【がんばらない大掃除】第1話:引田かおりさん「忙しい年末は、普段の掃除にプラスアルファ」
ライター 片田理恵
いよいよ年の瀬。子どもの頃は楽しみで仕方がなかったこの季節に、慌ただしさと焦燥感を感じるようになったのはいつからだったでしょうか。それは12月のスケジュール帳に「大掃除」という言葉が加わったことも大きな要因かもしれません。
日々の家仕事と同様、正しいやり方が存在しないのが「大掃除」。自分らしいスタイルと力の入れどころを探るべく、敬愛する先輩3人にお話を伺いにいってきました。驚いたのは三者三様、「意外とがんばっていない」こと。
がんばらないで何をするのか、あるいは何をしないのか。全3話でお届けします。
いつものやり方を少しだけていねいに
最初にお邪魔したのは、引田かおりさんのご自宅。東京・吉祥寺にある「ギャラリーフェブ」とパン屋「ダンディゾン」のオーナーを務める一方、ご自身のライフスタイルを綴った本を多数出版されるなど、多方面で活躍されています。
クリスマスのある年末はパン屋さんにとっては忙しい季節のはず。大掃除はどうされているのでしょうか。
引田さん:
「基本的に大掃除はやりません。年末の寒くて忙しいときに無理してやらなくてもいいかなと思って。とはいえ、新しい一年は清々しい気持ちで迎えたい。だから毎日やっていることを少しだけていねいに、少しだけ視野を広げてやるようにしています」
普段は目を向けない天井と棚の隙間をチェック
視野を広げるというのは、具体的には「普段は目を向けない場所を見る」ことだという引田さん。
天井のすみ、壁と家具・家電のすき間、電気のスイッチやリモコンの突起部分、床とソファのすき間などを例として挙げてくれました。
「大掃除をやる時間」を設定するのではなく、毎朝の掃除の時についでにやる、あるいは気づいた時にそのつどやるようにするのが無理しないポイント。
引田さん:
「年末が近くなったら、日ごろは見ないようにしている場所をあえて見てみる。それでホコリやクモの巣が目に飛び込んできたら、もうやるしかないじゃないですか。
コツはね、いろんなところから部屋を見ること。食卓の座る位置を変えてみたり、リビングでストレッチをしながらいつもより低い視線に自分を置いてみたり。模様替えもおすすめですよ。家具が動くと部屋の見える場所が変わるから」
ホコリ取りのためのブラシは、洗わない羽タイプと洗えるクロスタイプを併用。はたけば取れる汚れには羽タイプ、湿気などを含んだ汚れにはクロスタイプを使っています。
また天井などの高い場所を掃除する時には、ロールカーテンの開け閉めに使う棒の先にテープでブラシをくくりつけて使用するのだとか。
引田さん:
「お見せするのはちょっと恥ずかしいんですけど(笑)。でも、併用できるものは併用します。掃除道具をいたずらに増やしたくないのでね」
靴箱に敷いた紙を取り替える
もうひとつ、これだけは年末にやると決めているのが、靴箱に敷いた紙を取り替えること。靴自体はきれいでも底には案外汚れが残っているため、棚にそのまま靴を置くのではなく、紙を敷くようにしています。
引田さん:
「いらなくなったカレンダーとか、紙自体はなんでもいいんです。一枚かませてあると棚に汚れがつきにくくなって気持ちがいい。今回は専用のシートを初めて購入してみました。シート自体に抗菌・消臭効果があるものを選べば衛生的にもいいし、一石二鳥!」
シンプルで気持ちのいい道具を使う
掃除道具は、ゲスト用のサニタリールームにある棚にまとめて収納。シンプルなデザインで白や黒といった主張しない色味、使って気持ちいいと感じることが、引田さんがアイテムを選ぶ決め手です。
右から時計回りに靴箱用シート、雑巾がわりの使い古したふきん2種、使い古しの歯ブラシ、羽ブラシ、クロスブラシ、キッチンペーパー、ウェットティッシュ、マルチクリーナー、ハイター。これらはすべて普段から常備しているもので、大掃除用に特別に購入することはないそう。
引田さん:
「原料は水だけという『THE』シリーズのマルチクリーナーを愛用しています。どうしてもという汚れの時にだけハイターが登場。食器ふきと台ふきはそれぞれの役目を終えたら雑巾にして、最後までしっかり使いきります」
大掃除より、おせちの用意より、家族の笑顔
大掃除のために無理をしない。引田さんのそんな気持ちは、家族のお正月の過ごし方にも変化をもたらしたといいます。
引田さん:
「数年前からは大掃除だけじゃなく、おせちの用意もやめたんです。今の私たちにとって心地いいお正月ってなんだろう。それはみんな笑顔で新年を迎えることだよねって。
家族で話し合った結果、好きなものを食べながらお祝いするスタイルになりました。前回はいつもよりちょっといいお肉を買って、すき焼きに。家族そろってひとつの鍋を囲むのは、本当においしいし幸せですね」
ちゃんとやらなくちゃと意気込んでいた気持ちが、ゆっくりとときほぐされていくみたい。家族や友達、ともに過ごす人と一緒に何をしようかと考えてみる。そんなすてきな年末年始の過ごし方もあるんですね。
続く第2話では、イラストレーターの谷山彩子さんが登場。引き続き「がんばらない」お話を伺います。
(つづく)
【写真】メグミ
もくじ
引田かおり
2003年、夫のターセンさんとともに「ギャラリーフェブ」、パン屋「ダンディゾン」をオープン。2016年にギャラリー近くの一戸建てをリノベーションし、娘家族と二世帯で暮らす。『「どっちでもいい」をやめてみる』(ポプラ社)『しあわせのつくり方』(KADOKAWA)など著書多数。
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