたいなあ、と思ったんです。
私とコウサカさんも、性別も、年齢も、経営するブランドの雰囲気もちがいますが、どこか似ているところがあるような……」
▲foufouで発売しているお洋服たち
コウサカさん:
「わかります。僕は、実家の母が、北欧、暮らしの道具店でお買い物をしていて知ったんです。
2017年ごろのfoufouを立ち上げたばかりの時期でした。お店のサイトを見て、自分のやろうとしていることに近いものを感じて、こんなふうにもできるんだなと思いました。
いつかグループ会社になるとか、一緒にものづくりをするとかは、まったく想像してなかったし、今もどこが似てるのか、うまく言葉にできないのですが “なんか共感するな” と感じていました」
「普遍の好き」をテーマに。
そんな “ちがうけれど似ている二人” のものづくりは、遡ること10ヶ月前、佐藤からコウサカさんへ渡した一枚の企画書から始まります。そこには “年代の時空を超えた「普遍の好き」” という言葉がありました。
北欧、暮らしの道具店も17周年を迎え、おかげさまで、商品の幅も広がり、コンテンツも増えていく中で、年代も、性別も、いろんな方が見てくださるようになりました。
もっと普遍的なものを作っていかなければ。年代も、好みも、超えられるような何かを作り出さなければ。でも、そんなことはできるのだろうか。人知れず、佐藤は悩んでいました。
佐藤:
「コウサカさんが、お母様から北欧、暮らしの道具店を教えてもらったと聞いて、すごく嬉しかったんです。年代・性別・好みを超えて繋がったんだ、そういう人が本当にいたんだ、と励まされました。
その道のりで当店と出会ってくださったコウサカさんとなら、普遍といえるような、垣根を越えるものづくりができるんじゃないかと。だから、ぜひこのテーマでご一緒したいとお願いしたんです」
「その服を着て、こんな場所にいる」
企画書を渡した後、メンバーの顔合わせを兼ねた、最初のミーティングがありました。そこに佐藤は一枚の写真を持っていきました。
佐藤:
「森の湖畔にある小さなホテルなんです。教会を彷彿させる建物で、ちょっとクラシカルな雰囲気。服づくりを始める前に泊まりに行ってみたほど、その空間に “普遍” のイメージを感じたんです。『その服を着て、こんな場所にいる』というイメージが伝わったらいいなと」
コウサカさん:
「そのロケーションから “色” が浮かびました。チャコールグレーで、軽くてあたたかいウールのような素材の服というのは、すぐに決まりましたね。実は、シチュエーションから入るのは、foufouのものづくりに近いアプローチ。立ち戻る場所ができたし、おかげで統一した世界観にまとめることができました」
▲「hopeと名付けた、ジレにもなるワンピース」を着用
全体像を固めるのが先で、それを『ジレにもなるワンピース』にしようと決めたのは後のことでした。
佐藤:
「前にfoufouの服を試着した時、ジャンパースカートのワンピースが一番しっくりきました。即売会で買ったこともあるんです。
今回のコラボが決まった時、foufouの服のことをもっと深く理解したいと思って、とにかくたくさんのアイテムを試着させてもらったのですが、やっぱり好きで、これを一緒に作りたい!と思いました」
コウサカさん:
「僕も北欧、暮らしの道具店と一緒に作るなら、ジャンパースカートになるんじゃないか、と思っていたんです。foufouでも人気ですし、生活の中でも着やすいアイテムですから。
でも人気だからこそ既に色々作っている。どうしたらいいかなと思っていた時、前身頃にボタンをつけて、ワンピースとしてもジレとしても着られるといいかも、という話が出たんですよね。佐藤さんも、この1、2年ほど、ジレという存在が気になっていたと。
実は、全く別のカテゴリの服を一つにまとめるって、かなり難易度が高いんです。素材、パターン、縫製など、どちらかに偏ったり中途半端にもなりかねない。難しいからこそ、よしやってみよう、となりました」
foufouらしく。北欧、暮らしの道具店らしく。
その後、foufouの服作りに欠かすことのできない存在である、パタンナーの冬頭(ふゆとう)さんも交えて、商品のディテールを詰めていきました。
foufouらしさを残しつつも、生活の中でも安心して着られること。日常の動作のしやすさ、Vネックの深さ、ポケットの位置や膨らみ、ウエストのくびれ加減、後ろベルトの高さ。これらは佐藤がこだわったポイントです。
佐藤:
「北欧、暮らしの道具店のものづくりは、まず生活者である自分が着たいと思えることが大事なので、主観で判断しながらも、両社のスタッフにも意見を聞き、どちらのお客さまにも喜んでいただけるものになるだろうか?と想像しながら、意思決定をしていきました。
それぞれの秋冬の新作、例えば当店のハイネックニットや、foufouのバルーン袖のブラウスなど、どちらのブランドのものも合わせやすいように、どのくらい脇を開けておくべきかも相談しましたね」
▲打ち合わせの様子。帽子をかぶっているのがパタンナーの冬頭さんです
佐藤:
「特にむずかしかったのはVネックの深さ。はじめ、パタンナーの冬頭さんは『今の位置がベスト』だとおっしゃっていたんですが、私はもっと深い方がいいと感じたんです。
40年近くパタンナーをされていらして、HaaT(イッセイミヤケ)やヴィヴィアン・ウエストウッドなど名だたるブランドでお仕事もされてきた、経験も技術も長けた方に、どうコミュニケーションをしたらいいか迷いましたが、率直にフラットに感じていることをお伝えしよう、と思いました」
▲前身頃のVネックはゆるやかな角度に。ボタンはfoufouでもよく使用されるマットなメタル素材
▲後身頃のタックの入り方、ベルトの位置を微調整し、全体としてやわらかな印象に
コウサカさん:
「冬頭さんは『自分はこれが美しいと思う』とハッキリおっしゃるけど、その奥で『あなたはどう思っているのか、あなたはどうしたいのか』を問うている人です。
佐藤さんたちは『自分たちは生活者の代表であれたら』というのが根底にあって、その責任感で一つずつ丁寧に判断されている。そこを冬頭さんはとてもリスペクトしていました。だから、お互いに意見をしっかり出し合える関係になっていったんだなと思います。
最終的には、佐藤さんが意見を言う時、冬頭さんにどんどんどんどん近づいていって、たじたじさせていましたもんね(笑)。その二人を見た時『これはうまくいくな……!』と思いました」
コウサカさん:
「僕は、デザイナーとして、僕が美しいと思ったものをつくるという部分に責任感があります。foufouでは、ファッションはファンタジーでありたい、という憧れもあるし、絵としての美しさを追求しているものもあるんです。
でも今回、佐藤さんたちは、foufouらしさを楽しみながらも、生活の中でどうなのか?という部分を、徹底的に見てフィードバックしてくださった。それはもう、こちらが引くくらい(笑)。本当に生活者の代表として見ようとしているんだなとびっくりしました。
そうやって細かい部分を調整できたのは、僕たちにとっても大きな収穫だったし、着てくださるお客さまにもいいものに感じていただけるといいなと思います」
言葉にできないけど、言葉にしたい。
今回の「普遍の好き」というテーマについて、「言葉で説明しようとしたり、普遍的なものを作ろうと意識するほどに、迷いも生まれるし、むずかしかった」と佐藤が振り返ると、コウサカさんはこんなふうに返してくれました。
コウサカさん:
「言葉ってむずかしくて、言葉にした瞬間から、本質とはズレて酸化してしまうんですよね。
それでも、言葉にしてみたい、作ってみたい、というのは、とても自然な渇望なんじゃないでしょうか。
普遍というものを作れないとわかっているけど作ってみたい。永遠なんてないとわかっているけど残るものを作りたい。それが、ものづくりの原動力になる。終わりがないから続けられると思います」
見たことのない自分へ。新しい場所へ。
▲この取材が行われたのは発売の1ヶ月ほど前の8月中旬でした
まだまだ話は尽きない二人ですが、最後に、発売を目前に控えた今感じていること、お客さまに伝えたいことを、聞いてみました。
佐藤:
「2017年にオリジナルのアパレルを作りはじめましたが、間違いなく、これまでに一着もなかったタイプの服が出来ました。私たちだけでは、本当に、こういうワンピースは生まれなかったと思います。
自分たちのブランドや会社が行こうとしている先を、言葉ではなく、作ったものを通じて、私たちみたいな誰かにも感じていただけたらいいなというのが、このhopeと名付けたプロジェクトの動機でもありました。
少しずつ領域を広げて、いろんな垣根を越えて、大切にブランドを育てていきたい。声高に提示するのではなく、丁寧にこしらえたものを、そっと置いてみる。今回のワンピースも、その一つとして、共感していただける方がいたら嬉しいです」
コウサカさん:
「foufouがずっと大切にしていることの一つが、洋服を見たときの『着てみたい!』という高揚感です。ファッションの尊い部分であり、今回のワンピースを通して、何か伝わるものがあったらありがたいです。
まだ気づけていない新しい自分と出会えること。袖を通した瞬間、新しい場所へ連れて行ってくれること。その高揚感を味わっていただけることは僕たちのブランドの使命だと思っています」
佐藤:
「どちらのブランドを日頃から見てくださっている方にも、喜んでいただけるものになっていたら嬉しいですね。その答えはお客さまが教えてくださること。発売日をドキドキしながら迎えたいと思います」
§
この取材の日、私もはじめて、出来上がったワンピースに袖を通しました。
普段はカジュアルばかりで、自分に似合うだろうかとドキドキしながら試着室を出たのですが、鏡の前に立ってひと目で「わ〜!シルエットが素敵〜!」と嬉しくなりました。そのまま鏡の前でくるり。横から見たり、後ろ姿を見たり、しゃがんでみたり。
好きなものを見つけた時の、あの気持ちの高まり。雑貨に一目惚れした時のような、こころにぽっと火が灯る感覚がありました。
商品ページをご覧くださったお客さまも、そんな感覚を味わっていただけましたら嬉しいです。
店長佐藤と青木沙織里さん、それぞれの着こなし
“年代の時空を超えた「普遍の好き」” をテーマにした今回の企画。完成した「ジレにもなるワンピース」を、佐藤自身と、佐藤が「こんなふうに歳を重ねたい」と日頃から憧れている、モデルの青木沙織里さんに着こなしてもらいました。
それぞれの私服と合わせたコーディネートを、ぜひご参考にしてください。
着用レビューは特大号でお届け
「ジレにもなるワンピース」はMとTの2サイズです。今回は、北欧、暮らしの道具店とfoufouのスタッフ総勢7名による、身長別の着用レビューを作っております。こちらもご参考になれば幸いです。
▼「ジレにもなるワンピース / with foufou」商品ページはこちらから
Photo:上原朋也(1,5,9,10,12,20,21枚目除く)
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