【特集】FLWデザイナー・大橋利枝子さん 着るその人に、想いを馳せる服づくり。
商品プランナー 加藤
文・バイヤー加藤/写真・バイヤー竹内
本日より、当店新ブランドとなります「FLW(エフエルダブリュー)」から、リネンウールコートが新登場しました!そこで、私・加藤と竹内で、FLWデザイナーである、大橋利枝子さんのアトリエにお邪魔し、お話をうかがってまいりましたよ。
FLWのお洋服のことや、大橋さんが服に込める想い、今回のコートについてなど盛り沢山となっていますので、ぜひお楽しみいただければと思います。アトリエの素敵なインテリアも必見です!
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心地よい空気が流れる葉山のアトリエで、FLWデザイナー大橋利枝子さんのお話をうかがいました。
雨がしとしとと降る9月のはじめ、FLWデザイナー大橋利枝子さんのご自宅兼アトリエにお邪魔したバイヤーの私・加藤と竹内のふたり。
足を踏み入れた瞬間に広がる心地よい空間、大きな窓から臨むお庭。雨にも関わらず、気持ちよい自然光がたっぷりと入る、アトリエの雰囲気に「はわわ〜!」と心のときめきがとまりませんでした。
「ようこそ!」とお茶を淹れてくださりながら、迎えてくださる大橋さんは、笑顔がとてもすてきな方。取材中、終止ニコニコと楽しそうにお話される様子がチャーミングで、一瞬で心をつかまれてしまいました〜。
今日は、そんな大橋さんにFLWのブランドや、服づくりに込める想いについて、お届けしたいと思います!
フリーのスタイリスト、そしてFLWデザイナーへの道のり。
スタイリスト・FLWデザイナーとして、活躍されている大橋利枝子さん。なんとなくのイメージで、ずっとスタイリストやデザイナーを目指された方なのかと思って、お話をうかがうと、意外な答えが返ってきました。
「就職はちょっと違うかな、と感じて、短大卒業後はアフタヌーンティー(※雑貨屋さん)でアルバイトをしようと思っていました。でもちょうど同じ時に、雑誌・オリーブで募集が出ていたのをみて、スタイリストのアシスタントをはじめたんです」
理由は、オリーブが好きだったから。学生時代、アシスタントのアルバイトを経験したことも決め手のひとつでした。
「大変な仕事だなぁと手伝いながら感じていたので、その時はスタイリストになろうとは、考えていませんでした。」
そんな大橋さんでしたが、アシスタント経験を積むうちに、オリーブのフラッシュアップという新着情報ページを担当させてもらうことに。「育ててくれる学校のような場所だった」という出版社での独り立ちを機に、大橋さんはフリーのスタイリストとして独立したそう。
そして、いまから3〜4年ほど前、カタログのコーディネートなどでお付き合いのあった、fog linen work 関根さんから、新しいコレクションのデザイナーに、と大橋さんに声がかかりました。
「ワンピースくらいならつくれるか〜と、あまり深く考えずにはじめちゃったんです」
大橋さんは「ワンピースを5型くらいつくれば」と思っていたそうですが…
「そしたら、関根さんにカタログをつくりましょうと言われて。あれ、カタログもつくってもらえるの?すごいなって思っていたら、次のシーズンはどうしますかっていわれて、それで、あ、ずっとやっていくんだ!と思いました(笑)」
こうして、fog linen work の新しいコレクションとして、大橋利枝子さんがデザイナーを務めるブランド「FLW」が誕生したのだそうです。
それまで服のメーカーや携わる人と仕事をしたけれど、どうやって服をつくっているのかまでは、まったく知らなかったそう。そんな状況だったにも関わらず、「最初は、あまり深く考えずにはじめた」というから、意外でした。
「でも、もし考えていたら躊躇してただろうなぁ」と大橋さんは振り返ります。
なにかに導かれるように進んでいった、スタイリストとFLWデザイナーの道。ぽんっと飛び込んだ世界で活躍するのは並大抵の努力ではなかったのではと想像します。
そんな大橋さんがデザインするFLWの服は、どんな過程でつくられているのでしょうか。
生地から考え、自ら縫い上げる。着る人の気持ちに寄り添った服づくり。
作業机の上に広げられた、色とりどりの美しいリネンの端切れたち。これらは、生地の色を決めるためのサンプルだそう。
「FLWのリネンの服は、そのシーズンの色や織り方を決めるところからはじめます。fog linen work と同じ生地を使うので、関根さんと相談し、リトアニアの工場に発注します」
まさか生地からつくっているとは!知らずに驚いていると、
「生地は1,000メートルつくるんですよ、余ったらどうしようって毎回緊張します」と大橋さん。
1キロメートル!考えるだけで、気の遠くなるような長さ。それを毎シーズン繰り返しているというからさらに驚きです!
トルソーにかかっているのは、FLWのサンプルたち。これらは、大橋さんが服をデザインするために、ひとつひとつ自ら縫い上げたものだそう。
「私は、サンプルを縫って、なんども調整します。縫い上がったサンプルを着て、コーディネートして。たとえば細いパンツと組み合わせたらどうかなとか、太いパンツなら?と手持ちの服を着てバランスを考えますよ。FLWのデザインはシンプルですが、そういうところは、何回も繰り返し確認します。」
実際はデザイナーをはじめ、パタンナーやほかの多くの人数が携わる作業を、大橋さんは1人でおこなっています。
サンプルを縫うところから試着して修正まで。ひとりでこなすことが多くて大変そう!と伝えると、
「たとえば、違和感があるときに、サンプルを自分で変えてまた着てみてと、その場で何度も何度も納得がいくまで試すことができます。小規模だからこそできることだと感じています」と教えてくれました。
真摯に服づくりに向き合う大橋さんの姿勢には、着る人に喜んでほしいという思いやりが込められています。納得するまで修正を繰り返し何度も確かめ、緻密につくり進めていくいくその過程に、デザイナーという肩書きをこえた、つくり手の想いをひしひしと感じます。
そんな大橋さんがつくるFLWの服への信頼は、とても大きいなぁと改めて心強く思いました!
FLWを着る人の自信に、似合う服になってほしい。
さて、今回当店でご紹介するリネンウールのコートのデザインについても、お話いただきましたよ。
「チェスターコートのようですが、かっちりしすぎず、カーディガンのような着やすさを求めました。ボタンを無くし、衿を丸くしてメンズっぽくなりすぎないように。冬だから重ね着してもいいように、ゆったりとしたつくりです。実際に私が着てみて、パンツもスカートも似合う丈を考えてつくりました」
ギャザースカートでふんわり着てもいいし、ワンピースもおすすめ。スリムパンツでマニッシュな雰囲気にも合うそうです。ブラックとオフホワイト、どちらもすてきだから迷いそう!
「イメージの好みで選んでみてはどうでしょうか。白・黒で考えるなら、優しい印象はホワイト、キリっとシャープな雰囲気はブラック。冬の白も良いですよね。秋冬は、黒を着る方が多いから、ちょっと目立ってすてきです。」
最近になって、お客様に『FLWの服を着ると、褒められる』と言ってもらうことが増えてきて、それがすごく嬉しいのだそう。
「FLWの服が着る人の自信になったらいいなと思います。服が似合っていると自然と笑顔になったり、誰かに服を褒められると自信になりますよね。
FLWのスタイルはこう!というルールはありません。着る方が、普段の服にプラスした時に、似合う服になってくれたらいいなと思います。」
「着ている服には、その人の生き方があらわれる」と話す大橋さん。FLWをはじめたことをきっかけに、お客様の声や服づくりを通して、そう感じるようになったのだそう。
「FLWで服をつくるようになってから、はじめて1人1人、体型が違うと意識しました。背の低い人はどうしたら高く見えるか、背の高い人はなるほどこういう服を着るのかと。着る服にその人が出るというのがわかりました。ブランドをきっかけに、はじめて服と向き合ったように感じます」
FLWは好きなスタイルで自由に楽しんでほしい。着るその人に着こなしを委ねつつ、より素敵に自信を持って着こなせるようにと、心を砕き、丁寧な服づくりをする大橋さん。
組合せのコーディネート、体型のバランス、お客さまの声を思い返し、何度も見直すこと。「今も、まだまだ研究途中です」と笑顔で話す大橋さんは、まだまだ尽きそうにない探究心に溢れて、お話を聞く私まで心がワクワクと浮き立ちました!
「服には生き方があらわれる」そう感じている大橋さんだからこそ、人一倍、服づくりに込める想いが強いのかもしれませんね。
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それでは最後に、大橋利枝子さんのコメントで、この特集をおわりにします。お読みいただきありがとうございました!
このコートは、今回の秋冬ものの中でも、一番の自信作です。こんな服が着たい、こんな服が あったら、いいな!という、私の希望をかたちにしました。着てくださる方、それぞれのコーディネートを楽しんでいただけると思います。 大橋利枝子
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