【気長な家づくり】第1話:「居心地と好き」を作るポイントは? 3人暮らしのマンションインテリア
編集スタッフ 野村
今いる家を、もっと心地よく過ごせる空間にできたなら。そんな気持ちがいつも頭の片隅にあって、ひんぱんに模様替えをしてみたり、新しい雑貨や、ときには家具を迎えてみたりの毎日が続いています。
賃貸住宅やマンションなど、自分の今の家と近しい環境の人たちが、居心地よく過ごすためにどうやってインテリアを作っていったのだろう? そしてどんな工夫があるのかを見てみたい。
そんな思いを持って、以前から気になっていた方のご自宅を訪ねてみました。
暮らし始めて14年。いつも居心地の良さを探っています
訪ねたのは、グラフィックデザイナー・立古尚子(りゅうこ なおこ)さんのお部屋。3LDKマンションに、夫と娘さんの家族3人で暮らしています。
この空間をどうやって心地よく使いやすくするかを常々考えて今に至るような気がします、と話してくれた立古さん。この家で暮らし始めて14年ほど経ち、小さなリフォームも3回行ったそうです。
そんな立古さんのお部屋をさっそく見せていただきました。
長く愛せるものを。リビングの家具選び
あたたかみのある木製家具と、白やグレーが基調となった落ち着きある雰囲気のリビング。家具はどんな視点で選んでいるのでしょうか。
立古さん:
「今の形に落ち着くまで家具は色々と変わっていきました。
ダイニングテーブルはもともとは長方形のものだったけれど、省スペースでもっと動きやすい空間にできるかなと思って、昨年、ヴィンテージの丸テーブルに。
こうして家具を変えたくなる気持ちがたまにわいてくるので、そんな時にも誰か別の人に買い取ってもらえるような、長く愛されるヴィンテージ家具をメインに選んでいます」
立古さん:
「リビングは、昔と比べるとかなりシンプルな雰囲気になりました。
以前はもっと壁に自分のお気に入りの写真やアートなどを飾っていたのですが、リビングは家族みんなが過ごす場所だし、家族全員が居心地いい場所にできればいいなと思って。
なので自分の趣味のものは、なるべく私のワークスペースに置くようにしています」
グレーと木調を意識して、仕事部屋の印象はやわらかく
リビングの奥に続く部屋は、立古さんのワークスペース。リビングとつながる空間だからこそ、心地よく過ごすための工夫がいろいろとありそうです。
立古さん:
「ワークスペースとリビングは、はっきり分けるのではなくて、ゆるやかに仕切るということを意識しています。
たとえば、グレートーンの壁紙を選んだり、木製のヴィンテージ家具を置いたり。
真っ黒や真っ白よりも、リビングのテイストに近いアイテムが多いですね」
▲デスクは、デンマークのインテリアブランド「HAY(ヘイ)」のもの。チェアは、ハーマンミラーのセイルチェア
立古さん:
「インテリアに馴染むように、デスクやチェアも少しこだわりました。
このチェアを買う前は木製のヴィンテージチェアで仕事をしていたのですが、長時間座っているとやっぱり体が痛くなっちゃうので、インテリアに馴染むいいワークチェアがないかなと探していて。
このワークチェアはパーツの色を自分で選べたので、これだったら自分好みの色合いのものが手に入りそうだと思って、購入しました」
▲ワークスペースの床は、グレーのタイルにリフォーム。リビングと床材が変わることで、ゆるやかな仕切りの効果に
トーンが自然と合う、ディスプレイのコツ
ワークスペースの一角を飾る、ヴィンテージのショーケースやシェルフ。リビングが家族との空間だとしたら、ここは立古さんのお城のような場所。たくさんのオブジェが飾られていますが、しっかりと整った印象を受けます。
棚上のディスプレイはどんなことに気をつけているのでしょうか。
立古さん:
「お気に入りのものを置くのが大前提ですが、その中でも置くものの色のトーンを合わせるようにしています。
飾っているものの中で一番最初に買ったのが、両脇に飾ってある、ガラス作家エリック・ホグランのキャンドルスタンド。
この家に住む前から、いつかホグランの作品を素敵に飾りたいなと思って購入したもので、このキャンドルスタンドの色味に近いものが飾るもののベースになっています」
立古さん:
「なので、今棚上にディスプレイしているものは、キャンドルスタンドの色をベースに、ブラウン系の色や少し黄色っぽいカラーのものを選んで置くようにしているんです。
もしここに青いものを置いてしまうとそれだけに目がいってしまいます。それが良い時もあるかもしれませんが、悪目立ちすることの方が多いと思うので、色味のトーンはなるべく統一しています」
ワークスペース入り口にもヴィンテージの家具たちが。ここには、私物の細々としたものが収納されているのだとか。
立古さん:
「これはソーイングワゴンなんですが、財布や化粧品、集めているブローチなどを入れています。
針やボビンなどの裁縫道具を細かく入れられるように仕切りがたくさん付いているので、細かなものを整理整頓するのにぴったりで。
ここで化粧することも多いので、色々と収納ができるこのワゴンは本当に使い勝手がいいんです」
ヴィンテージの家具には憧れる。でも一方で、自宅でうまく使いこなせるのかな? という思いもありました。
でも、立古さんのようにヴィンテージだからこそ長く愛されるという視点や、元々の用途にこだわらない気持ちを持つと、もっと気軽に家に迎えられそうだなと思います。
自分だけじゃなくて、家族みんなが過ごしやすい空間にするための工夫が詰まっていた立古さんのご自宅。
お話を伺い、ワークスペースはグレートーンや木製家具で揃える、ディスプレイするものも色のトーンをなるべく揃えるといった、置くものの色合いをちょっと気にしてみるだけで、インテリアはぐっと整った印象になるんだと、参考になりました。
次回は、立古さんのお家の中でも、特に使いやすくするための工夫が詰め込んだというキッチンと洗面室を中心に見せていただきます。
(つづく)
【写真】木村文平
もくじ
立古 尚子
グラフィックデザイナー。ステーショナリーや雑貨、冊子など、紙媒体を中心としたデザインを手がけている。夫と娘との3人暮らし。インスタグラムアカウントは@nao_et_noa
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