【夏の大掃除レッスン】第2話:水をたくさん使うお風呂掃除は、気温の高いうちに

ライター 大野麻里

家事・住宅・掃除アドバイザーの藤原千秋(ふじわら・ちあき)さんに監修していただきながら、夏にしたい大掃除のコツをお届けしています。

全4話の、夏の大掃除レッスン。第2話は浴室編です。

ジャブジャブとたくさんの水を使う浴室掃除は、夏こそ大掃除すべき場所。冬だと気温や水温が低く、汚れが落ちにくいうえ、お湯を沸かすのにもガス代や水道代がかかってしまい非効率的……。

そう、夏の浴室掃除はじつに効率的で、メリットしかないのです。

藤原さんによれば、浴室はさまざまな汚れが混在している場所。ホコリや窓の外からの土ボコリ、石けんやシャンプーのカス、カビや細菌などによるぬめり……と、汚れのタイプに応じて掃除方法を使い分ける必要があるそうです。

また、たとえば一人暮らしの家と、4人家族の家では、浴室の汚れの具合やスピードがまったく違うのも特徴。汚れが少なければかんたんな掃除で済みますが、汚れるスピードが早く、かつ汚れが頑固なケースほど掃除も大変になります。

汚れが蓄積する前にできるだけこまめに掃除しておけば、大掃除もラクになるのです。

 

見落としがちなのは、浴室の天井のカビ

浴室の日常的なお手入れは、浴槽や床を中心に掃除しがちですよね。天井は、意外と視野に入っていない人も多いかもしれません。

結露しやすい天井部分はカビが発生しやすく、それを放置すると浴室中にカビが蔓延してしまうそう。つまり、天井をきれいにすることで、浴室全体をきれいに保つことができるというのです。

そんな天井掃除に役立つのが、フローリングワイパー。ウエスを装着して、消毒用エタノールを吹きつけます。消毒用エタノールがなければ「アルコール除菌スプレー」でも代用可。必ず、除菌できるタイプを選びましょう。

準備ができたら、天井を拭き掃除します。フローリングワイパーを使えば、脚立や台に乗る必要もなくらくちん。普段は手が届かないところまで、しっかりと拭いて除菌します。

藤原さん:
「年に1度の大掃除だけではなく、天井掃除はできれば定期的に。天井にカビが見えたらカビ取り剤を使いたくなりますが、液が垂れて目に入ると危険なので、カビ取り剤の使用は避けてください」

 

床の凹凸汚れは、ゴミ袋で「湿布法」

浴室の汚れはタンパク質系のものが多く、じつはキッチンの汚れと似ているそう。そのため、お風呂用の専用洗剤を用意しなくても、食器用中性洗剤でも十分に汚れは落ちるのだそうです。

床の凹凸に汚れが入り込んでいる場合は、ゴミ袋でぴったり覆って放置する「湿布法」がおすすめです。

<床の湿布法の手順>
【1】床にお風呂用中性洗剤(または食器用中性洗剤)をかけてブラシやスポンジでこすり洗いします。
【2】洗剤をそのまま流さず、その上にゴミ袋を広げて覆って「湿布」します。
【3】30分ほど置いた後、シャワーで洗い流せば凹凸の汚れもすっきり。

浴室を水洗いした後は乾いたウエスで拭きとり、しっかり水気をとることもだいじ。水分がカビのエサになってしまうので、水気をとる習慣をつけてカビ防止をしましょう。

 

排水口のぬめりは、つけ置き洗いでさっぱり

ぬめりやすい排水口は、外せるパーツはすべて外し、中性洗剤で洗ったあと塩素系漂白剤(カビ取り剤)をスプレーして放置します。このとき、ビニール袋に入れて20分ほどつけ込むと、漂白剤がよく浸透して汚れが落ちやすくなります。

パッキン部分は、黒い汚れの場合はカビの可能性が高いので、塩素系漂白剤(カビ取り剤)で落とします。ジェルタイプの漂白剤を使えば、たれずにしっかり塗れて便利です。ただし目に入ると危険なので、目より高い位置には使わないように!

藤原さん:
「パッキンや浴室ドアが白っぽく汚れている場合は、カルキ汚れが考えられます。水道水に含まれるカルシウムなどのミネラル分が空気に触れて固まったもので、いわゆる『水アカ』と呼ばれるもの。

カルキ汚れは中性洗剤でいくらゴシゴシこすってもなかなか落ちません。クエン酸スプレーをして、ラップで湿布をするのが効果的です」

※塩素系漂白剤とクエン酸を同時に使うと、有毒ガスが出て大変危険です。塩素系漂白剤でカビを落としたらしっかりとすすいで成分を洗い流し、1週間以上経ってからクエン酸を使った掃除をするようにしましょう。

 

水アカは「クエン酸スプレー」でピカピカに

水まわりの掃除で役立つのが、クエン酸スプレーです。

つくり方は水100mlに対して、クエン酸小さじ1程度を溶かすだけ。スプレーボトルに入れて、シュッシュッと吹きかけられるようにしておくと、使い勝手もよくなります。

水栓金具などにつく白いウロコ模様のようなカルキ汚れには、クエン酸スプレーがよく効きます。

<水栓金具のクエン酸ラップの手順>
【1】中性洗剤をつけたスポンジで水栓金具を洗い、水で流したら、クエン酸スプレーをたっぷりまんべんなく吹きかけます。
【2】その上からラップで覆って「湿布」します。20分ほど放置すると汚れが浮き上がってくるので、水ですすぐだけでかんたんに汚れが落ちます。
【3】仕上げに乾いたウエスで磨くようにから拭きすると、ピカピカに!

吐水口にも汚れがたまりやすいので、使い古しの歯ブラシなどで念入りに洗いましょう。

 

シャワーヘッドは、分解してからつけ置き

シャワーのヘッド部分は回すと外せることが多いので、分解して細かい汚れを落としましょう。

洗面器に水をはり、クエン酸大さじ1を溶かします。そこに分解したシャワーヘッドのパーツをつけて20分ほど放置します。

汚れがゆるんできたら、歯ブラシでヘッド部分をこすり洗いします。ヘッドの目づまり部分は、つま楊枝など先の細いものを使って汚れをかき出しましょう。

※クエン酸と塩素系漂白剤を同時に使うと、有毒ガスが出て大変危険です。浴室でクエン酸を使う掃除をしたら、1週間以上あけてから塩素系漂白剤を使うようにしましょう。

以上が、浴室編の大まかな流れ。できるところはこまめに掃除して、汚れをためにくい状態をキープするのが理想的です。

浴室用の中性洗剤1本ですべてを掃除しようとするのではなく、汚れの種類を見極めて、適した洗剤を使うことがきれいに仕上げるコツだと感じました。

続く第3話では、シンクやコンロ周りを中心としたキッチン編(前編)をお届けします。

(つづく)

【写真】北原 千恵美

 

もくじ

 

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藤原千秋

住まいや家事のライター&アドバイザー。大手住宅メーカー営業職を経て主に住まい・暮らしまわりの記事を専門に執筆する。現在はライティングの傍ら関連の企画広告商品開発アドバイザリー等多様な業務に携わっている。プライベートでは三児の母。著書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など。


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