【ただいま収穫中!】マーケティング職から農家への転身。26歳の女性農家さんを訪ねました。
坂ノ途中 倉田
こんにちは!京都から日本全国へ、環境負荷の小さな農法で育てられた野菜をお届けしている『坂ノ途中』の倉田です。
坂ノ途中で働いていると、ユニークな経歴をお持ちの提携農家さんに出会うことがたびたびあります。
その多くは、何かきっかけがあって農業を志し、一歩を踏み出した方たち。今回は、以前食品の商品開発に携わっていたという若手女性農家さんを訪ね、就農のきっかけや、農業への思いを聞かせていただきました。
都会育ちから農家へ。久保芽以さんを訪ねました
「のらわかふぁーむ」の畑。大きな門が、畑を見守るように建っています
今回お話を伺ったのは、就農2年目、京都府南丹市の「のらわかふぁーむ」久保芽以さん。生まれも育ちも名古屋の26歳です。
昔ながらの大きな門と蔵のある古民家と、そのまわりにある畑を借りて、農業を営んでいます。
じつは芽以さんは、1年ほど前まで、農家になるための勉強期間として、坂ノ途中で働いていました。出荷スタッフなどをしつつ就農の準備を進め、昨年春から専業の農家に。
その夏、はじめて芽以さんの野菜をお客さまにお届けした時は、私たち坂ノ途中スタッフも本当に嬉しかったです。
農家デビューから1年余り。改めて、仕事への思いやこれからのことを聞いてみたい。6月のある日、芽以さんの畑「のらわかふぁーむ」を訪ねました。
食べ物を「つくる」仕事がしたいんだ、と気づいて踏み出しました。
久保芽以さん。畑の一角で飼っている鶏たちと
坂ノ途中スタッフ時代はおっとりマイペースな印象だった芽以さん。久しぶりに会った彼女は、心なしか表情に力強さが加わったような気がしました。農業を志した「きっかけ」を聞いてみると、
芽以さん:
「生粋の都会っ子ですが、子どもの頃家族でキャンプへ行ったりしていて、自然への興味はありました。でも、農業は代々農家のひとがやるものだと思っていて。将来を考える時、全然選択肢にはなかったんです。
食べることが大好きだったので、大学で栄養学や化学を学び、食品の商品開発の仕事につきました。マーケティングを担当していたのですが、だんだん『自分で食べものを作りたい!』と思うように。
それが子どものころからあった自然や生態系のしくみへの興味へとつながっていき、『農業』という選択肢が自分の中に生まれました」
食べものを「つくる」仕事がしたいんだ。そう気づいた芽以さんは、食品会社をやめ、農業について学び始めます。
農業は「自分で考えて、作り上げて、やり直すことができる」仕事
芽以さん(左)と私・倉田(右)
農業のことを話す芽以さんはとても楽しそう。農家になるために実際的な勉強がしたい、そんなときに出会ったのが坂ノ途中でした。
芽以さん:
「坂ノ途中で出荷や店舗の仕事をしながら野菜について学び、提携する農家さんにたくさん会って話を聞かせてもらって、畑を借りて野菜を育て始めて。1年間ずっと野菜と向き合って、この道で生きていこうと決めたんです
農業って、なんだか実験みたいなんですよ。いつ、どんなことをしたかをきちんとノートにつけて、失敗してしまったら原因を考え、次は同じことが起こらないように努力する。
農業は、そんなふうに自分で考えて作り上げてやり直すことができる、自分の中に矛盾をつくらない働き方ができる仕事だと思います。私にとっては、それも魅力でした」
もともと自然が好きで、複雑だけれど理に適った生態系のしくみに興味があった芽以さん。そのしくみと関わりあいながら野菜を育てる農業は、自分にフィットした生き方だ、と思いを深めていきました。
「初めて食べた人が、びっくりするようなものを」
色づきつつあるミニトマト。今年はトマト・ミニトマトだけで10種類も育てているそうです
こうして農家デビューを果たした芽以さん。今はいろいろな野菜を育てて、のらわかふぁーむの畑に合うものを探しているそう。
芽以さん:
「失敗することも多いですし、予想できなかったことが日々起こるし、実際にやってみると本当に難しいなって思います。
だからこそ、ちゃんと良いものができたらすごくうれしいですし、ほっとします。収穫した野菜たちに向かって、無事にここまでたどりついたね、よかったね!と。
坂ノ途中で働き始めた頃、提携農家さんが育てた『フルーツかぶ』というかぶを初めて食べて、『こんなにおいしいかぶがあるなんて!』と感動したんです。あの時のような驚きを、自分の育てた野菜を食べてくれる人に届けたいです。
私、トマトが好きなんですよ。だから、そういうびっくりするようなおいしさのトマトを作れる農家を目指したいなと思います」
あるものを無駄なく生かす。「畑って、野菜を作るだけの場所じゃない」
畑には大きな栗の樹も。お邪魔した6月上旬、ちょうど満開でした
農家への一歩を踏み出し、毎日が楽しいと語る芽以さん。農作業のかたわら、野菜を使った保存食や加工品を作る勉強などにも熱心に取り組んでいます。次の夢は?と聞くと、
芽以さん:
「農業を始めて、わたしは、生活と仕事がひと続きになっている方が合っているなと感じています。野菜を育てながら、そこに連なる『暮らし』も、営んでいきたいんです。野菜を育てるだけではなくて、無駄なく、ここにあるものを全部活用したい。
たとえば、加工品づくりって、農業から暮らしへの延長線上にある仕事だと思うんです。とれすぎた野菜や不ぞろいの野菜を全部捨ててしまうのではなく、加工品として生かしてあげたい。そういうひとつひとつが『矛盾のない暮らしに』つながるのかなと思っています。
将来は収穫体験のイベントを開催したり、農家民宿をしたり、畑やこの家を自分以外のためにも使いたい。『のらわかふぁーむ』を、人が集まる、広がりのある場所にしていきたいです」
お話を伺って、私が最初に芽以さんに感じた「力強さ」は、地に足がついた暮らしを営んでいきたい、という心がまえの表れなのだな、と思いました。
試行錯誤しながら、でも楽しそうに歩んでいる姿に、私自身、芽以さんの野菜を食べるのがますます楽しみになりました。
坂ノ途中の提携する農家さんの野菜は、食べる人のことを考え、大切に育てられたもの。農家さんたちの思いや畑の季節感も皆さまに感じていただけますように……そう願いながら、お野菜セットをお届けしています。
(写真:坂ノ途中 片山大)
倉田優香
環境負荷の低い農業でつくられた野菜を全国へ届ける『坂ノ途中』の広報。1984年、福岡県生まれの32歳。もともとは電機メーカーでバイヤーとして働いていたが、2年ほど前に『坂ノ途中』へ転職。広報のほか、東京にある店舗「坂ノ途中soil ヨヨギ garage」、「坂ノ途中soil キョードー」を担当する。いちばん好きな野菜はナス。自己紹介はコチラ。
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