【大人のふだん着おしゃれ】後編:パンツスタイルが好き。年齢とともに「少しの可愛らしさ」を求めるようになりました
大人になった自分に似合う服を見つけて、素敵に着こなすコツとは? そのヒントを知りたくて、鎌倉の雑貨店「moln(モルン)」スタッフの 佐々木裕子 さんを訪ねています。
長年の不調から回復し、75歳の今も娘である 五十嵐綾 さんのお店、molnで週に1度接客をしている佐々木さん。前編では、これまでのことや、服選びで気をつけていることなどについて聞きました。
聞けば聞くほど、ふだん佐々木さんがどんな服を着ているのかを知りたい気持ちに。そこで、ふだん着のコーディネートをいくつか見せてもらいました。
前編から読む
好きなのは、メンズライクな中にも
可愛らしさのあるスタイル
まずは我々取材スタッフを出迎えてくださった時のコーディネートをあらためて。黒のギンガムチェックのブラウスが主役です。
佐々木さん:
「ふだんから〈ポルテ デ ブトン〉の服をよく着ていて、このブラウスもそうです。リボンの端についているタッセルが可愛いなあと思って。
基本的にはメンズライクな雰囲気の服を選ぶんですが、その中にも可愛らしさがあるものが好き。見ると気分が上がりますし。年齢と共により可愛らしさを求めるようになりましたね。それがないと、おじさんぽくなっちゃう気がして」
佐々木さん:
「パンツは〈無印良品〉のものです。お腹まわりはゆったり着たいけど、背が低いので自分に合うパンツを見つけるのが難しくて、ちょうどよいサイズのものがあると買うようにしています。
最初、このブラウスに黒のパンツを合わせていたんですよ。でも何だか暗い印象になってしまうなあって。それで白のパンツに変えてみたら明るくなって、あ、こっちの方がいいなとなりました。
鏡に全身を映してみて、しっくり来なかったらトップスやパンツを変えてみることは、よくしていますね」
ふだん着こそ質のいいものを
冒険だったサロペットが大のお気に入りに
続いては、大のお気に入りだという〈ポルテ デ ブトン〉のサロペット。さわやかなボーダーのTシャツと共に、とてもよく似合っています。
佐々木さん:
「サロペットは、私の中では、ちょっとしたおしゃれの冒険。最初は若い人が着るもので私には無理だと思っていたんですが、娘に『一度試着してみたら』って言われて。いざ着てみたら可愛い!となって、それ以来とても気に入っています。
これは、脇にファスナーがあるので、お手洗いに行く時の脱ぎ着も楽なんですよ。今日みたいなTシャツ以外にもハイネックの黒いシャツを合わせたり、冬はセーターを合わせたりして、1年中着ていますね」
佐々木さん:
「ボーダーシャツは〈AIR ROOM PRODUCTS〉。このブランドは、生地の質が本当によくて、洗濯を繰り返しても型崩れしないんです。
襟が伸びてしまったりするとだらしなく見えてしまうので、年を重ねてからは特に、ふだん着こそ質のよいものを選ぶようにしています」
▲村上伊万里さん作のブローチ。molnで定期的にブローチ展を開催することがあり、その際に買っているそう。ふだん着のコーディネートにひとさじの可愛らしさをプラス。
実は苦手だったデニム
ゆったりシルエット&靴下で可愛らしく
▲デニムは〈ポルテ デ ブトン〉、シャツは〈AIR ROOM PRODUCTS〉
最後に披露してもらったのはデニムを使ったコーディネート。白いシャツと合わせてきりっとした雰囲気に。
佐々木さん:
「デニムはちょっと気分を変えたい時に手に取る、私にとっては味変アイテムです。
元々デニムはどちらかというと苦手でした。ごわっとして履き心地が好みじゃなかったし、カジュアルすぎる雰囲気になってしまうというか……。このデニムはゆったりしていて履きやすいのと、トップスを合わせやすいので気に入っています。後ろのステッチやポケットも可愛いくて好きです。
こんなふうにシンプルな白シャツを合わせるほか、レースをあしらったフェミニンな雰囲気のブラウスを着ることも。ワンピースと合わせることも多いですね。
今日はごくシンプルなシャツとのコーディネートだったので、〈マリメッコ〉の靴下で可愛らしさを足してみました」
▲靴下も大事なおしゃれアイテム。「マリメッコの靴下は大好きです」。靴は〈ムーンスター〉で、娘の綾さん夫婦と3人お揃いで履いている
「似合う」ってどうやって見つけるんだろう
3つのコーディネートとも、佐々木さんの体型や雰囲気とよくマッチしていて、全体のバランスもよく、まさに「お似合い」。こんな着こなしをさりげなくできたらいいなあと憧れます。
そこであらためて聞いてみたくなりました。佐々木さんにとって「似合う」とは? どんなふうにして「似合う」を見つけていけばいいんでしょう?
佐々木さん:
「うーん、難しいですね。私も教えてほしいくらいです(笑)。自分では決しておしゃれと思っていないし、服をたくさん持っているわけでもない。今日は何を着ればいいの!?って悩むこともありますから。
一度考えたコーディネートを鏡で見てみて、やっぱり違うかな、しっくり来ないなと思って変えることもしょっちゅう。お店にいらっしゃるお客様を見て学ぶこともありますし。日々おしゃれのレッスンをしているような感じです。
素敵だなと思う服でも、何だか自分の性格や暮らしと合っていない気がする、ということもあります。それはイメージしているだけだと分からなくて、実際に着てみて感じることが多いんですよね」
これさえあれば誰でもおしゃれに服を着こなせるようになる、そんな魔法のメソッドがあれば……。
そんな淡い期待を持っていましたが、どうやら自分にとっての「似合う」は、一人ひとりが自分の体や経験を通じて、あれこれと試行錯誤しながら見つけていくしかなさそうです。
服は身長や体型といったことだけでなく、自分の暮らしや人生とも結びついているからなのかもしれません。
「ファッションには、その人の歩んできたものが出ると思います」
佐々木さん:
「年を重ねていくと、これまで歩んできたこと、大事にしてきたことがファッションに出るなと思うんです。
どんな服をどう着るか、顔つきや歩く姿にも、隠していたものも含めて全てが表れてくるなって。若い頃は、そんなこと考えたこともなかったけれど、最近そう思うようになりました」
その言葉を聞いてあらためて考えてみると、佐々木さんの着こなしが素敵に見えるのは、大らかな笑顔や話し方、すっとした姿勢などもあってこそなのだなと思いました。
▲取材を終えてお暇するスタッフを、娘の綾さんとともに笑顔で見送ってくださいました。
鏡の前でああでもない、こうでもないと合わせる服を悩んだり、ときには失敗したりもしつつ、いくつになってもおしゃれを楽しめる人でいたい。同時に、佐々木さんのようにあちこちに好奇心のアンテナを張って、いろいろなことにトライしながら過ごしていきたい。
そうやって、生き方と服がリンクしていけばいいなあと思います。
(おわり)
【写真】土田凌
もくじ

佐々木 裕子
会社員、専業主婦を経て、65歳から娘が営む鎌倉の雑貨店「moln(モルン)」のスタッフに。週に1度、店頭に立っている。ガーデニングも好きで、自宅の庭で草花を育てて楽しんでいる。
Instagram: @yuuko.garden
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